※本稿は、岡山容子『毒親を在宅で見送った緩和ケア医が伝える 関係のよくない親を看取るということ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
■「最期の時」を前にした生理的変化
私自身が看取りの医師として、患者のご家族の方に、最期の時を迎える患者さんの状態についてご説明するメモがあります。
このメモは、死を前にした方の多くに見られる「生理的な変化」について説明したものです。これらの生理的な変化はすべて起こるということではありません。
また、順序も記載どおりということもありません。
ただ、こういうようなことが起きる確率が高いということを知っておいてほしいためにまとめたものです。
これは、身近な人の死を前にあわてたり怯えたり、必要以上に不安になってしまったりすることを防ぐためにご説明しています。
なお、このメモは神戸で緩和ケアをなさっている、かえでホームケアクリニック顧問の関本雅子様から頂いたものに、私の経験を踏まえて変更・補足をしています。
■11の生理的な変化
間もなく死を迎えるであろう人に訪れる「生理的な変化」を11個にまとめています。一つひとつご説明していきましょう。
①食事量
死の前によく出てくる1つ目の兆候として、食事量が減ります。
食事量が極端に減ったとき、医師は「もしかすると残された時間は『日単位』の可能性かもしれません」のように説明します。
②声の張り
2つ目、声の張りがなくなります。
この場合も残り時間が短めの日単位、もしかしたら時間単位かもしれないと説明することもあります。
③寝たり起きたり
3つ目、寝たり起きたりを繰り返しがちになります。
ただ、そんなときでも耳はよく聞こえていて、寝ていると思っていても聞いていたりするので、あまりご本人が聞いて気分を害するようなことは言わないほうがいいように思います。
とはいえ、関係のよくない親の場合、そう思いすぎてストレスが溜まることはよくあることです。それもあまりよくないので、気持ちの向くまま、自然に任せるというのもひとつだと思います。
末期がんの母の横で私も「死ぬ死ぬ」とわめきましたし、父や叔母なども恨み言を言ったものです。人は正解どおりには動けないものです。
■息を引き取る直前にする「下顎呼吸」
④意識や判断力の低下
4つ目、今いる場所がわからなくなったり、昼と夜の判断がつかなくなりがちです。
時には自分の子どもであっても、誰だかわからなくなることがあります。
大きな声をあげたり、服を脱いでしまうこともあったりします。この場合は「せん妄」という状態のことが多いです。
⑤手足の腫れ
5つ目、下半身や手の甲が腫れてきます。
これは優しく、ゆっくりマッサージをすると軽くなることがありますが、本人が苦しくなければ様子を見ることも多いです。点滴をするとこの腫れがひどくなりがちです。
⑥呼吸音がゴロゴロなる
6つ目、呼吸をするときに多量の唾液が喉に溜まって、ゴロゴロと音がする場合があります。点滴をしていると、この分泌物が増えて不快感が強くなることがあります。
⑦手足が冷たくなり、青白くなる
7つ目、手足などの血流が減ってしまい、冷たくなりがちです。
これは飲んだり食べたりすることが減り、脱水傾向になることが影響しています。体には、大切な部分に血液を送ることを優先する働きがあるのです。そのため、体の遠い部分は、血流不足によって冷たくなったり、時に青白くなったりすることがあります。
⑧尿量が減る、出ない
8つ目、脱水傾向になるため、尿量が減り、時にはまったく出ないこともあります。また、尿が作られたとしても、膀胱の機能がうまく働かないために、尿が膀胱に溜まっているのに出ないということもありえます。
⑨発熱
9つ目、発熱が見られることがあります。この終末期での発熱には、解熱剤はあまり効かないことが多いといわれています。
⑩呼吸が不規則になる
10番目、呼吸が不規則になりがちです。
呼吸がだんだんゆっくりになり、30秒ぐらい止まって、そしてまた速い呼吸が再開することがあります。これを「チェーンストークス呼吸」と呼びます。
⑪下顎呼吸
11番目、死の直前にするといわれる「下顎呼吸」になります。喘ぐように下顎を上下に動かす呼吸のことです。
この呼吸は一見苦しそうですが、この状態であってもコミュニケーションがとれることもあります。この下顎呼吸は死の数時間前に起きる生理的な呼吸であり、異常なことではありません。ここまで、死を前にして訪れる生理的な変化を説明しましたが、後ろのほうに行くにつれ、死が近いとされがちです。
■死が訪れたときの状況
ここからは実際に死が訪れたときの様子についてお話ししていきます。こういう話が苦手な人は、読まずに飛ばしていただいてもいいでしょう。
チェーンストークス呼吸や下顎呼吸が出ていたとしても、「最後の一呼吸」は医療者であっても、わかりにくいものです。
病院などで心電図をつけている場合は、わりあいわかりやすいかもしれません。
また、心停止してもしばらくたってから心拍が再開したようにみえることもあります。ただ、これは電気的な波形が出ているだけで、蘇生するということはほぼないでしょう。また、時に尿や便の失禁が見られることもあります。
それと驚かれる人が多いのですが、体を動かしたときに声が出ることがあります。声と書きましたが、これは肺の中の空気が出るためです。ですので、呼吸や脈を確認しても戻ることはないものです。
■耳は最後まで聞こえている
体の変化にもさまざまな変化がありますが、変わらないこともあります。
変わらないこと、それは「聴覚」です。
実は亡くなる直前まで耳はよく聞こえているといわれています。
私が看取りを担当した90歳代の女性です。
「○○さん‼ がんばってー‼ 長男さん、もうこっちに向かってるよー!!!」
すると患者さんの体がビクッと反応されたそうです。
ただ、「あ、呼吸が戻るかな」と思われたものの、そのまま呼吸は戻りませんでしたが……。
このように、呼吸が止まったあとでも反応があることもあります。なじみの方の声が聞こえておられたら、きっと心強いでしょうね。
「呼吸が止まった」と思って、「先生、すぐ来て」となるご家族の方は少なからずいらっしゃいます。しかし「呼吸が止まった」ときに、ゆっくりとお声がけしてあげていただけたらなと思っています。
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岡山 容子(おかやま・ようこ)
医師、おかやま在宅クリニック院長
1971年、大阪府堺市生まれ。四人姉妹の次女として育つ。1996年、京都府立医科大学卒業後、麻酔科医として京都府立医科大学病院や西陣病院にて勤務、その後在宅医療分野へ転向。
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(医師、おかやま在宅クリニック院長 岡山 容子)

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