※本稿は、宮崎正弘『地獄の中国』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
■中国がひた隠しにする「ゾンビ化」の実態
“ゾンビ企業”という言葉がある。とっくに経営破綻しているのに政府や金融機関の支援で延命している会社のことだ。今のチャイナは国全体がゾンビではないだろうか。もう、とっくに終わっているのである。称して“ゾンビ・チャイナ”。行き着く先は地獄!
ゾンビ・チャイナの実態は、ゴースト(幽霊)という表現がぴったり合う。
ゴーストタウン(人の一切いない町)、ゴーストテーマパーク(人っ子ひとりいない遊園地)、ゴーストリゾート(人気(ひとけ)のない行楽地)、ゴーストシティ(人がいない都市)、そしてゴーストエアポート(ガラガラの空港)。これらは中国国内の惨状である。これに加えて深刻な問題が浮上した。ゴーストステーション(人のいない駅)だ。もはや、人も流れてこないのだ。
この実態の映像がときおりユーチューブで流れるが、それはそれは、生々しい映像である。繁華街の華やかなネオンやブランド店の繁栄が嘘だということがわかる。もう一度見ようとするといつのまにか消されている。日本でも、中国に不都合な画像は「中国の代理人」の手で管理されているのである。
■現地で見た貧困の実態
私はかれこれ半世紀にわたり、中国33省をほっつき歩き、観光客がほとんど来ない山奥や田舎町を取材してきた。香港、マカオ、台湾を含めると200回は中華圏に渡航して、凄まじい貧困の実態をこの目で見てきた。
ニーハオ・トイレ(男女別の仕切りがない青空厠(かわや))、ドブ川の水を汲んで麺を茹(ゆ)でる屋台。犬肉レストラン、戸籍がなく通学できない児童たち……。
改革開放時代の中国にはのびやかな雰囲気も漂っていたが、人々の目はギラギラと輝いていた。ほんのちょっぴりではあるが、言論の自由も1989年6月4日(天安門事件)まではあった。
以後、自由民主の活動家は血の弾圧のもとで殺されるか沈黙を余儀なくされた。一部の学生指導者は幸運にも海外へ逃げたが、残された人々は地獄に突き落とされた。
■街が発展するほど冷めていく人民
半世紀前の中国は自転車の洪水で町に街灯は稀(まれ)、服装は貧弱だったが人々には燃えるようなエネルギー、射幸心、上昇志向があった。まだ、眼が生き生きとしていたのだ。
今はどうか。確かに高層ビルが林立しているが、人々の目は死んでいる。絶望、ニヒリズム。賢い中国人は外国への移住を準備している。こんな国には住みたくないと冷め切った表情をしている。
すでに3000万の中国人は外国に暮らしている。愛国心は外面的装いであって、国家への忠誠などシニシズムの対象でしかない。それが大方(おおかた)の中国人の本性である。
中国経済の繁栄は一瞬の現象だった。
そんなある日、大阪の中国総領事が高市早苗首相を示唆(しさ)しながら「穢(きたな)い首が飛び込んできたら斬ってやる」と物騒な書き込みを行い、さすがの日本政府も抗議した(2025年11月9日)。これなんぞはゾンビがのたうちまわる呻(うめ)き声に聞こえた。
■日本人が知らない「本当の中国」
“ゾンビ鉄道”とは中国の新幹線のことである。この高速鉄道網は5万キロ(日本の15倍!)。2023年末時点での累積赤字は円換算で138兆円(債務の有利子だけで毎年3750億円)。経常黒字は年間300億円。つまり経常黒字の10倍以上が利息支払い(元金返済を除外)なのである。
はじめっから資本主義原則を逸脱している。それでも国家命令だから、クマばかりか、キツネとタヌキぐらいしか出没しない田舎にも新幹線を敷設した。
新幹線沿線にばたばたと造成した新駅は、駅舎こそ完成したが、実際には使われていない。このようなゴーストステーションが各地にあって、いったい中国のGDP成長とは、何だったのか?
ハイウェイは全土を網羅したもののトンネル事故は絶えず、穴だらけの幹線道路はしょっちゅう通行止めとなる。新築ビルが崩れて、中をみると鉄筋の替わりに生ゴミが詰め込まれていた。中国経済の実態は醜悪(グロテスク)であり、「輝かしい」統計は恣意(しい)的な創作(フィクション)、GDPは3割水増しである(不良在庫も当然、統計に入れている)。
ところが経済ジャーナリストたちは、中国経済は順調だと嘘を報道していた。中国は成長していると寝言を言っていたメディアや経済評論家たちはいったい、何を見ていたのだろう?
■報じられなかった大事故
中国経済のバブル崩壊は宿命付けられたものである。資本主義的な経済活動が機能しないのは彼らの特質である。賄賂と収賄という伝統的な「中国の文化」が正常な発展を阻害しているのである。
2025年8月22日、黄河をまたぐ恰好で青海省に建設中だったアーチ型の橋梁が突如崩壊した。作業中の労働者ら12名が死亡、4名が行方不明となった。
事故現場はチベットに近い青海省、全長1600メートルの高速鉄道(新幹線)の橋梁。2023年に着工し、2025年の8月中に連結する予定だった。橋のワイヤーが切れて100メートル余の橋梁部分が崩落した。
同年4月、ミャンマーで地震があり、ミャンマー第二の都市マンダレーなどに大きな被害がでた。この余波は隣のタイの首都に及んだ。
バンコクで建設中の33階建て高層ビルが大音響とともに崩壊した。それは新築中のタイ情報省のビルで、中国ゼネコン大手の中鉄十局が請け負っていた。規格外の不良品の鉄筋が使われていたことが判明し、仕入れの誤魔化(ごまか)しと手抜き工事が明るみにでた。
しかし震源地から約1000キロも離れたバンコクである。確かにバンコクでは他にも高層ビルの外壁が損傷するなどの被害が目立ったが、建物そのものが崩落する事故は、この中国企業が建設していたビルだけだった。
■不祥事を美談に仕立てる習近平
「これはまずい」と中国の政治プロパガンダ機関は大胆なすり替え作戦を開始した。
習近平は地震発生翌日に、「中国とミャンマーは苦楽を共にする運命共同体だ」とミン・アウン・フライン総司令官に見舞い電報を送り、「必要な援助をすぐに提供する」と表明した。中国政府はミャンマーに救助隊員や地震専門家ら400人からなる特別チームを派遣し、体制御用のメディアも多数同行した。
なにはともあれ政治宣伝が優先するのだ。彼らにとって“宣伝”は政治の枢要な機能を果たす。この場合の「政治宣伝」とは嘘放送を意味する。
----------
宮崎 正弘(みやざき・まさひろ)
評論家
1946年生まれ。石川県出身。早稲田大学中退。「日本学生新聞」編集長、雑誌『浪曼』企画室長を経て、貿易会社を経営。1982年、『もうひとつの資源戦争』(講談社)で論壇へ。30年以上に亘る緻密な取材に定評がある日本を代表する中国ウォッチャー、海外からも注目されている。近著に、『常識 コモンセンスで取り戻す日本の未来』(ハート出版)、『豊臣兄弟と家康』(育鵬社)、『テクノ・リバタリアンの野望』(ワック)、『あの人の死にかた 死ぬことは生きることである』(ビジネス社)、『ステルス・ドラゴンの正体』『悪のススメ』(いずれもワニブックス刊)など。著作は300冊近い。5冊が中国語に翻訳されている。また作家として『拉致』『謀略投機』(共に徳間書店)などの国際ミステリーも執筆。
----------
(評論家 宮崎 正弘)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
