断られるのが怖くて、なかなか強気に出られない営業パーソンも少なくないだろう。オフィスコンサルなどの部門で13年連続・年間2億円を売り上げ続けるトップセールスの半沢ツヨシさんは「営業は断られるのが当たり前。
ただ、断られにくい切り返し方を身につければ、相手の心の僅かな隙間に入り込むことができる」という――。
※本稿は、半沢ツヨシ『営業クエスト 「即決」に導く“黄金の方程式”』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■営業は「断られるところからスタート」
100発100中の営業なんていません。
営業は、断られることが当たり前。最初からそう思っておきましょう。
営業側からセールスを仕掛ける「プッシュ型」の場合はまず「拒絶」の意思を示されますし、Web広告などで集客をして来店したお客様にセールスをする「プル型」の場合でも、お客様の最初のスタンスは「話だけ聞いてみるか」です。
言ってみれば「“お断り寄り”の興味」。断るほうに重心があるわけですから、話だけ聞いて「やっぱりいいや」と言われることは珍しいことではないのです。
私はセールスの添削を依頼されることがあるのですが、営業経験者でも話し方で損をしている人は多いです。
そういう人はたいてい、断られるのが怖いという気持ちがそのまま話し方に出てしまっているため、自信のない印象になっています。
自分の話を最初から聞いてもらえるなどと、思わないほうがいいのです。期待してしまうと、相手の反応に対して一喜一憂がはじまります。

「ああ、今日もダメだったのか」などと考えて落ち込んでしまうと、次のアクションまでの時間がかかってしまいます。
ゲーム風に言えば、リロードするのに非常に時間がかかる。リロードの速さは上達の速度に直結します。
営業がうまくなるためには「質」より「量」をこなすのが一番の近道だからです。
■毎回落ち込むのは時間の無駄
ここでいう「断られる」のタイミングは、序盤のお断りです。
飛び込み営業(プッシュ型)を例に、断られても気にしないポイントを見ていきましょう。
営業「お世話になります、○○保険の□□地区担当の半沢と申します」

客「何かご用ですか?」

営業「○○保険をお使いのお客様で、新たなサービスにご加入されていない方を対象にお伺いしておりまして……」

客「今は考えてないので、すみません」
新規の営業では、飛び込みで営業をかけたり、DMを送ったり、テレアポをしたりとさまざまな方法でアプローチをします。
アタリが出るまでガチャを引き続けるようなものです。一発でアタリが出るほうが珍しいのに、断られるたびに気落ちしていたら、メンタルがいくらあっても持ちません。
■「営業でしょ?」と聞かれたら
今回は、プッシュ型で使う必殺技をお伝えしましょう。
新規営業をしていると、お客様から必ずと言っていいほど言われる言葉があります。
「おたく営業なの?」
このとき、どんな切り返しが考えられるでしょうか。

【パターン1】ストレートに「はい、営業です」と答える

「あ、じゃあ結構です」。これで終わりです。
【パターン2】「営業なんですけど、今日は○○の件でお伺いしたく~」と、営業だと認めたうえでフォローする

間違っているわけではありませんが、残念ながらお客様には通じません。
【パターン3】「営業ではありません」と答える

ご法度です。当たり前ですが、嘘をついているわけですから、これは絶対にやってはいけないことです。

「営業なの?」と聞かれて「営業です」と答えたら断られるし、「営業じゃないです」と言ったら嘘になってしまう。では、正解は?
とんち話ではありません。ちゃんと切り抜ける技があります。
それが、必殺「隠れ蓑」です。
「我々は○○の営業じゃないので~」
この表現を使えばいいのです。
■否定のようで、否定ではない切り返し
私は普段オフィス機器を売っていますが、テレアポならこんなやりとりになります。
客「何ですか? また電話を変えたほうがいいとかって営業でしょ?」
営業「私どもはほかの法人の営業会社さんのように、通信費を下げましょうとか、電話回線を変えましょうと言ったことをご提案する営業ではありません。
その点はご安心ください」
相手はあなたに対して、「何らかの営業」という抽象度の高いイメージを持っています。
それに対してこちらは、具体的な答えを返します。上記の例でいえば、「通信費を下げる」「電話回線を変える」といった一般的な(おそらく相手が想像しているであろう)例を挙げたうえで、「そういった営業ではありません」と答えるわけです。
この方法のポイントは、一見、否定の形で答えているところです。でも裏を返せば、「○○の営業ではないけれど、ほかの営業ではあるよ」ということを伝えています。
言い切らずに、言葉に含みを持たせるということです。
■丁寧すぎる態度=営業になるので注意
もう1つ、初手で営業だと相手に伝わってしまうため気をつけておきたいことがあります。
それが、丁寧すぎる言葉です。
新規でテレアポをするなら、
「お忙しいところすみません。○○会社の半沢と申します」
この言い方は絶対に避けましょう。
お客様側も、日々営業を受けているので「お忙しいところすみません」=営業という方程式が出来ています。この言葉を使っただけで、相手はお断りモードになってしまうのです。

最初にいかにも営業という対応をしてしまうと、お客様も「ああ、営業ね」という構えになるので注意が必要です。
「お世話になります。○○会社の半沢と申します」
これだけでOKです。
要は、あたかも取引先であるかのような対応をすることによって、相手の心の僅かな隙間に入り込むということです。
ぜひ、このテクニックを試してみてください。

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半沢 ツヨシ(はんざわ・つよし)

1981年生まれ。本名は關谷剛(せきたにつよし)。不動産学を大学で専攻し、卒業後は大手マンションディベロッパーに就職。マンション営業で経験を積んだ後、オフィスコンサル営業として15年間従事。売れない営業マン時代に、トップセールスの営業の手法を徹底的に分析。独自の方法で編み出した「黄金の方程式」をもとに業界トップの成績まで上り詰める。年間富士フイルム販売台数1位、アレクソン商品販売台数1位、セキュリティーメーカーブーバーブレイン社販売台数1位と3冠を達成。
現在もトップセールスとして働く傍ら、「半沢X劇場」として活動するXの投稿やvoicyで配信している営業即興ロープレも評判。

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(半沢 ツヨシ)
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