※本稿は、谷尻誠『建築家で起業家の父が息子に綴る「人生の設計図」』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■義務感だけで付き合うことはやめた
「谷尻さんの周りには、いい人が多いですね」と、よく言われます。
理由は単純。文句ばかり言ってる人や、性格の悪いヤツとは付き合わないようにしているからです。
最初は誰とでも会ってみますが、不平不満や誰かの悪口を言うような人だったら、もう次はない。
「誘われて断るのも、逆に面倒くさい」
「角が立つから」
「深く付き合いさえしなければ、害はない」
こういった理由で、なんとなくズルズルと付き合い続けるようなことを、僕はしたくありません。
誰かの悪口を言うことで仲間意識を共有しようとする人もいますが、そんな人は、「きっとこの人は、僕のこともどこかで悪く言うんだろうなあ」と警戒します。
お誘いを受けても「ちょっと忙しいので」って会わないようにする。断り続けていれば、誘われなくなりますから。
広島から東京に出てきてすぐの頃は、知り合いも少ないし友達もいないので、誘われたら全部顔を出していたのです。
「できるだけ漂流しよう」と決めて、気が乗らなくても会いに行った。
ユラユラと流されてたどり着いた島に、想像もしなかったおいしい果物が実っていることがあるように、自分の価値観の基準では選ばないであろう人たちとの出会いがあるかもしれない……そう思っていたから。
おかげで、本当にたくさんの人と出会うことができたし、世界も広がりました。
一方で、あまり“うれしくないもの”を手に入れてしまったのも事実です。
それは、「この人がいるから行っておいたほうがいい」とか「仕事につながりそうだから、会ってみたほうがいい」とか、そういう種類の人付き合い。
今はもう、そういう関係を少しずつ見直して、義務感だけで付き合うことはやめるようにしています。
■「未来の話」をする人にはいい仲間が集まる
さて、ありとあらゆる飲み会に参加する“漂流の日々”で得た教訓のひとつが、どういう人と付き合うと、楽しい時間が過ごせて前向きになれるか……ということです。
僕の持論では、ずばり、「未来の話」と「自分自身の話」をしてくれる人。
「自分は過去にこういう建物をつくって、こう評価された、こんな雑誌に載った」という話ではありません。
「いつか仲間を集めて、こういうアート施設がつくれたらいいと思わない?」と語ってくれる人。
誰かの噂話ではなく、「私はこういうことが好きで、こんなふうに考えてるんだ」と話してくれる人。
……そういう人といると、だいたい前向きになれるし、“その先”につながることが多いからです。
反対に、職場の先輩が気に食わないとか、後輩が生意気だとか、文句ばかり言っている人に聞きたいのは、「でも、その居場所を選んでいるのはあなた自身じゃないの?」ということです。
環境に文句を言うヒマがあるなら、その環境を自ら変えればいい。
不平不満を漏らしている人は、その人自身の振る舞いがよくないから、相手から思い通りの対応をしてもらえないのでは、と思うことが多いのです。そういうとき、僕ははっきりと伝えます。
「相手のことを悪く言っているけれど、実はあなたに問題があるんだよ。あなた自身がいい付き合い方をするようになれば、いい対応が返ってくる。
あなたがいるおかげでそのコミュニティーが楽しくなることがわかれば、周囲の人も変わるはず。自分の行い次第で、いくらでも楽しい方向に持っていけるんだよ」と。
■自分の考えやビジョンを持っているか
さて、話を戻しましょう。
なぜ「未来の話」と「自分自身の話」をする人がよいのかというと、どちらも普段から意識していないとできない話だから。
つまり、その人が、自分の考えやビジョンを持っていることの証しだからです。未来の話をする人は、だいたい頑張ろうとしている人なので、会うと元気をもらえますし、僕ももうちょっと頑張るぞと刺激をもらえる。
場合によっては、面白い物語を“読み聞かせ”してもらっているような気分になることすらあります。
つまり、僕の目の前にいる彼は、「彼の未来の話」という初めて知る物語のストーリーテラー。
「ここが面白いんだよ、これが大事なんだよ」と声に出して僕に読み聞かせてくれているわけです。そういう人に出会うと、こちらの脳も活性化して、新しい発想が生まれてきます。
