成功する人の習慣は何か。5つの仕事を掛け持つ時間管理コンサルタントの石川和男さんは「私が師事していたカリスマ的存在の先生は300万円を超える腕時計を身に纏っていたが、その事務所はボロボロの黒く朽ちた木造の小屋だった。
成功者は、限られた資金をどこに投資するかを考えて戦略を立てている」という――。
※本稿は、石川和男『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■年収3億円を超える経営者が最優先する予定
私が知っている超一流の経営者の共通点は、スポーツジムに通っていることです。彼らは、ガムシャラに働き成功者になり、そして経済的な自由を手に入れました。
この事業を維持し、さらに成長させていくためには、自分自身が健康でいなければなりません。また自分が倒れてしまうと、家族や従業員を路頭に迷わすことにもなります。だから健康に対する重要性がより高まり、運動することで健康な身体を維持しているのです。
しかし超一流の経営者は、文字通り「超」がつくほど激務です。そんな忙しい中、なぜジムに通えるのか?
年収3億円を超える経営者から聞いた話です。
「まずジムに行く日を決めること。決めたらスケジュール帳にそれを書き込む。人に会う約束より先に、ジムを予定に入れてしまうんだ」
スポーツに限らず、プライベートの時間を大切にしている人は、自分との約束もスケジュール帳に書き込んで他の予定を入れない方法をとっているのです。

30代を過ぎると新陳代謝も悪くなり、身体の脂肪が落ちにくくなります。メタボ検診で危険な状態だと言われてしまう人もいるでしょう。人は見た目が9割と言うように、太っているだけで仕事が遅いイメージを持たれてしまいます。
仕事が遅いリーダーは、それを分かっているのに、忙しすぎてジムに行く暇もないといって健康管理を疎かにします。すると、健康を害して病院へ行ったり、休まざるをえなくなったりして、さらに仕事が遅くなるという悪循環に陥ります。
■手間のいらない最速最強の運動
しかし、ジムに通わなくても、運動することはできるのです。
それは歩くことです。
歩くことは一番気軽にできる運動です。まず準備がいりません。実は続けられない原因の一つに、準備が面倒ということが挙げられるのです。
ジム、水泳、野球などは、まずその施設へ行かなければできません。水着やユニフォームに着替えたり、バットやグローブを用意しなければなりません。

頭でこの準備を考えるだけで面倒になり、続かなくなるのです。その点、歩くとは、立ち上がって一歩前に出ること。準備という手間のいらない最速最強の運動なのです。
私の友人に「歩き方」の専門家で、柔道整復師の新津和明先生がいます。姿勢と歩き方の専門院「アルケル治療院」の院長である新津先生から、歩くことの重要性を聞きました。
「私たち人は動物の一員です。字のごとく『動く生物』です。その動く生物が動かなくなると、いずれ食べられなくなり、当然生きていけなくなります。仮に私たち一人一人が歩くことをやめてしまえば、地球上から人という動物が絶滅するという一大事が起きてしまいます」
■コピーをしている最中に屈伸でもいい
「逆を言えば、歩いているからこそ生存し、現在まで進化し続けています。歩くことは、身体の筋肉の6~8割を働かせる全身体操と言われています。寝たきりになってまったく動けなくなると、筋肉は3日で衰えて骨も脆くなり、身体が弱ってきてしまうのです」
創業37年の治療院の子どもとして生まれ、生まれながらにして人の痛みと向き合う環境下で育ち、いつか自分も身体の痛みで悩む人の役に立ちたいと考え、柔道整復師になった新津先生から聞いた話には説得力があります。
しかし、デスクワークの多い仕事では、歩くことを習慣化するのは大変です。

