※本稿は、青木厚『「空腹」は最高の健康習慣』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
■1日3食は肝臓にも負担がかかる
1日3食の習慣によって、内臓が絶え間なく働き続けなければいけない状態は、肝臓にも大きく影響しています。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われて、胃や腸のように不調になればすぐに症状を訴えて教えてくれるわかりやすい性質ではなく、決定的に悪くなるまで症状を現さない、いざ何か現れてきたときにはもう手遅れになっているかもしれないという、まことにやっかいな臓器です。
見方を変えれば「職場で倒れてしまうまでひたすら働き続ける」という、昭和のサラリーマン顔負けの仕事バカで、消化・吸収に関するさまざまな役割を一手に担っている「取り換えのきかない臓器」でもあります。
肝臓は、
①食後、体に入ってきた栄養を、体内で必要なエネルギーに変える
②消費されずに残った余分なエネルギーを蓄える
③食物に含まれていたアルコールやアンモニアなどの毒素を処理する
④脂肪の消化・吸収を助ける胆汁を作る
などを行なっていて、それだけでも大変な仕事量です。
だから当然のごとく、休む間もなく食物が体内に入ってくると、それこそ「不眠不休の滅私奉公」でひたすら働き続け、胃や腸と同じようにどんどん疲弊していきます。
よく、「お酒が肝臓に悪い」と思っている人がいますが、それは、お酒を飲むほどアルコールの毒素処理で肝臓を疲れさせるからで、お酒そのものが肝臓を痛めるというわけではないのです。
肝臓が疲れて働きが悪くなることによって、先に挙げたような重要な消化・吸収のプロセスが損なわれて、体調が悪くなるということなのです。
■食事の意味を問い直すべき時代になっている
「食べる」ということは、「食物を口に入れたら終わり」ではないのです。そこから初めて、さまざまな臓器が働き出して、食物を分解し、栄養を吸収し、不要物や老廃物を排出することになります。「食事」は、食べ物が口に入ってからが本番なのです。
仕事をすれば人間が疲弊するのと同様に、内臓も疲弊するということです。また、食事は生活の節目であったり、好きなものおいしいものを味わう楽しみの側面であったり、思い出につながるようなことなど、精神的な役目もあります。
そういう意味では、人生の幸福を支えるものとも言えるでしょう。人間が食べるということの意味を、現代人は改めて考え直すことが必要になっていると思います。豊かな社会の忘れものの一つではないでしょうか。
その中でも特に、人間が睡眠というまとまった休息を取るように、内臓にもそのような時間を定期的に与えることが必要だということなのです。
■現代人は1日にどれぐらいのエネルギーが必要か
そもそも現代の日本人は、活動するのに1日どのくらいのエネルギーを摂取すればいいのでしょうか。
内臓を動かしたり、体温を維持したりなど生きる上で最低限必要な活動に消費するエネルギー量のことを、「基礎代謝」といいます。これに、それぞれの人の活動に使うエネルギー量を加えたものが、1日に必要とするエネルギーとなります。
日本医師会が発表している基礎代謝の数字を紹介しますと、
15~17歳の男性が最も高くて1日1610キロカロリー、
18~29歳の男性で1490キロカロリー、
30~49歳の男性で1570キロカロリー、
50~64歳の男性で1510キロカロリーとなっていて、女性はいずれの年代も男性より100~400キロカロリー少なめになっています。
ですから、日々の活動によるエネルギー消費を入れても、成人が1日に必要とするエネルギー量は現在では、男性1800~2200キロカロリー前後であると、個人差はあるものの一般的には考えられています。
■つい最近までの基準は昭和初期に出された数字
ところが、この数字が出る以前の健康常識では、1日3食でないと摂取が難しい数字が示されていたのです。
1935(昭和10)年に、国立栄養研究所の佐伯矩医学博士(「栄養学の父」といわれる人物です)が、「日本男子が1日に必要とするエネルギーは2500~2700キロカロリーである」「それを2食で摂るのは難しく、3分割しバランスよく摂ることで、最も健康に生きることができる」と提唱しました。
これは現代よりもかなり多い数字です。たしかにこれでは2回の食事で摂取するのはちょっと無理でしょう。ご飯もおかずも、大盛りというか特盛りレベルのものを食べきらなければならない感じです。
こういった戦前に行なわれた提言も、1日3食という形を深く根付かせる原因になっているのでしょう。しかしこれが、つい最近までの一般常識であったことも事実なのです。
■現在のカロリーならば1日2食でOK
現代の日本人は、佐伯博士の時代よりも運動不足傾向が強くなっており、従って消費カロリーも少なくなっています。
ですから、先ほどの1800~2200キロカロリーという数字が出されているわけです。これならば1日2食でも比較的楽にクリアできるでしょう。
現代を生きている私たちは、2500~2700キロカロリーを、わざわざ1日3回に分けて摂る必要はなくなっていると思っていいのです。
たとえばパスタやカレーライス1皿で約800キロカロリー、ハンバーガーショップのセットメニューを食べると1000キロカロリーを超えるなど、外食産業が高度に発達した環境に暮らす現代人の食事は、高カロリーになりやすいと言えます。
このような食事を1日3回も摂れば、明らかに「食べ過ぎ」「栄養の摂り過ぎ」、そして肥満ということになってしまうのです。
■「空腹」でなくても食べている現代人
「昔からの習慣だから1日3回食べている」「仕事の付き合いなどで会食や宴席に行き、出てきたものを食べないと失礼だから食べてしまう」「家族が食べ残したものがもったいなくて食べてしまう」
食欲がないのに、食べる時間だからと惰性で食べていませんか。空腹を感じていないのに食べていませんか。食後に眠気や疲れ、だるさなどを感じることはありませんか。
健康を維持するために、体が必要とする栄養分を必要なだけ摂取することが、本来の食事の目的です。習慣や惰性で、体が必要としていないのに食べていては、かえって体にダメージを与えることにもなりかねません。
また、年齢を重ねるほど、1日の活動に必要なエネルギー量は少なくなっていきます。必ずしも去年までと同じ量を食べる必要はないのかもしれません。
このようなことも考えながら、自分の食事について考えて、自分で回数も質も量もコントロールしていくことが大切です。それがあなたの健康作りにとって、何にもまさる基盤になるでしょう。
ここまで読まれたあなたは、1日3食にこだわる必要はないということをおわかりいただけたのではないでしょうか。
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青木 厚(あおき・あつし)
医学博士
あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科などを経て、2015年、青木内科・リハビリテーション科(2019年に現名称に)を開設。
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(医学博士 青木 厚)

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