※本稿は、ひろゆき『人生の正体 生きること、死ぬこと』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
■息を吸うだけでお金がかかる東京
東京の求心力はすごい。
東京には常に人が集まってくる。いつも新しいものであふれていて、刺激に事欠かない。電車やバスなど公共交通機関も隅々まで行き届いているし、深夜12時を過ぎても開いている店が多ので、便利だし、快適だ。
ただ、東京で暮らすことをコスパの面で考えると間違いなく悪い。最悪と言っていいかもしれない。
なぜなら、東京では「息を吸う」だけでコストが発生するからだ。
なかでも、最大の固定費である住む家にかかるコストは、東京と地方とでは雲泥の差がある。少し比較してみよう。
■東京暮らしは「家賃・住宅ローンのために働く」はめになる
東京都内に通うサラリーマン(正社員)の年収中央値は約400万円だ。
不動産・住宅情報ポータルサイト「ライフルホームズ」や「スーモ」の賃貸相場データを見ると、東京23区内にある3LDKのファミリー向け賃貸物件の家賃が月20万~30万円に達する一方、地方都市では6万~9万円のレンジに収まるケースが多い。
仮に東京23区で月々25万円、地方都市で月々8万円、それぞれ支払い続けた場合、30年間の総額は、東京23区が9000万円かかるのに対し、地方都市は2880万円と、その差は6000万円を超える。
東京では家賃や住宅ローンの返済をするためだけに、働かざるを得ないループに人生がからめ取られてしまうわけだ。
じゃあ、田舎で暮らすことが最良の選択なのか。実は、そうとも言い切れない。
■都会人が憧れる「田舎暮らし」の幻想
東京での暮らしに疲れて、「田舎暮らし」を夢見る人は少なくない。効率やスピードを優先し、いつもせわしなく時間が過ぎていく都会の喧騒から逃れ、大自然に癒されながら自分のペースで豊かな人生を送りたい――。そんなスローライフに憧れて東京から移住する人は、昔から一定程度存在する。
ただ、そういったイメージ先行型の人が憧れを抱く田舎暮らしは、現実とかけ離れた妄想にすぎない。
「田舎の人は心が温かい」
「空気はきれいだし庭先で森林浴ができる」
「自分で耕した畑で毎朝採れたての野菜を食べられる」
「釣ったばかりの新鮮な魚は美味しい」
少なくともこういったイメージに引っ張られて移住を決めてしまうと、すぐさま足元をすくわれるのは目に見えている。
■「東京暮らしに疲れて田舎へ移住」が失敗するワケ
「田舎の人は心が温かい」は本当か?
田舎の人も、東京の人も、心が温かいかどうかは人それぞれだ。
「空気はきれいだし庭先で森林浴ができる」はどうか?
田舎の空気がきれいなのは間違いない。家の構造によっては庭先で森林浴もできるだろう。ただ、広い敷地では、剪定や草刈りをおろそかにすると伸び放題の草木は、日常生活もままならなくなるほどの脅威になる。ヤブ蚊やハチ、ムカデなどの害虫が大量発生し、ヘビ、ネズミ、イノシシといった害獣がすぐに住み着くからだ。
「自分で耕した畑で毎朝採れたての野菜を食べられる」「釣ったばかりの新鮮な魚は美味しい」は?
