※本稿は、加藤俊徳『脳は右から若返る』(大和書房)の一部を再編集したものです。
■脳のバランスを意識しよう
脳のコンディショニングによって、左脳に偏っていた脳の使い方のクセを改善し、脳のバランスをよくすることができます。
たとえば、自己愛が強すぎると感じたら他人愛にシフトして人を思いやった行動をしたり、言語ばかり使用している生活であれば絵を描いてみたりするなど、左脳とは対極にある行動をしてみるのです。
そうすることによって、左脳に偏った脳のクセを、中庸の状態にできます。
私もここ数年、執筆が重なり言語ばかり使っているため左脳化しているなと感じています。講演も多く、しゃべりすぎるとどんどん左脳化するようです。逆にいえば、「言葉で表現するのが苦手で……」という右脳人間も、意識して話す機会を増やしていけば左脳が刺激されます。
講演やラジオ番組でしゃべる機会が多くなると、絶えず言語系のシステムでいます。以前はその場の勘や感覚で話していたのですが、だんだん言葉として精密な準備をするようになったため、自分の枝ぶり脳画像を見ても左脳化してきたことがわかります。
「こう言えばわかりやすい」「こう聞かれたらこう答える」などと考えて話をしています。
もともと私は、「脳番地」や「健康脳」など商標登録になっている造語やキャッチコピーをつくるのが得意でしたが、それを言葉としてアウトプットするようになると、左脳化が進んでいきます。
前者はひらめきや全体像の漠然とした輪郭を捉えた概念から始まるので右脳がまず働きますが、それを意図的に明確な言葉にしたり、並べ替えたりして推敲していくと左脳が働くからです。
そのため、できるだけ自然現象からインスピレーションを得たり、ものをつくったり絵を描いたりするなど、言葉でアウトプットしないようにする必要を感じています。
絵を描く、ものをつくる、部屋の模様替えをする、掃除をするなど言語系ではない行為をすることで、脳がコンディショニングされてバランスがとれるのです。
■神社めぐりも脳のリセットに
たとえば、特定の宗教を信仰する人たちは、自分以外の脳に意識を向けることで新たな自己発見があるため、その対価、感謝の気持ちとして寄付金やお布施を出すわけです。
その宗教が正しいか正しくないかは、関係ありません。自分以外の死生観を認識することで脳が右脳化するため、気持ちがよくなるのです。
一時期、特に女性のあいだで神社めぐりが流行っていました。これは、髪を切ったり化粧をしたりすることと同じようなリセット効果がある脳コンディショニングといえます。
神社にお参りすることで、左脳ばかり使っていた日常生活とのバランスを無意識にとろうとしているのです。
こうしたリセットは、おおむね男性、特に中年男性が下手です。
着るものはぶら下がりのスーツですませ、休日は寝るときに着たジャージやスウェットのままうろうろする……あえて一般化して言いますが、女性のほうが自分に敏感で、上手に無意識のコンディショニングができています。
■新たな自分の発見は、宗教以上の効果
究極的な脳コンディショニングは、自分の脳を知ることです。そうすると、自分に対して客観性をもつことができます。
多くの人が、「私はこういう人間だ」「私はこうです」と言い張ります。
しかし、そうした主観的な思い込みではなく、
「自分の脳はこうだ」
と客観的に見ることでしか、自分自身を正確に認識することはできません。
自分自身を客観的に認識できると、右脳から左脳へ情報が流れやすくなり新しい自分を自覚できます。自分の脳を知ることは、宗教以上の“新たな自分発見効果”があるのです。
■観察力をつけて右脳を刺激し続けよう
左脳人間をいきなり右脳人間にすることは困難です。まず、使っていない右脳との結びつきをつくることから始めましょう。
自分の感じたことを言葉で伝えたいのに、うまく表現できないともどかしくなります。この「もどかしさ」を、「伝えられないのは頭が悪いせいだ」と勘違いしてしまうわけです。人間は自分の脳の働きを誤解しやすいのです。
右脳を働かせるもう1つの方法は、とりあえず「見る」ことです。じっくり見て分析することをクセにすれば、必ず右脳化するでしょう。表情や場の雰囲気・空気を読もうとする、動植物を育てるなど、目で見て対応することで右脳が刺激されます。
イメージを伝えようとするときは右脳ですが、言葉に変換しようとすると左脳が働きます。言葉でありのままの状況を伝えるためには、右脳を使って視覚情報の精度を上げるように、とにかく目で理解するようにしましょう。
たとえば旅行に行くと、新しい場所・未知の場所での感動や感情の変化が出来事記憶になります。視覚系、理解系、記憶系の3つの脳番地が鍛えられ、右脳が刺激されるということです。
本書で、この3つの脳番地を鍛えようというのは、右脳を刺激して使われていない脳番地を強化したいからです。
旅行に行く時間のない人は、場所を移動するだけでも効果的です。普段通らない道を歩けば、新しい発見があります。入ったことのない店に入って、店員や他のお客さんと話してみるなど、新鮮な刺激が右脳の刺激にもなるのです。
■左脳化しすぎた現代社会の末路
左脳化しすぎた現代社会において、私たちはローテクを使って情報を自ら進んで収集しようとしなくなりました。
インターネットで調べればすぐに「答え」が出るため、自分が動いて情報を収集する時間が少なくなり、目を使ったり耳を使って人の話をじかに聞いたり、足を使って情報収集する時間がありません。スマホへの依存度が高く、生の声を聞いて分析・判断する機会がないのです。
それを続けると、相手の表情を見て理解し、そして判断するという力が失われていきます。自分の力で得た「生きた情報」に基づいて行動する時間がなくなると、右脳を鍛えるチャンスもまた、なくなってしまうわけです。
右脳はそもそも働きにくいところですが、私たちを取り巻く環境はさらにそれを助長しているといえるでしょう。快適な環境という現状に甘んじず、常に脳の手入れをしていかないと、ますます劣化&老化は進んでいくのです。
自分の行動を観察し、ライフスタイルチェンジをして右脳を鍛えれば、“気づき”が多くなって脳のバランスもとれてきます。
■脳のクセは右脳を鍛えれば解消できる
右脳を効果的に鍛えるにはどうしたらよいでしょうか。
突然ですが、ここでクイズです。次の絵をごらんください。
2人の探検家が洞窟に入っていきました。
おわかりになりましたか?
