大地震に備えておくことは大事だが、防災グッズは高価だ。雲研究者の荒木健太郎さんは「100均で手に入るものもあるので、ぜひチェックしてみてほしい」という――。

※本稿は、荒木健太郎『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■避難所に行かない在宅避難もある
「避難」というと避難所に行くことを想像する人が多いかもしれませんが、避難とは難を避けることで、その方法は様々です。自宅で危険がなく、備蓄が十分ある場合は、自宅にとどまる在宅避難を選べます。
避難所に行く避難所避難に対して、在宅避難ではプライバシーが守られ、感染症の危険性が低く、寒さ・暑さ対策をしやすいです。小さい子がいても安心できること、避難所によってはペットの受け入れがないので在宅ならペットと一緒にいられること、家を留守にすることによる盗難の被害を防ぎやすいことなどもメリットです。一方、避難所避難では、物資が手に入りやすい、自治体や団体の支援を受けやすいといったほか、建物が安全なのもメリット。
避難所で受け入れられる人数には限りがあるため、ほかの自治体へ避難する広域避難や、安全な地域の親戚や知人、友人宅、宿泊施設に避難する選択肢もあります。どのような避難ができるのか、自分や家族などの状況も踏まえて考えておきましょう。
■自分に合う避難の形を考えておく
災害が間近に迫って「早く避難しないと! でもどうしたらいいの?」とならないように、穏やかな天気のときにこそ自分にあった避難について考えてみてください。
まず確認したいのが、住まいの水害の危険性です。国土交通省「重ねるハザードマップ」などで浸水や土砂災害の危険性を確認できます。次に、家が高層住宅か一軒家かで、浸水時に安全かなども検討できます。
家族にケガ人や高齢者などがいるか、避難所以外にも親戚や知人宅、宿泊施設などの安全な避難先はあるか、家に備蓄はあるか、自分たちだけで不安にならないか、ペットと一緒に避難できるかなどを踏まえて、どこに避難するかと避難経路を考えます。
その上で、いつから危険な状況になりそうか気象情報を確認し、避難のタイミングを検討すると良さそうです。日ごろから防災バッグの点検をしておくことも大切。これを読んだみなさんは、ぜひ一度家族や友達と一緒に、どのような避難が良いかを話し合ってみてください。
■100円ショップで買える防災グッズ
「防災用品って揃えるのが大変そうだし高そう」と思われている人に朗報です。100円ショップにも防災グッズがたくさん売られているのです。たとえば携帯トイレです。車やカバンなどにも常備すると安心。停電に備えてヘッドライトやネックライトと電池も入手できます。飴やグミ、ようかんなど、栄養価が高く長持ちするお菓子も備蓄向きです。
除菌シートや歯磨きシート、マスクやウェットティッシュなどの衛生グッズも、防災バッグや普段使うカバンに入れて持ち運べます。カイロやブランケットなど寒さ対策に便利なアイテムも豊富。
軍手なども避難するときに持っていきたいです。救急セットは普段から使えますし、給水バッグは断水時にあると安心。そして電池なしで太陽光だけで使えるソーラーライトは、通常時でも使えますよね。
これらのほかにも、多くの便利アイテムがあります。実際にお店に行って、お気に入りの防災グッズを探してみましょう。そのうえで、買って満足せずに、実際に使ってみて役に立ちそうかを確かめてみてください。
■防災バッグには何を入れるべきか
みなさんは、自宅に防災バッグを準備していますか? 災害時に持ち出すときのために、何があったら便利か考えてみました。
まずは飲料水と食品です。食品は塩や缶切り不要の魚の缶詰、魚肉ソーセージなどがおすすめ。日用品では筆記用具やノート、衣類、タオル、ゴミ袋、スマホ充電器とモバイルバッテリーのほか、避難所で使うスリッパや耳栓も役立ちます。
救急セットや携帯トイレ、保温シートに雨具なども要チェック。避難所で遊ぶおもちゃは、トランプや折紙など音の出ないものを選びましょう。
女性なら生理用品、家族構成によってはおむつなどの乳幼児用品なども。
バッグには重いものを肩の近くの上、軽いものを下に詰めると持ち運びのときに負担が減ります。避難前にはマイナンバーカードなどを持てるといいですが、緊急時は避難を優先してください。防災バッグには、自分に必要なものを選んで入れましょう。これを読んだみなさんは、この機会に中身を点検してみて。
■日常備蓄とローリングストックを
在宅避難をするには、自宅での備蓄が必要不可欠です。食料品や生活用品などを日ごろから用意しておきましょう。
まず、飲料水・調理用水は1人1日に3Lあると安心。レトルトのご飯やカレーなどの食品、加熱せずに食べられるナッツやドライフルーツもおすすめ。醤油や塩などの調味料、栄養補助食品、缶詰、お菓子なども要チェックです。
生活用品はいろいろありますが、乾電池やティッシュ、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、ラップや使い捨て食器、非常用トイレセット、使い捨てカイロなどを準備しましょう。災害によっては影響が長期化するので、まずは3日分の備蓄を目標にしましょう。
慣れてきたら1週間分にチャレンジ。
普段の食料品などを常に少し多めに備える日常備蓄と、賞味期限の古い物ものから消費して買い足すローリングストックの組み合わせがおすすめです。好きなものを取り入れていくと、無理なく一定量の備蓄を保てます。自宅の備蓄品、一度点検してみてください。
■停電への備えと対策も大事なこと
地震や台風・暴風雪などのときには、電力供給が停止する停電が起こることがあり、災害の規模によっては長期化する可能性もあります。この停電、ただ暗くなるだけでなく、かなり多方面に影響があります。
まずは家電です。冷蔵庫が使えないので夏には食中毒の危険が大きくなり、エアコンが使えないと温度調整できず、給湯器も止まるのでお湯も使えません。自宅のインターネットやテレビも使用不能に。
エレベーターが止まるので高層階の人は昇り降りが大変です。電子決済はできず電車も止まり、医療機器が使えなくなることも。
停電への備えとして、複数のヘッドライトや、ソーラーパネル付きライト、バッテリーの常備がおすすめ。
スマホが使えなくなったときのために家族の連絡先は紙にメモしましょう。階段などには蓄光テープを貼るという手もあります。車のガソリンは満タンにして現金を持ち歩くのも有効です。

----------

荒木 健太郎(あらき・けんたろう)

雲研究者、気象庁気象研究所主任研究官、学術博士

1984年生まれ。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために災害をもたらす雲のしくみを研究している。映画『天気の子』(新海誠監督)気象監修、NHK『おかえりモネ』気象資料提供。著書に『雲を愛する技術』(光文社)、『世界でいちばん素敵な雲の教室』(三才ブックス)、『雲の中では何が起こっているのか』(ベレ出版)、『せきらんうんのいっしょう』(ジャムハウス)など多数。

----------

(雲研究者、気象庁気象研究所主任研究官、学術博士 荒木 健太郎)
編集部おすすめ