それはまさに田舎暮らしの醍醐味なのだろう。ただ、採れたての野菜は東京でも家庭菜園で十分味わえる。庭がなかったら安い市民農園を借りればいい。肉や魚も産地直送が売りのスーパーに行けば入手可能だ。
そもそも東京から地方へ移り住んだところで、本人が変わらなければ何も変わらない。
「東京が嫌だから田舎へ」という逃避型の移住が、しばしばうまくいかないのはそのせいだろう。
■車がなければ生きられない
さらに言うと、日本の地方は今後ますます不便になっていく。人口減少は確実に進む。限界集落は増え続けており、飲食店が消え、公共交通機関は縮小し、医療機関へのアクセスが難しくなっているエリアは、これからさらに拡がっていく。
高齢になって免許返納したらすぐさま買い物難民となってしまう。
医療機関に定期的に通っている人。公共交通機関を頻繁に使う人。外食が生活の一部になっている人。そういう人にとって田舎暮らしは「コスト削減」どころか、余計な出費が増え、「生活の質の著しい低下」につながりかねないのだ。
とはいえ、それでも東京の住居にかかる固定費を考えると、地方に拠点を移したほうがコスパはいい。
■35歳を過ぎた人たちが東京を離れている
では、実際に地方への移住を決めた東京脱出組はどういう人たちなのか。
総務省の人口移動報告によると、2025年の東京都は転入者が転出者を約6万5200人上回る「転入超過」となった。前年よりおよそ1万4000人減って、4年ぶりの縮小となったものの、依然として東京への人口集中は続いている。
転入組は20代が中心だが、転出組に目を移すと、35歳を境に増えはじめ、ここ数年はよりその動きが顕著になっている。
好奇心旺盛な20代の若者は東京を目指し、30代なかばを過ぎると生活防衛のため地方に新天地を探し求めるというわけだ。
特にここ数年は、少子化対策の一環で、空き家をタダ同然で提供したり、子育て世帯に手厚い支援をする自治体が増えたことも後押しとなっている。
「自然があって癒しがある」という漠然とした田舎のイメージに釣られて決断に至るというのは過去の話で、コスパという実利を積極的に取りに行っている人たちが増えているということなのだろう。
■移住は「お試し」で暮らしてみてから
東京を脱出して田舎に移り住むと決めたとしても、いきなり東京の住まいをすべて引き払って、ぶっつけで新しい世界に飛び込むというのは無謀といえる。
それより短期賃貸の条件で部屋を探し、一度「お試し」で暮らしてみて、段階的に移住するのが賢明で合理的な選択だと思う。
移住で失敗しやすいのは、下準備もほどほどに闇雲に動いてしまうことだ。
実態は、生活環境の相性でほぼ決まる。
合わない環境に入れば、努力は空回りし消耗するだけだ。
結局のところ、実際に住まないことには、そこが自分にとってふさわしい新天地なのかどうかわかるはずがないのだ。
ゴミの出し方。夜の暗さ。店までの距離。車が前提になる生活。地域特有のルール。
これらに折り合いをつけないと、たとえ固定費が劇的に下がったとしても、生活はうまく回らない。短期賃貸は、その相性を確認するための手立てとして有効だろう。
■若い頃はバリバリ東京で稼ぎ、いい年齢になったら田舎に移り住む
特に差が出るのは、医療と季節だ。
必要な薬が地域では手に入りにくい、受診先の選択肢が少ない、といった問題は、気をつければ解決する種類のものではない。
夏にリゾート気分で様子見にいって「暮らしやすそうだ」と決めつけるのはかなりリスキーだ。
そうした点を踏まえると、住む場所の結論も整理できる。東京は便利さの密度が高い一方、住居にかかる固定費が重い。地方は住居固定費が軽い一方、生活インフラの密度が低い。どちらも一長一短で、万能解にはならない。
だからこそ、発想を切り替えることが重要になってくる。
東京は「仕事でバリバリ稼ぐ場所」と割り切って、たとえば「35歳までは東京に住むことにしよう」といったタイムリミットをあらかじめ設定しておく。この間に、出社が月数回でOKのリモートワークを推奨する働き口を探し、想定した年齢に達したら、自動的に田舎への移住計画を進めればいい。
固定費のかからない場所に生活拠点を置き、必要に応じて東京暮らしのメリットも取りに行く。東京か田舎か、という二択ではなく、固定費と自由度の配分を組み替える、という話なのだ。
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ひろゆき(ひろゆき)
2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は155万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)、『なまけもの時間術』(学研プラス)などがある。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)

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