※本稿は、下方浩史『90歳まで健康長寿』(文春新書)の一部を再編集したものです。
■1日100gの果物が血管を守る
近年、日本人のフルーツの摂取量が落ちています。値段の高騰や皮を剥くのが面倒になったなど、その理由は様々です。
しかしながら、フルーツには、血管をしなやかに保つ効果や老化防止、水分補給など、高齢者にとってもたらされる様々な恩恵があります。
フルーツには体内の余分な塩分を排出するカリウムが多く含まれています。そのため、高血圧症の予防のためにも野菜と同様にフルーツを摂ったほうがいいのです。また、フルーツには食物繊維が多く含まれているので、腸内環境が改善され、便秘の解消につながります。
その上、フルーツから摂れるビタミンは抗酸化力が強い。そのため、免疫力の向上やがん予防にもつながります。そして、なんといっても動脈硬化の予防など、しなやかな血管を作るために欠かせない栄養素がたくさん入っているのです。
まずは1日に食べるべきフルーツの量から考えてみましょう。
これをシニアにちょうど良いバランスで考えると、野菜が300gで、果物が100gほどでしょう。みかんなら1個が約100g。りんごの場合なら1個が約200gなので、半分が目安となります。
■バナナには血圧を下げる効果がある
「フルーツに含まれる果糖を摂り過ぎると、糖尿病になる」という説を唱える人もいます。たしかに糖分の摂り過ぎは、糖尿病になる可能性がある。しかし、みかんを1日に5個も6個も食べるような極端な生活をずっと続けていれば別ですが、毎日1個のみかんを食べ続けるくらいであれば何も心配することはありません。
では、毎日食べて欲しいフルーツを紹介していきましょう。まずはバナナです。
バナナは、カリウムが豊富で、血圧を下げる効果が期待できます。さらに、ビタミンB2は、血流を良くする効果があり、毛細血管の機能を正常に保つとされています。また、脳の活動に必要な糖質や、神経伝達物質の合成を助けるビタミンB6も含んでいます。
バナナ100g(可食部)あたりのカリウムの量は360mg。厚労省「日本人の食事摂取基準」(2025年)では、カリウムの摂取目標量は成人男性が3000mg/日、成人女性は2600mg/日です。
皮がついた状態のバナナの重量は品種や大きさにもよりますが、概ね200gです。皮を剥くと、一般的に120~150gの重さとなるため、1本あたりのカリウム量は430~540mg。
バナナ2本で1日に推奨されるカリウムの約3分の1~約4分の1が摂取可能です。1日100gの果物の摂取目標もクリアしやすいでしょう。
■メロンが持つ意外な健康効果
フルーツは旬に味わうことも忘れてはいけません。栄養価も高く、値段も手ごろだからです。
春はいちごの旬の季節。
いちご(生)のビタミンC含有量は、100gあたり62mg。厚労省によれば、15歳以上のビタミンCの1日の摂取推奨量は、100mgです。いちご1粒の重さは一般的に15gと言われます。6~7個のいちごを食べることで、十分なビタミンCを摂ることができます。
夏にはフルーツ四天王が旬を迎えます。桃、ブルーベリー、メロン、スイカの4種です。
桃は食物繊維が豊富で、柔らかく消化もいいので食べやすい。血流改善効果があるビタミンEも含まれています。
ブルーベリーは抗酸化力の強いアントシアニンを含みます。よく知られていますが、目に良いフルーツでもある。
いずれもウリ科のメロンとスイカは、それぞれ特徴があります。メロンはカリウムとβ‐カロテンが豊富。β‐カロテンは体内でビタミンAに変換されますが、皮膚や粘膜を丈夫にして、動脈硬化の予防に効果があると言われています。
一方でスイカはほとんどが水分で、高齢者の水分補給に役立つ。スイカには、アミノ酸の一種であるシトルリンが含まれます。シトルリンには血管を拡張させる効果があります。
■梨とリンゴは動脈硬化予防になる
実りの秋は様々な果物が出回ります。
これは糖アルコールの一種で、虫歯予防に効果があるのです。虫歯の菌が血液へ流れ込むと、血管に炎症を引き起こして動脈硬化の原因になるので、梨を食べて予防をしましょう。
ぶどうも忘れてはならないフルーツです。ぶどうは抗酸化力の強いポリフェノールがたくさん含まれており、血管の老化を防ぐ効果があります。血管を若々しく保つ助けとなって、血流を良くする。また、ポリフェノールには、LDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑制する働きがあるので、動脈硬化予防に役立ちます。
ワインが血管にいいという話は知られています。この説自体は間違いではないのですが、アルコールとして摂取するよりも、フルーツのぶどうを食べる方がよりよいでしょう。ぶどうは品種にもよりますが、1房200gほどとすると、半分くらいが1日の適量と言えます。
冬が旬のフルーツといえばりんごとみかんが欠かせません。りんごに含まれるりんごポリフェノールは、ぶどうと同じで抗酸化力が強く、動脈硬化の予防にうってつけ。
冬のフルーツの王様である温州みかんの栄養価は高齢者にとって大変魅力的です。温州みかんに多く含まれるカロテノイドの一種、β‐クリプトキサンチンは強力な抗酸化力を持っています。
さらに、骨を形成する細胞を活性化するので、骨粗鬆症の予防にも役立つ。その上、インスリン抵抗性の改善作用があるため糖尿病予防にもなるという優れものです。
■缶詰よりもカットフルーツがオススメ
「フルーツの缶詰でもいいの?」という疑問を持つ人もいるでしょう。注意して食べる必要がある、というのが私の考えです。
缶詰のフルーツは甘いシロップ漬けにされているためです。シロップの糖分は、当然ながら本来のフルーツの栄養とは別物です。糖分が多すぎるのです。もったいないからと飲むなんてもってのほかです。オリゴ糖を使った比較的健康に配慮したシロップもあるのでそちらを選ぶようにしましょう。
缶詰よりもおすすめしたいのは、カットしたりんごや桃などをパックにした商品です。また、冷凍のみかん、ブルーベリー、マンゴーもスーパーやコンビニで売られています。こちらのほうが、素材そのものを活かしているので健康にはよいでしょう。
最後にフルーツジュースの話をしておきましょう。市販のフルーツジュースは、砂糖がかなり多く加えられています。購入する際は成分表を必ずチェックするようにしてください。
手間はかかりますが、自分でフルーツジュースを作って飲むのがベスト。もちろん砂糖は加えないようにしてください。
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下方 浩史(しもかた・ひろし)
名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科教授
1953年生まれ。医学博士(名古屋大学)。1977年、名古屋大学医学部医学科卒業、1982年、名古屋大学大学院博士課程医学研究科内科学専攻満期退学。1986~1990年、アメリカ国立老化研究所客員研究員。その後、広島大学原爆放射能医学研究所疫学・社会医学研究部門助教授、国立長寿医療研究センター疫学研究部部長、同センター予防開発部部長、名古屋学芸大学健康・栄養研究所研究所長などを歴任。日本内科学会認定内科医、日本老年医学会老年病専門医、日本臨床栄養学会認定臨床栄養指導医、日本疫学会上級疫学専門家。著書に、『100歳まで自然に元気な和食の流儀:そんな日本人の生活習慣が人類を救う!』(白秋社)、『90歳まで健康長寿』(文春新書)などがある。
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(名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科教授 下方 浩史)

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