そこで、登場するのが万歩計です。毎日の歩数を記録し昨日の自分より一歩でも多く歩く。記録をするとゲーム感覚で歩くことができ、週間や月間で記録を塗り替えるという目標も立てられます。体重や体脂肪も記録すると、より楽しめます。
まとまった時間を確保しなくても構いません。エレベーターやエスカレーターを利用していたのを階段に変える、一駅前で降りて景色を楽しみながら歩く、コピーをしている最中に屈伸するなどして、一歩でも増やしましょう(笑)。
仕事が速いリーダーは、健康管理に人一倍気を使う!
■300万円超の腕時計なのにボロボロの事務所
私は今でこそ大学や専門学校で講師をし、講師オーディションでも優勝していますが、20代後半までは人前で話すのが大の苦手でした。赤面恐怖症を治す講座にも足を運んだくらいです。
税理士資格を取ったあとも、そんな性格を直して、関係者の皆さんときちんと話せるようになりたいと思い、「セミナー講師養成学校」に通いました。
学校が終わったあとは、懇親会にも参加していたので、先生とも仲良くなりました。十冊以上の書籍を出版している先生です。
北海道の田舎育ちだった私にとって、カリスマ的存在でした。
オーダーで仕上げたワイシャツとスーツ、高級な靴、300万円を超える腕時計。憧れの先生でした。
ある日、その先生の事務所へ遊びに行く機会がありました。
田舎にあるその事務所は、お客さんが来ることもないので、執筆活動にだけ使っていると聞いていました。車のナビに事務所の住所を登録して出かけます。
1時間後、事務所周辺に近づきましたが、それらしき建物は見当たりません。「目的地に到着しました。案内を終了します」というナビのアナウンスが終わっても、事務所がないのです。
看板一つ立っていません。あるのは、ボロボロの黒く朽ちた木造の小屋。その駐車場には、5万円もらってもいらないようなポンコツの軽自動車。
「まさか、ここ⁉」
立てつけの悪い引き戸のドアを思いっきり引っ張ると、そこには……先生が立っていました。

■限られた資金を、どこに投資するか
先生いわく「誰も来ない事務所や、通勤でしか使わない自動車にお金をかける必要はない。講師業は夢を売る商売。ヨレヨレのスーツを着て安い腕時計をしている人から、成功の話を聞いても説得力がないでしょ? ブランド力を高めるためには、事務所や車より、スーツや時計にお金をかけたほうがいいんだよ」とのこと。
限られた資金を、どこに投資するかを考えての戦略。さすがだと思いました。
また、私の顧問先の社長は40代。70代の父親から、8期連続赤字だった会社を引き継ぎ、3期連続黒字に回復させたやり手です。
社長といっても、総務部長を兼任するプレイングマネージャー的な存在。誰よりも早く会社に来て、3人分は働いています。人員整理で3分の1の社員が辞めたため、社長自ら3倍の仕事をしなければなりません。
車はなんと軽自動車。先代の社長は、運転手つきの最高級ドイツ車でした。
リモコンでシャッターを上げ下げできる車庫も完備されていました。
しかし、新社長はその車庫を使わず、会社の玄関から一番近い、事務所の壁に面した青空駐車場に停めています。すぐに発進できるし、バックで停める必要もない。玄関から一番近いので、数歩で事務所に出入りできる。軽自動車なので、狭い裏道を走るのにも便利。
運転手つきの高級車に乗って時間をかけるよりも、小回りのきく軽自動車に乗って活動したほうが速いのです。シャッターを上げてバックで駐車し、シャッターを閉めるより、青空駐車場に停めるほうが速いのです。
■社長室を最上階から1階に移して作業服で出勤
また、社長室を最上階から1階に移し、すぐに現場に出られるように作業服で出勤しています。作業服で出勤すれば、毎朝スーツを選ぶのに悩む時間も削減できます。仕事が速いリーダーになればなるほど、初動が速くできることを優先するのです。
一方、仕事が遅いリーダーは、初動の速さよりも威厳や見栄を優先します。昇進すればするほど、役職が上がれば上がるほど、機能性より高級感を重視してしまう方を多く見かけます。
前述した先生は、限られた資金をどこに投資するかで戦略を立てました。
新社長は、限られた時間をどのように使うかで戦略を立てました。
あなたは体裁を気にして、余計なものにお金や時間を使っていないでしょうか?
限られた資源をどう使うか、戦略を立てましょう。
仕事が速いリーダーは、見栄えよりも機能性を重視する!

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石川 和男 (いしかわ・かずお)

時間管理コンサルタント

1968年、北海道生まれ。現在は建設会社総務経理担当部長、税理士、セミナー講師など、5つの仕事を掛け持ちしている。大学卒業後、建設会社に入社。はじめて管理職になったときに、時間管理やリーダー論のビジネス書を1年で100冊読み、仕事術関係のセミナーを月1回受講するというノルマを自らに課し、良いコンテンツやノウハウを取り入れ、実践することで徐々に残業を減らしていく。さらに1日の時間の使い方を徹底的に見直すことで、最終的には業績を保ったまま残業ゼロを実現させる。また空いた時間で、各種資格試験にも挑戦。働きながら、税理士、宅地建物取引士、建設業経理事務士1級などの資格試験に合格。仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。著書に『仕事が速い人は、「これ」しかやらない ラクして速く成果を出す「7つの原則」』(PHP研究所)など多数。

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(時間管理コンサルタント 石川 和男 )
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