キッチン家電の「ノンフライヤー」が人気を集めている。デジタル&家電ライターのコヤマタカヒロさんは「10年以上前にも一度ブームがあったが、最近は1万円以下でスーパーやコンビニで買った総菜を揚げたての状態に戻す商品が登場している」という――。

■10年を経て再燃するフライヤーブーム
近年再び注目を集めている調理家電がある。それが熱風で食材を加熱調理するいわゆるノンフライヤーだ。日本市場においては2013年に蘭フィリップスが海外市場でヒットしていた製品を導入。揚げない唐揚げなどの人気メニューにより、多くの話題を集めた。
発売開始から数年は話題を集めたノンフライヤーだが、多くのメーカーが参入、また、ノンフライ調理ができるトースターなども登場したことでブームは終息。フィリップスの撤退などもあり、調理家電の小さなジャンルの1つとして細々と残っている状態だった。
しかし、近年再びノンフライヤーの人気が高まっている。前回のようなブームはないが、その代わり、ゆっくりと、着実に広がり始めているのだ。
■1万円以下の低価格モデルが増えている
再びノンフライヤーが普及し始めた要因の1つが、低価格化が進んだことだ。2013年に発売されたフィリップスのノンフライヤーは約3万円だったが、現在人気を集めているシャオミの「スマートエアフライヤー 4.5L」は実勢価格8980円と、1万円を切る価格を実現している。このモデルだけでなく、量販店や通販サイトには1万円前後の低価格ノンフライヤーが数多く並んでおり、手軽に購入できるようになった。
そこでシャオミの「スマートエアフライヤー 4.5L」を通して最新の低価格ノンフライヤーが人気を集めている理由をさらに深掘りしていこう。

ノンフライヤーは非常にシンプルな調理家電だ。バスケットに加熱したい食材をセットしてスタートすると、庫内上部のヒーターが熱くなる。さらにその上に取り付けられたファンが回転し、熱風を巻き起こす。この熱風を庫内で循環させることで、食材を焼く仕組みだ。シャオミの「スマートエアフライヤー 4.5L」は40~200℃の熱風で調理が可能。タイマーは最大24時間まで設定できる。バスケットサイズは4.5L。円形の通気孔と立体サイクロンバスケットを組み合わせることで、360度対流加熱を実現。食材を裏返すことなく、底面までしっかり加熱できる。
OLEDのタッチスクリーンを搭載し、ダイヤルを回して設定が可能。10種類のプリセットメニューを用意するほか、スマホアプリと連携することで、100以上のメニューが調理できる。
■コンビニや冷凍食品の中食人気とマッチ
ノンフライヤーの代表的なメニューである「ノンフライ唐揚げ」はこの熱風により鶏肉を加熱し、肉に含まれる油分によって自らを揚げる仕組みで、油で揚げるのと比べて、油分を大幅にカットできる。
非常にヘルシーに調理できるのがノンフライヤーの魅力だ。
また、低温熱風機能を使えばドライフルーツやジャーキー、ヨーグルトなどの調理も可能。油を落とすだけではない、多彩な使い方ができる。
さらに、ノンフライヤーが再び脚光を浴びるようになったきっかけの1つがデパ地下やスーパー、コンビニデリなどの中食市場が大きく盛り上がっていることにある。一般社団法人日本惣菜協会による「2025年版惣菜白書」によると、2024年の総菜市場は11兆円を突破している。
スーパーやコンビニなどで購入した揚げ物総菜は、レンジで温めるとベチャッとしてしまう。専用モードを搭載しないトースターでは焦げ付きやすい。しかし、ノンフライヤーなら、表面をカリッとした揚げたてのような状態に戻すことができる。
コロナ以降、中食ニーズが増え、さらにファミリー世帯でも自宅で揚げ物をする機会が減っている。そこでノンフライヤーが活躍するというわけだ。
■実際にアジフライを温め直してみた
実際に「スマートエアフライヤー 4.5L」でスーパーのお総菜で売っていたアジフライやコロッケなどをリフライし(温め直し)てみたが、衣のサクッとした食感が楽しめた。さらにとんかつや唐揚げなどの肉系の揚げ物や、天ぷらなどの場合、ノンフライ唐揚げと同様に余分な油を落とすことができるメリットがある。

さらに便利なのが冷凍食品との相性の良さだ。郊外では、コストコや業務スーパーなどの大規模スーパーで食品を買いためて冷凍することが多い。この冷凍食品の解凍、調理でも、ノンフライヤーが活躍する。
例えば冷凍のフライドポテトは、一度揚げてから冷凍されているモノが多く、その場合、ノンフラヤーで温めるとカリッと仕上がる。また、オーブン(トースター)で温めるタイプの冷凍食品もノンフライヤーならよりおいしく仕上げられるのだ。
■SNSやYouTubeでレシピが拡散
元々、欧米市場で誕生したノンフライヤーは、日本以上に海外市場で拡大を続けている。Global Market Insightsによる「エアフライヤー市場規模」のレポートによると、市場は右肩上がりで成長をしており、2024年の15億ドルの市場規模が2035年には29億ドルにまで拡大すると予想されている。これは日本国内の調理家電市場全体と同じ規模だ。
元々、欧米はオーブン文化だが、ビルトインの大型オーブンは電気代やガス代も高い。ヘルシーさに加えて、省エネ性の高さからもノンフライヤーの普及が広がっているという背景がある。そうした海外での広がりから派生して日本市場でも再び盛り上がり始めているというわけだ。
そして近年のノンフライヤー人気を語るうえ上で欠かせないのがSNSや動画サイトでのレシピの拡散だ。
「ノンフライ」や欧米で主流の「Airfry(エアフライ)」でSNSやYouTubeなどを検索すると、数多くのレシピが見つけられる。そこにはレシピブックに掲載されているような一般的なメニューだけでなく、世界各国のさまざまなメニューが広がっている。
ノンフライヤーは、メーカーや製品によって、ヒーターの性能やファンの構造、熱風の循環効率などに違いはあるが、基本的な仕組みは同じなので、異なるメーカーのレシピだとしても、応用できるのが楽しい。海外YouTuberの動画を参考に異国の料理に挑戦する、といった楽しみ方もできるのだ。
■海外並みに普及する可能性も
現在、ノンフライヤーは温度が固定のシンプルタイプが5000円前後から、そしてスチーム機能やレンジでも使えるガラスバスケットを採用した高機能モデルが2万円台で購入できるなど、価格帯は5000~3万円に広がっている。
ひとり暮らしなら5000円前後のシンプルタイプでも十分だが、お総菜の温め直しからさまざまな料理を作るなら、今回紹介したシャオミの「スマートエアフライヤー 4.5L」クラスが使い勝手がいい。
ノンフライヤーには、油が落とせるヘルシーさに加えて、お総菜の温め直しがおいしくできる点や火を使わない安全性、そしてほったらかしで使える手軽さがある。日本市場においてもさらに普及が広がっていきそうだ。

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コヤマ タカヒロ(こやま・たかひろ)

デジタル&家電ライター

1973年生まれのデジタル&家電ライター。家電総合研究所「カデスタ」を主宰。大学在学中にファッション誌でライターデビューしてから約30年以上、パソコンやデジタルガジェット、生活家電を専門分野として情報を発信。家電のテストと撮影のための空間「コヤマキッチン」も構える。
企業の製品開発やPR戦略、人材育成に関するコンサルティング業務も務める。

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(デジタル&家電ライター コヤマ タカヒロ)
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