答えはへびです。
実はこのクイズが、右脳から左脳へと働くクイズです。
「洞窟」「動物を見つけた」という言葉から左脳で論理的に考えようとしますが、答えは形を右脳で直感的に全体として捉えることで見えてきます。
たとえば、自分で絵を描いて言葉で説明すれば、右脳から左脳という使われ方になりますが、絵を意図的に言語に変換することに慣れている人は、決して多くありません。
人の表情を見て、「今日は天気がいいね」「今日は肌の色つやがいいね」と、自分が見た生の情報を発信することで右脳が使われます。
意識して右脳を使うことが、とても大事です。
■見えないものを手探りする右脳
右脳的な人は、思っていることをはっきり言葉にできません。相手が適切な相槌を打つなど、補足しながら聞いてあげると説明できても、自分で自分の考えをうまく言葉にできないのです。
脳には8つの脳番地がありますが、映像を見て言語にするのは右脳の視覚系脳番地です。真っ暗な洞窟のなかで、状況がどうなっているか勘を働かせるときなど、見えないものを手探りするようなときにも右脳の視覚系脳番地が働きます。
同じように、未来を手探りする思考も右脳が起点になります。見えないもの・存在していないものに対して、アプローチを試みる力は非常に大事です。
元来、日本人はそのような右脳が起点となる能力が高いと思います。日本人は道徳や礼節を重んじますが、それは要するに形にならないものを認識するという伝統文化だからです。
伝統芸能のほとんどが、師匠から弟子への口伝(くでん)です。口で伝えられるものは、もともとは文字では伝えられない作業や所作などこまかいことであり、ほとんどが行動観察です。
今ではどうかわかりませんが、落語などは師匠が弟子の前で一対一で噺を演じ、教えていたそうです。弟子はそれを見て、真似して覚えていました。録音機器などがない時代は、それこそ脳をフル回転して身につけようとしてきたはずです。
相手の行動を真似る、作法を真似る、儀式を真似るなど、ほとんどが行動観察からきていますから、口伝というのは非言語のプロセスです。
それが体得できたのち、言葉で大事なポイントを教えるのが口伝ですから、伝統的なものにかかわれば右脳が鍛えられるでしょう。
■モラルや礼節が右脳を育てる
モラルや礼節を守ろうとすることは、それ自体すごく大事ですが、右脳を鍛えるためにも効果的です。右脳の前頭葉、つまり右脳の思考系脳番地が病気や事故などで機能しなくなったり壊れたり、はなはだしく劣化すると、罪悪感や公徳心が欠如します。
日本の「お天道様が見ている」、キリスト教の「神の御心のままに」などは、神様を想定して行動の基本を唱えていますが、モラルを守ろうとすることはさまざまな意味で大切なことなのです。
また、日本人は協調性が高いといわれ、よく迎合しますが、迎合は左脳化を助長します。ほかの人がそうだから真似して同じように行動しているだけですから、自分の判断基準ではなく、世間を意識した基準になっているということでしょう。迎合もわかってやっていれば別ですが、右脳を鍛えることにはなりません。
長く生きれば生きるほど左脳化していきますが、右脳を鍛えることでゆがみは解消されやすくなります。話をするなど積極的に人と会うことは、右脳を使うトレーニングになります。
逆に、引きこもりや定年後にあまり家から出ない人、じかに人と接する機会が少ない人は、左脳を鍛えたほうがいいでしょう。
※「脳番地」(登録第5056139 /第5264859)は脳の学校(登録4979714)の登録商標です。
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加藤 俊徳(かとう・としのり)
脳内科医、加藤プラチナクリニック院長
新潟県生まれ。医学博士。株式会社「脳の学校」代表。昭和医科大学客員教授。脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニング、助詞強調おんどく法の提唱者。14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意。1991年、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測「fNIRS(エフニルス)」法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI脳画像診断法を用いて、脳の成長段階、強み弱みを診断し、これまでに1万人以上を治療。著書には、『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)、『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『悩みのループから解放される!「執着しない脳」のつくり方』(大和書房)などがある。
※「脳番地」(登録第5056139 /第5264859)は脳の学校(登録4979714)の登録商標です。
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(脳内科医、加藤プラチナクリニック院長 加藤 俊徳)

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