※本稿は、石川和男『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■会計処理は、唯一の方法ではない
スポーツやゲームにルールがあるように、会計にも「真実性の原則」というルールがあります。これは「会社の経営状況について、企業を取り巻く利害関係者に、真実を報告しなければならない」というルールです。
企業を取り巻く利害関係者は、仕入先、得意先、国、税務署、銀行、関係会社、株主、消費者など実に多く、これらの利害関係者に「嘘偽りのない報告をしてくださいね」というのが「真実性の原則」です。
では、ここで言う真実は、どのように導き出されるのでしょうか?
例えば、会計では建物や車の価値が下がったときに、価値の目減り分を計算しなければなりません。その方法は一つだけではなく、定額法や定率法、級数法など様々な方法が認められています。商品を売ったり買ったりするときも、三分割法や分記法、総記法など、様々な会計方法が認められています。
つまり会計処理は、唯一の方法(絶対的真実)ではなく、法律で認められた範囲内なら、会社の実情に応じて様々な方法(相対的真実)の中から選んでもいいのです。
■部下の考えを狭めるリーダーはこんな人
小学1年生の授業風景。先生に「1+1は?」と聞かれたら、大きな声で「にぃ~」と答える子どもたち。これしか正解がないと考えるのが絶対的真実。
しかし、学年が上がるにつれ、「二つ」やワンツースリーの「ツー」、そして無言で「Vサイン」を掲げるという正解も導き出せるようになります。様々な正解がある。これが相対的真実。
これをリーダーに当てはめると、仕事が速いリーダーは相対的真実を求め、仕事が遅いリーダーは絶対的真実を求める傾向にあります。
私は建設会社に勤めています。建設物の特徴は、請負金額が一般の製造業と比べて高額なことです。物件によっては、数十億円、数百億円になることもあります。
また、一つの工事を完成させるためには、土工事、コンクリート工事、鉄筋工事など、20種類もの工種から構成されている場合が多い。個別に受注して生産するので、オーダースーツと一緒で、同じ工事は一つもありません。
これらの理由から、担当した現場の所長の責任は重く、工事完成のための全権を握っています。その工事現場の中では、所長(リーダー)は社長と同じなのです。
そんな現場で成功しないのは、絶対的真実を求める所長(リーダー)。
ワンマン社長のように、自分が言ったことが絶対。この仕事の手段は、自分の考えた方法が絶対。部下に自分の考えだけを強要し、部下の考えを狭めるリーダーです。
■選択肢を広げてあげるアドバイスを行う
しかし、早く、安く、安全に仕上げるためには、様々な手法があります。どう優先順位をつけるかで、正解は変わってきます。
複雑多岐な建設物を完成させるうえで、唯一絶対の方法だけを主張するリーダーのもとでは、部下は窮屈になり、最終的にはリーダーの顔色ばかりうかがうようになってしまうでしょう。
自分で考える力まで失い、その都度リーダーに判断を仰ぐことになり、仕事が遅くなるのです。
一方、仕事が速いリーダーは、いろいろなやり方の中から最善の方法を探そうとします。そのため、部下の意見に耳を傾けます。
部下から相談を受けた場合も、一方的に押しつけるのではなく、選択肢を広げてあげるアドバイスを行います。自分の手法が採用された部下は、認められた喜びでモチベーションも上がり、工期短縮などのアイデアも出て仕事が速くなるのです。
あなたが、もし絶対的真実思考で仕事を進めるタイプなら、たまに部下の意見を聞いてあげてください。
情報収集が得意だったり、パソコンの裏ワザに詳しかったり、大学時代に書いた卒論が今抱えている案件に役立ったり……。思わぬところで成果が出る場合があるかもしれません。
仕事が速いリーダーは、部下の声に耳を傾ける!
■高校野球の連帯責任は理不尽
私が子どもの頃から理不尽だと思っていることに、高校野球の連帯責任があります。たった一人の部員が不祥事を起こしただけで、チーム全体が責任を取って出場辞退。毎日、汗水垂らして頑張ってきたのに水の泡です。
頑張ってきた子どもたちの気持ちを考えるとかわいそうになるし、不祥事を起こした子も、肩身の狭い思いをしながら高校生活を送らなければなりません。連帯責任は、子どもを指導するうえでためにならないと思っています。
3年生が1年生をいじめて出場停止に。ただし、いじめた側の3年生は卒業を控え野球部を引退しているので出場には関係がなく、いじめられた1年生が出場できない可能性があるという「ありえない話」も聞きました。
個人に対しての責任なのか、連帯での責任なのか、議論を進めれば良い点、悪い点が出てくると思いますが、「責任の所在についてのみ考えるなら、それは個人にある」というのが私の考えです。
また、この責任の取らせ方については、仕事が速いリーダーと遅いリーダーの話にも通じてきます。
■大きなミスには「君らしくもない」で留める
私が建設会社の立ち上げに、総務経理担当として参加したときの話です。
開業や建設許可の届け出、社会保険や雇用保険の加入、従業員の給与算定、その他各種手続きをほぼ任されました。このとき、社長に多くの考え方や仕事に対する姿勢を指導していただき、非常に勉強になりました。
今でこそ当たり前ですが「社員の悪口を他社で言わない」「部下から聞いた話は公言しない」「机の上は綺麗に片づけて帰る」「モノを粗末にしない」など、30代になったばかりの私に教訓となるようなことを、毎日叩き込まれたのです。
その中でも、リーダーになるうえでもっとも影響を受けたのは、叱り方です。
小さなミスについては事細かく叱られました。しかし、資金繰りや発注者との交渉といった間違えてはいけないところで大きなミスを起こしてしまったときは、「いっし~、君らしくもない」の一言で片づけるのです。
普段は厳しく小言を言う社長なのに、大きなミスのときには「君らしくもない」の一言で終了。かなり落ち込んでいる私にとっては、救われる叱られ方でした。
そして、この社長のためにも、次回からは同じミスを二度としないぞという気持ちになるのです。
あなたの部下が、もし大きな失敗をして大いに反省し落ち込んでいたら、「君らしくもない」で留めてみてください。本人がそのミスについて、自ら考える契機にもなります。
■責任の所在がはっきりしない叱り方
一方で、「君たち……」という主語で叱ることが多い上司がいました。
「君たちの部署の売上が悪いな~」
「君たちの残業時間が他部署と比べて長い。来年から削減するように」
「君たちの作った決算書にミスがあった」
ミスをした部下にとっては、自分一人ではないという安心感(ただし、他の社員に迷惑をかけたという罪悪感がある場合もあります)、ミスをしていない部下にとっては、なぜ自分までという不信感。どちらにとっても、いい叱り方ではありません。
この叱り方では、人は成長できません。責任の所在がはっきりせず、反省点も見えづらいため、同じ失敗を繰り返し、ミスによって仕事が遅くなります。部下の仕事が遅くなれば、チーム全体やリーダーの仕事も遅くなるのです。
仕事が速いリーダーは、個人に対して叱ります。責任の所在をはっきりすれば、本人も反省するからです。
また重大なミスに対しては、「君らしくもない」というように叱ります。細かい指摘をしないことにより、部下は自分のミスを冷静に振り返ることができ、次回からは同じようなミスをしなくなり、仕事が速くなるのです。
仕事が速いリーダーは、責任の所在をはっきりさせる!
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石川 和男 (いしかわ・かずお)
時間管理コンサルタント
1968年、北海道生まれ。現在は建設会社総務経理担当部長、税理士、セミナー講師など、5つの仕事を掛け持ちしている。
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(時間管理コンサルタント 石川 和男 )

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