大きな目標を達成するには何から始めればいいか。医師の奥村歩さんは「私のこの1年の最大の目標は、本書を書き下ろすことだった。
当初は途方に暮れたが、『読者層の世代に取材をする』ことから始め、それが達成されると脳内物質のドーパミンが分泌され、小さな努力の繰り返しと工夫が楽しくなっていった」という――。
※本稿は、奥村歩『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■言葉の習慣こそが、その人自身を作り上げる
「面倒な仕事が、どうしても手につかない……」
そんなとき、あなたは心の中でどんな言葉を「つぶやいて」いますか?
先の記事で「ポジティブ宣言」の大切さについてお話ししましたが、私たちの言葉は思考と直結しています。つまりもっと言えば、言葉の習慣こそが、その人自身を作り上げているのです。
人の考えは「つぶやき」に表われ、その「つぶやき」が人を作ると言えます。
今回のアクションプランも、言葉を変えることによって、仕事や人生を劇的に変える方法です。
「○○を考えねばならない」

「○○をしなければならない」

「○○をやるべきである」
まるでどこかの政治家の発言のようですね。
このような言葉遣いには、主体性が欠如しています。周りの顔色をうかがい、社会情勢に迎合しているだけ。これらは、他者から与えられた“外発的モチベーション”から生み出される言葉です。自らの意思表示がなく、自身の内側から湧き上がる“内発的モチベーション”が感じられません。
このような物言いでは、いつまで経っても行動することを遠ざけ、仕事を停滞させてしまう原因となります。

■「したい発言」で行動を変えていこう
しかし、あなたは違います。
このアクションで変われます。
面倒な仕事に立ち向かうときは、まず自分の「言葉遣い」から変えてみてはいかがでしょうか。
主体的な考え方がもとになっている言葉を習慣にすると、その仕事が誰のためでもなく、「自分自身のための行動である」と脳に深く刻み込まれます。
そうすると、目標や計画を立てた段階ですでにドーパミンの分泌が始まり、面倒な仕事の遂行(実行)機能を劇的に高めてくれるのです。
「面倒な仕事(○○)が手につかない」と感じるときこそ、意識してこうつぶやいてみてください。
「自分は、○○をしたいです!」

「自分のために、○○を始めよう!」

「○○は自分にしかできない、最高のミッションである!」
この脳内での言葉の切り替えは、あなたの行動への抵抗感を減らし、仕事の効率を飛躍的に向上させてくれます。
あなたの言葉が、あなたの脳を変え、あなたの行動を変え、そしてあなたの未来を変えてくれるのです。
■大きな目標は「極小ステップ」で撃破する
大きな目標を達成するためには、それを「小さな具体的な目標」に分解することが極めて重要です。この作業は、これ以上細分化できないという「極限までバラバラに分解すること」がポイントです。
そして、今日1日は、その「最小限の目標」を実現するための、小さな努力のみに専念してください。
日々、小さな努力を着実に実現し、達成感が得られればしめたもの。
脳内物質のドーパミンが分泌され、小さな努力の繰り返しと工夫が楽しくなるはずです。
■ドーパミンを制する者は、目標を制する
この小刻みに目標設定をする行動法は「スモールステップ法」や「マイルストーン法」とも呼ばれています。
マイルストーンと言えば、日本にも旅人のための一里塚という道標がありますね。まさに、千里の道も一歩から。どんなに大きな目標でも、小さな歩みを積み重ねていけば必ず到達できるのです。
私自身の経験で言えば、この1年の最大の目標は、まさに本書を書き下ろすことでした。「脳疲労に悩む現代人を救う実用書」のオファーをいただきましたが、正直なところ「どこから手をつければいいのか?」と途方に暮れました。大物作家さんのように、流れるように筆が進んでいくわけではありません。
そこで、この「スモールステップ法」を取り入れたのです。
・読者層の世代に取材をする

・患者さんの日常生活での「脳疲労による悩み」をうかがう

・最も読者に伝えたいことを明確にする

・全体を5つの章に分けてみる

・それらをさらに細分化して、「小見出し」を作成する
「千里の道も一歩から」は、苦しい地道な努力の話ではありません。
地道な一歩が楽しくてドーパミンが出るからこそ、その行動を続けられ、気づけばいつの間にか大きな目標に到達できるという、非常に深い意味があったのです。

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奥村 歩(おくむら・あゆみ)

医学博士

1961年生まれ。
おくむらメモリークリニック院長。岐阜大学医学部卒業、同大学大学院博士課程修了。2008年に「おくむらクリニック」を開院し、設置した「もの忘れ外来」ではこれまでに10万人以上の脳を診断した。著書に『スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』(すばる舎)、『ボケない技術』(世界文化社)、『スマホ脳の処方箋』(あさ出版)、『脳の老化を99%遅らせる方法』(幻冬舎)、『あなたの脳は一生あきらめない!』(永岡書店)など。

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(医学博士 奥村 歩)
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