健康な人生を歩める人の共通の特徴は何か。心理学者の内藤誼人さんは「内向型の人の人付き合いの喧騒から距離を置く生活習慣は、心とエネルギーを守るだけでなく、結果として健康的な体型を維持する最高のソリューションとなっている」という――。

※本稿は、内藤誼人『もの静かで繊細なあなたが生きやすくなる本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■控えめで落ち着いた人ほど「健康で長生き」
肥満には、デメリットしかありません。肥満になると、糖尿病、脂質異常症、高血圧、痛風、動脈硬化、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群などなど、あらゆる病気のリスクが高まってしまいます。怖いですね。
いつまでも健康な人生を歩みたいのであれば、暴飲暴食を避け、できるだけスリムでいる必要があります。
これに関しては、明らかに内向的な人が有利だという報告があります。
米国の国立老化研究所(NIA)のアンジェリナ・サッティンは、1988名の人たちを50年以上にわたって追跡調査し、社交的な性格の人ほどBMIが高い、つまり、肥満になりやすい傾向があることを明らかにしました。
私は昔から、外向的な人は肥満で、内向的な人は細身であることが多いような印象を持っていたのですが、サッティンの論文を読んで、「ああ、やっぱりそうだったのか」と納得しました。
社交的な人は、たくさんの友だちがいるので、食事に誘われる機会も増えてしまいます。他の人と一緒に食事をするときには、お酒も飲むでしょうし、いきおいでカロリーの高いものを摂取することにもなりがちですから、肥満にもなりやすいのでしょう。
一方、内向的な人は、集団でいることのエネルギー消耗を避けるため、そもそも交友関係を慎重に選び、大人数での会食に頻繁に出かけることはありません。
■「ぽっこりお腹」と無縁でいられるワケ
他の人と一緒に食事をしていると、楽しい気分になることもあり、つい普段以上にお酒を飲んだり、料理を食べすぎてしまったりするものです。

これでは、肥満を避けるのは難しいでしょう。気づいたときには、お腹がぽっこりと出てしまい、そのお腹はなかなか引っ込んでくれないのです。
その点、一人を好むあなたは、たとえ外食をするときでも「おひとりさま」を選ぶことが多いでしょう。静かな環境では食事時間もそれほど長くかかりませんし、食べる量も冷静に抑制できます。だから、スリムな体型を維持できるわけです。
人付き合いの喧騒から距離を置く生活習慣は、あなたの心とエネルギーを守るだけでなく、結果として健康的な体型を維持する最高のソリューションとなっているのです。スリムな体型のほうが、生活習慣病になることもなく、長生きもできます。
英語には、「陽気な太っちょ」(jolly fat)という表現があります。肥満者ほど陽気な楽天家が多いのですが、陽気なことはよいことでも、肥満であることは明らかにマイナスですので、あまり望ましいことでもありません。
■気づけば相手を「武装解除」できてしまう
私たちは、悲惨な状況にある人を見ると、「かわいそうだ」と感じて、そういう人にはやさしく接しようと思うものです。
政治家や企業家が何か悪いことをして会見を開いたとします。記者たちはイヤな質問をぶつけて責めたてたりもしますが、涙をポロポロ流しながら謝罪されると、「まぁ、この辺にしておこう」と手心を加えるものです。

不祥事を起こしてタレントが会見を開くときもそうですね。涙を見せながら平身低頭する姿をテレビなどで見せられると、視聴者は、怒りよりも同情する気持ちのほうが強くなり、許してあげようと思うものです。
たとえば、飲食店などで迷惑をこうむったお客さまが、店員さんに怒鳴っているとしましょう。
店員さんが泣きそうな顔で必死に謝っていると、それを見た付近の人たちも同情し始め、今度はその店員さんの味方になって、
「あんたの言い分もわからないわけじゃないけどさぁ、もうその辺でやめておいたら?」

「そうだよ、このお店が気に入らないのなら、お前が出ていけばいいじゃないか」などと助け船を出したりするものです。
米国カリフォルニア大学のダッチャー・ケルトナーによると、顔を赤らめたり、恥ずかしそうにしたり、内気なことを示すアピールは、相手の攻撃性を弱めたり、緊張や衝突を減らしたりする効果があるそうです。これはうれしいですね。
内気な人は、「相手に迷惑をかけても許してもらいやすい」という、まことにありがたい恩恵を受けることができるのです。
■「情けない姿」も見せられる芯の強さ
また、たとえば会社で来客にコーヒーやお茶をこぼしてしまったとしても、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにうつむき、「すみません、すみません」とくり返しながら何度も頭を下げていれば、おそらくは「いいよ、いいよ、これくらい大丈夫」とすぐに許してもらえるでしょう。
いや、許してもらえるばかりか、「新人さんなのかな? きちんとお詫びするところも初々しいな」とプラスの評価さえしてもらえるかもしれません。
迷惑をかけても、まったく反省をしていないというか、ふてぶてしい顔をしている人は、相手の怒りに火をつけてしまうことも少なくないのです。
叱られているのに、まったく動じない人は確実に損をします。「肝が太い」といえばそうなのかもしれませんが、相手の目には「傍若無人で失礼な人」としか映らないものなのです。

恥ずかしがるアピールは、決して悪いものではありません。
情けない姿も、どんどん見せましょう。
自分の弱さは積極的に見せるべきで、隠そうとすれば、それは「宝の持ち腐れ」となってしまいます。
せっかくの長所なのに、もったいないですよ。

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)

心理学者

慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。

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(心理学者 内藤 誼人)
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