■婚活男性の間に広がる「隠れ専業主婦希望女子」リスク
婚活の現場で「避けられるタイプ」は、時代とともに変化する。
結婚相談所「結婚物語。」の代表カウンセラー・豊田氏によれば、最近の婚活男女に共通するキーワードは「リスク回避」だという。
中でも最近よく聞かれるようになってきた相談の一つが、マッチングアプリや結婚相談所で知り合った女性から、距離が縮まったタイミングで「仕事がつらい」「できれば辞めたい」といった発言が出てきた――というものだ。
「男女ともに、他人の失敗談を見聞きして、結婚のリスクを慎重に見極めようとする傾向が強まっています。女性が避けたいのは“ワンオペ育児”。一方、男性が避けたいのは“隠れ専業主婦希望女子”です。結婚や出産後にきちんと職場復帰できるかどうかを気にする男性が増えました。福利厚生が整った大企業勤務や公務員の女性は人気が高く、派遣社員を避ける男性も増えています」
派遣社員や無職の女性が避けられる傾向にあることについては前回の記事で述べた。
かつては珍しくなかった「高卒女性×大卒男性」の組み合わせは減少し、大卒男性の多くは大卒女性を希望しているのだ。女性を年収で検索する男性も、いまや特別な存在ではない。
■「年収400万円以上」で女性を検索する男性が増えている
特に目立つのは、「年収400万円以上」で女性を検索する男性の存在だ。
ただし、結婚相談所では女性が年収を非公開にできる。専業主婦を希望していても、それを明示して婚活している女性はほぼいない。
国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(2021年)」によれば、将来のパートナーに専業主婦を望む独身男性は6.5%。一方、専業主婦を希望する独身女性は13.8%と、倍以上の差がある。物価上昇が続く現在、この差はさらに広がっている可能性もある。
■成婚退会後に「暴露」され結婚を保留
隠れ専業主婦希望の女性と、それを避けたい男性たちの生の声を聞いた。
結婚相談所で活動中の侑也さん(30代前半・年収600万円台)は、同年代の派遣社員女性と真剣交際に進んだが、女性からの「ある一言」がきっかけで関係を解消した。
「最初は『共働きで一緒に頑張ろう』と言っていました。でも真剣交際に入ってから『子どもが生まれたら、家庭に入りたい』と言われて。本音を隠していたのかと思うと、信頼できなくなりました」
侑也さんは共働きを望んでいたが、専業主婦が絶対に不可というわけではなかった。ただ、「結婚するために本音を隠していた」ことが受け入れられなかったという。
こうした共働きに「擬態」する女性への風当たりは強まりつつある。
健一さん(40代前半・年収1000万円超)は、結婚相談所で知り合った30代前半の銀行員女性との結婚を前提に、相談所を成婚退会した。
ところが退会後、彼女から「仕事はもういいや」と退職希望を告げられたという。
「正直、驚きました。専業主婦希望だと最初からわかっていたら、選ばなかったと思います」
成婚退会時には数十万円単位の決して安くない成婚料を支払っている。その後に働き方をめぐる認識の違いが判明すれば、関係悪化やトラブルに発展する可能性もある。
現在も交際は継続しているが、結婚後の働き方については結論が出ていない。
■年収1000万円超の男性「知っていれば結婚はなかった…」
関西在住の翔太さん(インフラ系企業勤務・年収1000万円超)は、29歳のときにマッチングアプリで看護師の女性と出会い、結婚した。
ところが、結婚後に働くことへの妻の熱量があまりに低いことに衝撃を受けた。
「婚約後に『翔太くんが稼いでくれるから、私はのんびりできるね』と言われました。猫を飼っていて、『二人ともフルタイムだと猫に時間をかけられない』とも。専業主婦は暇だからやめておこうと話し合い、今は近所のクリニックで週3日働いています」
翔太さんは、強い専業主婦志向が事前にわかっていれば結婚しなかった可能性もあるという。
「私の周りはパワーカップルが多く、友達の奥さんも年収800万円クラス。生活水準の差は感じます。向上心がないように見えるというか、失業保険の受給対象になる12カ月働いたら辞めて、失業保険を満額もらってから次の仕事を探すというのを繰り返すんです。妻は生活費は入れていなくて、自分の収入は好きなように使っています。NISAぐらいはやってねと伝えているけれど、おそらくやってない」
