※本稿は、成田奈緒子、上岡勇二『その「習慣」が子どもの才能をダメにする』(SB新書)の一部を再編集したものです。
■「やらせてみる」で習い事をさせるのはNG
×親自身は苦手だが、子ども自身がやりたいと言った習い事をさせる
○親が楽しめて、なおかつ子ども自身も楽しめる習い事をさせる
【エピソード】
モナは幼稚園のあと、ピアノや英会話、ダンスと習い事に通っています。何でも興味を持つタイプで、友だちがやっていると聞くと「モナもやりたい!」と言って始めるのです。ただ、ピアノもダンスも家で練習することなく、「通っているだけじゃ意味がないんじゃない?」と母親は不満顔。
しかし、母親もピアノは弾けないので練習を見てあげることができません。いつも通りレッスンに連れて行こうとすると、モナは「嫌だー!」と言って走って逃げました。母親が「いいかげんにしなさい!」と怒るとモナは泣きだし、険悪な雰囲気でレッスンに向かいました。
5歳くらいまでの子の「あれをやってみたい」「これもやってみたい」は、その場の興味や雰囲気で言っているだけということがよくあります。友だちがやっていると聞いたからとか、体験教室に気軽な気持ちで行ってみたら楽しかったから「やってみたい!」と言うのですが、習い始めてみたら全然行きたがらないという話はよく聞きます。
■習い事を選ぶ際の絶対条件
こうなると、親は毎回連れて行くのも一苦労です。この年齢はまだまだ自分で考えて行動する脳が育っていません。とくにピアノの練習のように家でコツコツやらなければいけないことは、親のサポートなしには難しいでしょう。
ですから、幼い頃から習い事をさせるのであれば、親が楽しいと思うものを選ぶことをおすすめします。親がピアノが好きで、日常的にピアノを弾いて楽しんでいると、子どもも自然と興味を持つものです。親が弾いているついでに子どもも弾く、というように生活の中に組み込みやすくなります。
サッカーが好きなら、親子でリフティングをしたりボールをパスし合ったりして遊ぶ日常があって、「サッカーを習う」のが良いでしょう。
親が楽しいことが前提です。そうでないと、親が子どもを習い事に連れて行くのが「義務」のようになり、「頑張って連れて行っているのに成果がない」「サボっている」と思い始めてしまいます。子どもも「練習しなさい」「頑張りなさい」と言われるのが嫌で、ますます行きたくなくなるという悪循環に陥ってしまうというわけです。これは望ましい状況ではないでしょう。
■無理に習い事をしなくても良いワケ
どんなにいい内容の習い事であっても、嫌がる子どもを無理やり連れて行く意味はありません。サボっているな、楽しそうじゃないなと思ったら、すぐにやめさせてしまってOKです。
幼児期に、親が好きなものを一緒に楽しむのはいいと思うのですが、そうでないならとくに習い事をする必要はありません。
親は「ぼーっとしていないで、準備しなさい」「ぼんやりしていないで練習しなさい」などと言って「ぼーっ」を否定しがちですが、実は「ぼーっとする時間」は脳にとって非常に重要です。人間の脳は、ぼーっとしているときにデフォルトモードネットワークと呼ばれる神経回路を活性化させており、このときに脳を発達、成長させています。
子どもはぼーっとする時間がなければ、うまく脳を発達、成長させられないのです。とくに小学校低学年くらいまでの子は、いかにぼーっとするかが勝負と言ってもいいくらいです。
■「子どもは自分と同じ」という思考は危険
大人にとっても、ぼーっとする時間は大切です。新しいアイデア、ひらめきはデフォルトモードネットワークが活性化しているときに生まれます。お風呂でぼーっとしているときにアイデアがひらめいたといった経験がある人は多いのではないでしょうか。実はこれは前頭葉の高度な機能の一つです。
今の子どもたちは忙しすぎて、このクリエイティブな脳を育てることができていません。「ぼーっ」が大事とは言っても、「はい、今から10分間ぼーっとする時間ね」と設定するのも難しいと思います。
幼少期に子どもを観察して特性を把握するのはとても大切なことです。親子で違う特性を持っているのに、親が自分と同じだと思い込んでいるとうまくいかないことが多くなります。
たとえば、絵から視覚的に情報を得るのが得意な子に、親が文字情報が得意だからといって「図鑑ばかり見ていないで本を読め」と言うのは理にかなっていません。まずはその子の好きなもの、特性に合うものを見きわめて、ふんだんに与えることが脳育てにつながります。
■特性を見極めるのに有効な意外なゲーム
子どもの特性に合わないものは、少しずつ様子を見ながら与えていきます。観察によって作戦を立てるのです。子どもの特性の観察に役立つのがカードゲームやボードゲームです。家族で楽しく遊びながら観察してみてください。たとえば幼児から遊べる人気のカードゲームに「ナンジャモンジャ」があります。
順番に山札のカードをめくって、そのカードに描かれたモンスターに名前をつけていき、すでに名前のついたモンスターが出てきたら、いち早く名前を言った人が場にあるカードをもらえるというゲームです。
この単純なゲームでも、子どもたちの特性が見えて面白いものです。たとえば、名前を直感でぱっと決めたり、見た目をそのまま言ったりする子もいれば、慎重に言葉を考えて言う子もいます。視覚的な面白さに興味を持っているのか、言葉の面白さに興味を持っているのかで分かれます。
■「これは苦手」と判断させることも教育の一つ
勝敗がついたあとの反応は特性がわかりやすいと思います。負けず嫌いな子は悔しがって、怒ったり泣いたりすることもあるでしょう。勝ち負けをまったく気にしない子もいます。負けても嬉しそうにしている子は、遊びの輪の中にいること自体が大切なのです。
一方で、「ナンジャモンジャ」のように自由度の高いゲーム、大喜利的要素のあるゲームを苦手だと感じる子もいます。ゲームをしている場で名前を自由につけることができ、面白い言葉を思いつけば盛り上がりますが、その即興性が苦手なのです。そのような場合に、「これは苦手だから」と自分から申告して離れることができるのも能力の一つと言えるでしょう。
これは、自分にとって負担になることを避けられる能力があるということです。
「負けず嫌いは良くない(あるいは逆に、負けても何ともないのは良くない)」「輪に入れないのは良くない」とネガティブに捉えるのではなく、ぜひ客観的な目で観察してください。
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成田 奈緒子(なりた・なおこ)
文教大学教育学部教授、子育て支援事業「子育て科学アクシス」代表
小児科医・医学博士・公認心理士。1987年神戸大学卒業後、米国ワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング』(共著、合同出版)、『子どもの隠れた力を引き出す最高の受験戦略 中学受験から医学部まで突破した科学的な脳育法』(朝日新書)など多数。
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上岡 勇二(かみおか・ゆうじ)
公認心理師・臨床心理士・子育て科学アクシススタッフ
公認心理師・臨床心理士・子育て科学アクシススタッフ。1999年、茨城大学大学院教育学研究科を修了した後、適応指導教室・児童相談所・病弱特別支援学校院内学級に勤務し、子ども達の社会性をはぐくむ実践的な支援に力を注ぐ。また、茨城県発達障害者支援センターにおいて成人の発達障害当事者や保護者を含めた家族支援に携わる。2014年より現職。
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(文教大学教育学部教授、子育て支援事業「子育て科学アクシス」代表 成田 奈緒子、公認心理師・臨床心理士・子育て科学アクシススタッフ 上岡 勇二)

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