社内外から仕事を依頼された時、どう「返答」するのがベストなのか。マーケティングコンサルタントで会社経営者の宮脇啓輔さんは「私の会社では、『了解しました』『頑張ります』といった抽象的表現を禁止にしている。
相手の不安を増幅させ、自分自身も思考停止に陥りかねないからだ」という――。
※本稿は、宮脇啓輔『できる人が大事にしている 複利で伸びる仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
■具体的でない返答は、相手を不安にさせる
弊社では、「了解しました」を禁止ワードにしています。正確には、信頼関係ができるまでは「了解しました」「頑張ります」「改善します」といった抽象的な返答を控えてもらっています。
理由はシンプルで、「何を」「いつまでに」やるのかが不明確なままでは、仕事の精度もスピードも下がるからです。特に経験が浅い段階や、信頼関係がまだ十分でない相手との仕事では、相手の不安を増幅させるばかりか、自分自身が思考停止に陥りかねません。
そもそも、みんな「了解」しすぎなのです。新しい関係性のなかでは、阿吽の呼吸ではなく「何を、いつまでに、どのレベルで行うか」を明確にすり合わせる必要があります。
そのため私は、新しいメンバーに「了解しました」とだけ返されると、必ず「では、具体的にどう進めましょうか?」と問いかけるようにしています。
共通言語が少ない状態では、言葉を具体化することこそが信頼構築の第一歩なのです。
■アウトプットの品質と期待値調整が重要
仕事のボールの投げ合いには、常に「品質」と「納期」が存在します。理想的なのは、以下のように、シンプルに完結する関係です。

「これお願い!」

「了解!」
すでに信頼関係があり、相手が期待する水準を理解しているなら、これで十分です。しかし現実には、以下のようなやり取りが必要です。
「これお願い!」

「ごめん、これって目的は? 期限も知りたい」

「○○プロジェクトで使う上申資料だから、来週月曜までに欲しい」

「なるほど。では水曜に3~4割完成度で一度出して、口頭で確認させてください。不明点は随時チャットで伺います」
このように「目的・期限・中間報告」を明示することで、双方の安心感が生まれます。信頼関係が浅い相手ほど、こうしたやり取りが必要なのです。
図表1をご覧ください。
「了解!」とだけ返す人は、確認や報告が少ないため、不安を残し、重要な仕事を任されにくくなります。一方で、何度も確認ばかりしてしまう人も考えものです。相手の思考をなぞるだけになり、主体的な判断力が育たず、「自走できない人」とみなされてしまうからです。
つまり、両極端ではダメ。求められるのは、タスクの重要度と関係性に応じて「擦り合わせの濃度」を変えることです。

■理想的な“了解”コミュニケーション
“了解”コミュニケーションは「相手との信頼関係」と「タスクに対する自信」によって変動します(図表2)。そしてそれを依頼主側が都度ジャッジする必要があります。
ここからは4つのパターンそれぞれにおいて適切なコミュニケーションについて、解説していきます。
① 阿吽の呼吸
[発生する場面]長期間にわたって一緒に仕事をしてきた上司や同僚からのタスク

[取るべき行動]「了解です」のみで返信する

[会話イメージ]

「この仕事お願いしていい?」「了解です!」
② 念には念を
[発生する場面]信頼関係がある上司や同僚からの新しい分野のタスク

[取るべき行動]「了解です」の後に、方針のすり合わせと期待値調整を行う

[会話イメージ]

「この仕事お願いしていい?」

「了解です! ちょっとうまくできるかわからないので、いったん明日までに出しますね」
③ 要注意! 認識の齟齬多発
[発生する場面]外注先や他部署からのタスク

[取るべき行動]相手の不安を解消すべく、期限やイメージのすり合わせを丁寧に行う

[会話イメージ]

「この仕事お願いしていい?」

「了解しました。期限やアウトプットのイメージがあれば教えてください。いったん明日までに対応したものを見ていただけますか?」
④ すべてを確認
[発生する場面]初めて一緒に仕事をする相手からのタスク

[取るべき行動]そもそもの目的や背景を確認。期待値調整もしつつ、軌道修正可能なスケジュール感で進めることを伝える

[会話イメージ]

「この仕事お願いしていい?」

「わかりました。このタスクを進めるにあたり、『目的や背景』『期限』『アウトプットのイメージ』を教えていただけますか? また、明日中に一度フィードバックをいただき、次回の進め方を相談させてください」
このように、状況ごとに「会話のイメージ」も異なります。
たとえば信頼関係のある上司からの依頼なら、「了解しました!」だけでも通じますが、初めての相手や新しい業務では「目的」「期限」「期待値」などを細かく確認しなければなりません。
■「了解」の仕方を自分で設計する
安易な「了解」が危険なのは、相手に不安を残すからです。信頼関係ができていれば、「この人が了解って言うなら大丈夫」と思ってもらえます。しかし信頼が浅いうちは、「了解」の一言では信用を得られません。

また、自分がタスクに自信を持っていても油断は禁物です。相手があなたの実力をまだ知らない場合、説明不足がトラブルのもとになります。
つまり、「了解」をどう伝えるかは、相手との関係性とタスクの難度によって設計すべきなのです。安心の回数が信頼関係をつくります。だからこそ、安易な「了解」に逃げず、丁寧なコミュニケーションを重ねていきましょう。

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宮脇 啓輔(みやわき・けいすけ)

unname 代表取締役、マーケティングコンサルタント、日経COMEMOキーオピニオンリーダー

1991年3月生まれ。滋賀出身、立教大学卒。2014年、新卒でサイバーエージェント入社。社会人としてのスタンス、コミュニケーション力、基礎動作などのソフトスキルを習得し、Web広告運用コンサルタントとして月間1.5億円の運用実績をあげる。2017年、上場前のBASEに入社し、アプリマーケティングを担当。2018年、ペイミーにCMOとして参画し、BtoBマーケの立ち上げから、ビジネスチーム全体のマネジメントまで行う。2019年、unnameを創業。
BtoB企業を中心に累計約50社のマーケティング支援を行う。現在は総合マーケティングカンパニーとして、支援業務以外に、研修事業、プロダクト事業などを展開している。社内Slackで情報発信をしていたところ、「外に発信しないともったいない」と言われ、Xとnoteで20~30代向けに発信を始める。その一つである“「頭の回転が速い」を科学する”がnote社主催の創作大賞2024入選。本書が初の著作となる。

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(unname 代表取締役、マーケティングコンサルタント、日経COMEMOキーオピニオンリーダー 宮脇 啓輔)
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