もしお金が必要になったら短期高収入の看護師求人を探して働けばいいと思っているらしい。妻が独身時代にガールズバーで働いていたことも結婚後に発覚し、現在もたびたび仕事や金銭感覚の面で価値観のズレに戸惑うことがあるという。
「でも結婚生活の満足度は満点です。理想とは違いましたが、別れる理由にはなりませんでした。家事をすべて担ってくれるので仕事に集中でき、転職後に年収も上がりました。結果的に“あげまん”なのかもしれません」
隠れ専業主婦希望の女性が必ずしも不幸を招くとは限らないが、モヤモヤも残るという一例である。
■「専業主婦希望をわざわざ言う必要はない」女性側の本音
一方、専業主婦を希望する女性たちはどう考えているのか。
由美さん(30代前半・正社員・年収300万円台)は、結婚後に専業主婦になることを望んでいる。
「仕事を辞めたいなんて、わざわざ言う必要はないと思う。専業主婦希望を嫌がる男性ははっきりいって情けない」
年収700万円以上の男性を希望する優香さん(20代後半・派遣社員・年収300万円台)も「入籍後に伝えればよい」と話す。
「妊娠出産で働けなくなる可能性もあるのに、専業主婦を嫌がる男性は甲斐性がない」
2人はいずれもマッチングアプリで婚活している。多くのアプリでは、男性は課金しなければメッセージを送れない一方、女性は無料で利用できる。年収証明も不要なケースが多く、自己申告ベースだ。
マッチングアプリでは女性は“女性である”というだけで大量の「いいね」を受け取ることができる。年収700万円前後の男性ともマッチングまでは容易に成立するため、30代で700万円が本来は高収入層であるにもかかわらず、「これくらい普通」という感覚が生まれやすい。
しかし、マッチングできることと、結婚できることは別問題だ。
付き合うまでは“選ぶ側”でいられても、結婚するまでの主導権を持っているわけではない。婚活市場で2人のライバルとなるのは、「年収400万円以上」「大卒」「大企業」の正社員の女性たちだ。
彼女らは、そんなライバルたちになすすべもなく敗れ、婚活の海をさまよい続けることになる。
■「避けられている」ことに気付かない女性たち
取材した範囲では、専業主婦希望を交際前に明示する女性は少数派だった。多くは「交際後」「入籍後」と考えている。共働きが当たり前になりつつある時代に、「専業主婦希望は事前に伝えなくていい」と考える女性が一定数いることには驚かされる。
男性側から見れば、それは明らかに将来設計上のリスクに映る。実際、年収400万円以上で女性を検索し、共働き前提の相手を選ぶ動きは広がっている。しかし当事者は、自分が避けられている可能性に気づいていない。
専業主婦希望を伝える必要がないと考えている女性たちは、昔ならそれが当たり前だから伝える必要がないと思っているのかもしれない。実家暮らしでお金のやりくりの経験がなければ、物価上昇もあまりピンと来ていない可能性すらある。
さらに問題なのは、まだ相手も決まっていないのに「いずれ辞める前提」でキャリア形成を軽視することだ。未婚のまま40代、50代を迎えれば、老後貧困予備軍となり、ますます婚活で苦戦することになる。
■共働き増でも女性はパート勤務が一般的
もっとも、専業主婦希望といっても希望の度合いには濃淡はある。
彩乃さん(30代前半・正社員・年収300万円台)は、基本的には共働きを前提に考えている。
「育休制度は整っていますが、妊活や家事育児と仕事を両立できるかは不安。体調次第では専業主婦という選択肢もあり得ると思っています」
制度は整いつつあるが、出産後も正社員として働き続ける女性は依然として多くはない。共働き世帯は増えているとはいえ、妻がパート勤務という形がまだまだ一般的だ。
■年収非公開の女性の成婚率は公開派の半分
パートナーを探す男性にとって、相手の雇用形態や年収は重要な判断材料になりつつある。ただ、こうした傾向が強まったのはここ10年以内の変化だ。
豊田氏は、次のように話す。