ちなみに、親交を深めるときの食事は、焼き鳥か寿司。カウンターがマストです。理由は三つあります。
まず、どちらもできたてをすぐ食べられるから。料理はできたてがおいしいに決まっていますが、焼き鳥と寿司は、とりわけ旨い。
■いっしょに鍵を開ける人でありたい
二つ目の理由は、シンプルだから。素材を最大限に生かしつつ、調理する人はそれを引き出すための最小限の役割だけを担っている。
三つ目は、つくっている様子が見えて楽しい。つまり、五感で堪能できるから。
そして、こういうシーンで僕がするのは、「泊まれる美術館」の話です。
国内外の建築家10人に、「美術館自体がインスタレーションとなるような建物で、かつ泊まれる建築」をつくってください、とオファーする。
で、広い敷地にそれらを集めて美術館をつくる。そこを訪れれば、建築家がつくったアートとしての建築を見ることができて、しかも泊まれる――ね? 楽しいでしょう、と。
「門」の中に「人」と書いて「閃く」と読みますよね。
僕はこの文字を見ると想像するんです。自分のやりたいことがわからない人の頭の中には門がある。その門には鍵がかかっているので、門の先にあるものが見えません。
ところがそこへ人がやって来て、コミュニケーションが生まれることで解錠され、門が開く。門の先には新しい何かが待っていて、それが「ひらめく」っていうことなのかな、と。
これは僕の勝手な解釈ですが、僕が会話をしたいのは、そうやっていっしょに鍵を開けてくれる人。
自分も誰かにとっての、そういう存在でありたいと思います。
■自分のジャッジを信じ抜く
ところで、人付き合いにしろ仕事にしろ、僕は「断ってしまったけれど、やっておけばよかった」というような、後悔や未練を抱くことはほとんどありません。
その理由のひとつは、それを選ばなかったことで、もっとよいことと出合えているはずだから。
小さい頃、祖母から「捨てる神あれば拾う神あり」とよく聞かされていましたが、まさにその通り。これまで経験した多くの場面を振り返っても、そういうことがたくさんあったのです。
とはいえ、若いうちは、自分の選択に未練が残ることだってあるでしょう。自分が断った仕事を同僚がやって成果をあげているのを見て後悔する……といったこともあるかもしれません。
もしも、それが自分で決めたことならば、
「なぜ、断ったのか」
「なぜ、後悔しているのか」
「次に同じことがあれば、どうするのか」
と、自問自答してみるのもいいでしょう。問いを繰り返すうち、ジャッジの迷いも、未練を持つことも次第に減っていくはずです。
反対に、人に言われて決めたことだとしたら、誰かに責任転嫁したくなり、理由や改善策を考えるまでには至りにくい。きっとまた同じことを繰り返してしまいます。
だからこそ、自分で考えることをサボらず、一つひとつを「自分事」としてジャッジしてほしい。
自分のジャッジを信じられれば、未練が残ることはない。
未練がなければ、他人を妬んだり、ウジウジしたりすることも減り、生きるのがぐっとラクになります。
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谷尻 誠(たにじり・まこと)
建築家、起業家
1974年広島生まれ。2000年、建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICEを設立。2014年より吉田愛と共同主宰。広島・東京の2カ所を拠点とし、インテリアから住宅、複合施設まで国内外で多数のプロジェクトを手がける。近年は「絶景不動産」「tecture」「DAICHI」「yado」「Mietell」など多分野で開業。事業と設計をブリッジさせて活動している。2023年、広島本社の移転を機に商業施設「猫屋町ビルヂング」の運営をスタート。2025年には「葉養」というサプリメントをリリースするなど、ビジネスの幅を広げている。著書に『CHANGE 未来を変える、これからの働き方』(主婦の友社)など多数。
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(建築家、起業家 谷尻 誠)

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