※本稿は、牧田善二『糖が脳を破壊する』(SB新書)の一部を再編集したものです。
■調理法を変えれば、老化促進物質は減らせる
習慣 調理温度で糖化リスクを回避する
老化の原因となる糖化は、糖がタンパク質と結びつくことで生じる「AGE」という物質によって促進されます。この老化促進物質AGEは、体内でつくられるだけでなく、食べ物自体にも含まれており、食事によって外から摂り入れてしまいます。
もとの食材そのものにも含まれますが、それはあまり気にするレベルではありません。問題は調理・加工によって激増させてしまうケースです。
基本的に、AGEは「高温調理」によって増えます。たとえば魚の場合、最もいいのが刺身などの生食。次いで、蒸す、茹でる、煮るなど「水を介した調理」。できるだけ避けたいのが、焼く、炒める、揚げるといった高温調理です。
水の沸点は100度なので、蒸す、茹でる、煮るなどの調理法では、特別な調理器具を使わない限り、100度以下で調理されます。
一方、揚げ物はたいてい油の温度が160~180度くらいになります。温度が高くなる分、AGEが増えてしまうのです。
さらに、鉄板を使って焼いたり炒めたりするときは、180~200度くらい、バーベキューのように直火で焼けば250度にも達します。
だから、直火焼きにしたり、高温のフライパンで焼いたりする場合でも、水を差して蒸し焼きにしたほうが温度が下がってAGEが減らせます。
■高温調理済みの加工品は最悪
現代人になくてはならない電子レンジですが、使える容器として「140度以上の耐熱性」が要件になっています。つまり、そのくらいの温度になるということです。
たとえば、点心のようなものを温め直すときには、電子レンジよりも蒸し器を使ったほうが温度は低く抑えられるはずです。それでも、先ほどの表に示したように、焼いたり揚げたりするよりは電子レンジのほうがAGEの量を抑えることができます。
なお、加工品はすでにどこかの段階で熱処理され、そもそもAGEが多くなっています。それをさらに高温調理すれば、AGEの塊と化します。たとえば、フランクフルトのバーベキューは最悪です。
ファストフード店のフライドポテトや、コンビニのフライドチキンなども、非常にAGEが多いうえに、アクリルアミドという発がん物質が含まれています。
■野菜に含まれる「ファイトケミカル」の効果
習慣 ファイトケミカルの力を借りる
「もっと野菜を食べなさい」
子どものころ、親から盛んに言われた記憶が、きっとあなたにもあるでしょう。それどころか、いまだに医者からそんな指導を受けている大人もいます。それだけ野菜嫌いの人が多いということでしょう。そして、そう言われるだけ野菜は「食べる価値」があるものなのです。
もちろん、ビタミンやミネラルなど、以前から知られている大事な栄養素を多く含むという面でも野菜は優れています。
それに加えて、近年、野菜に含まれる栄養素で非常に素晴らしいことがわかってきたのが「ファイトケミカル」です。
野菜のような植物は、動物のように移動ができないため、外敵の攻撃から逃げられません。それでも命をつなげるようにと強力な抗酸化物質を持っています。
その抗酸化物質がファイトケミカルです。野菜を食べることで、私たちもそのファイトケミカルを摂り入れることができるのです。
ファイトケミカルには、ポリフェノール、イソフラボン、アントシアニン、リコピン、クロロフィル……など、いくつかの種類があり、どれも私たちの老化防止に役立ってくれます。
先の表にあるように、食材の「色」によって含まれる主なファイトケミカルの種類が推測できます。限られた種類の野菜を食べるのではなく、旬のもの、そのときに安く手に入るものなどでいいので、なるべく多くの色の野菜を食べるようにすると、さまざまなファイトケミカルの恩恵にあずかれます。
■腸とうつ病や統合失調症の相関関係
習慣 腸を整える
腸と脳は、お互いに深く関与し合っていることが医学的にわかっており、それを「腸脳相関」と表現します。
実際に、腸内環境と認知症の関わりを示す研究も多くあり、脳の疾患であるうつ病や統合失調症などと腸内環境の関係性が示唆されています。たとえば、うつ病の人の腸内には、ビフィズス菌や乳酸菌などの良い腸内細菌が少なかったという報告がなされています。
腸には、「腸内神経叢(そう)」と呼ばれる脳と同じような神経ネットワークが存在します。このネットワークが情報を伝達し合い、消化液を分泌したり、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促したりすることで、消化・吸収・排泄をうまく行うことができるのです。
そして、このネットワークが発する情報は、腸内に留まらず脳にも伝わり自律神経に働きかけます。
自律神経は、血圧や呼吸、体温などを整える神経でありながら、自分の意思ではコントロールできません。脳が疲れてしまうと自律神経失調症を起こし、体のあちこちに不調が生じます。
そういうときにも、腸内環境が良ければ脳をサポートしてくれるので自律神経も整っていきますが、腸の調子が悪ければ、ますます自律神経が乱れてしまいます。
こうしたことからも、脳の機能維持や精神状態の安定には、腸内環境を整えることが重要なのは間違いありません。
脳に限らず、腸内環境の悪化は、あらゆる疾患のリスクを高めると考えられており、普段から腸に良い生活を心がけることは必須です。
納豆、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品をこまめに摂ったり、適度な運動を続けたりと、自分にあった「快腸ポイント」を探してください。
■現代人は食物繊維が不足している
習慣 食物繊維を適量摂る
野菜に多く含まれる食物繊維は、かつては「食べ物のカス」程度の認識しかされていませんでした。小腸で栄養として吸収されることなく、大腸まで届いて便として出てしまうからです。
しかし、今はその重要性が認識されています。大腸まで届くことで、腸内環境を整えてくれるのです。いわゆる「快便」の基準は人によってさまざまですが、できれば毎朝すっきりといい便を出したいところ。そのためには、普段の食事から適量の食物繊維を摂ることが望まれます。
食物繊維には、水に溶けない不溶性のものと、溶ける水溶性のものがあります。
筋っぽい野菜に多い不溶性食物繊維は、主に便のカサを増して便通を改善してくれます。そして海藻類やオクラなどネバネバした食材に多い水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサとなってくれます。
不溶性と水溶性の合計で、男性で1日20グラム、女性で18グラムの食物繊維を摂取することを厚生労働省は目標としていますが、実際には平均摂取量は15グラム程度と足りていません。
先に述べたように、腸内環境は脳の状態を大きく左右します。食物繊維不足を軽く見てはいけません。
とはいえ、摂り過ぎはお腹が張るなど、かえって腸内環境を悪化させますし、不溶性と水溶性どちらかに偏るのもNG。自分の体調をみながら、最適量をみつけてください。
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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。
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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)

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