「結婚相談所で女性が年収を公開するケースが増えたのは、2020年以降。コロナ禍や物価上昇で先行きが見えにくくなったことが影響していると思われます。とはいえ、2026年時点でも公開しているのは全体の約3割程度(婚活サービス大手「IBJ」の場合)です。若い世代や都市部の会員ほど公開率は高い傾向にあります。
また、年収を非公開にする女性は、年収が高すぎるか、あるいは低すぎかに二極化している印象があります。おおよそ300万~1000万円程度の層が比較的公開している印象です。一方で、昔ながらの価値観を持つ仲人が運営している相談所では、女性の年収を“出す必要はない”と判断して非公開にしている場合もあります」
実際、IBJのデータでは、年収非公開女性の成婚率が24.0%であるのに対し、年収公開女性の成婚率は46.1%と、ほぼ倍の差が出ている。
婚活市場が共働き前提へと移行する中で、平均以上を稼いでいる女性が年収を公開することは、結婚しやすさを押し上げる要素のひとつになりつつある。
■隠れ専業主婦希望女子の見抜き方のコツ
豊田氏に、いわゆる“隠れ専業主婦希望”かどうかを見抜くコツを聞いた。
「おすすめなのは、『仕事は楽しい?』『やりがいはある?』といった質問です。お見合いや初デートでも不自然ではありません」
専業主婦を希望している女性の場合、現在の仕事について積極的に楽しさや将来展望を語るケースは多くないという。仮に「やりがいがあります」と前向きに話したとしても、「そんなに楽しいなら、定年まで続けたいと考えている?」と一歩踏み込むと、言葉を濁すことがある。
一方で、「定年まで働くつもりはありますか?」とストレートに確認する方法は、あまり勧められない。
関係性ができる前に「共働きをしてほしい」という意図が前面に出てしまうと、たとえ共働きに前向きな女性であっても、「出産後に体調を崩した場合でも働くことを求められるのではないか」「子どもに手がかかる時期も配慮してもらえないのではないか」といった不安を抱く可能性があるからだ。
実際には、家事・育児の分担割合や、双方の実家との距離、サポート体制など、具体的な条件をすり合わせていく必要がある。そうした前提を共有しないまま「定年まで共働き」と言われても、即答は難しい。
そのため、プロフィールやお見合いの場では、「育児は分担したいと考えている」「仕事を前向きに取り組んでいる人に惹かれる」といった姿勢を示すほうが効果的だという。
共働き志向の女性にとってはポジティブなメッセージとして受け取られやすい。一方で、専業主婦を強く希望している女性にとっては、「価値観が合わないかもしれない」と判断する材料になり、ミスマッチを未然に防ぐことにつながる。
■覚悟を持った人が結婚していく
豊田氏は最後にこう力を込めた。
「高年収女性が以前ほど苦戦しなくなったなど変化はありますが、成婚率自体は10年前と大きく変わっていません。会える人の中から“この人と結婚する”と覚悟を持った人が、今も昔も結婚していきます」
専業主婦を望むか、共働きを望むか。どちらかが正しいというわけではない。
問題は、結婚後の働き方をどれだけ誠実に相手に共有できるか、希望の違いを話し合いで乗り越えていけるかだ。
変化の激しい時代だからこそ、自分にとっての「理想」を押し通すだけでなく、お互いの希望をすり合わせながら選択を正解にしていく姿勢が、結果として幸せな結婚に近づく道なのかもしれない。
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菊乃(きくの)
恋愛・婚活アドバイザー
これまで3000人以上の恋愛・婚活相談に携わる。相談者の約4割は恋愛経験がなく、服選びや写真、プロフィール作成といった婚活スタート時の支援から、LINE添削など関係構築のサポートまで一貫して行う。マンツーマン相談のほか、自治体や結婚相談所でのセミナー講師、婚活・結婚に関する執筆を行う。著書に『7日間でとびきり愛される方法』(かんき出版)、『あなたの「そこ」がもったいない。』(すばる舎)、『なぜか愛される女がしている73の習慣』(双葉社)ほか。
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(恋愛・婚活アドバイザー 菊乃)

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