※本稿は、ひろゆき『人生の正体 生きること、死ぬこと』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
■AIに食われる職業、残る職業
今後、AIが普及しきった世界で、どんな仕事が生き残れるのか。
少し考えてみよう。
AIはゼロから新しい何かをつくり出すわけではない。すでにネット上に転がっている情報をかき集め、そこから個別のリクエストに応じて文書やコード、画像、動画などを生成している。
AIに求められるのは、正確な答えにいかに早くたどり着けるか、だ。
そういった精度が求められる採点表のあるような仕事は、AIに取って代わられることになる。
よく言われるのが、一般事務、データ入力、経理の定型業務、コールセンターやチャットサポート、簡易翻訳、バナーや簡易デザイン制作、単純な資料作成・リサーチ業務、そして記者やライター業などだ。
一方で、僕が残ると思うのは、責任をともなう意志決定が必要で、人間同士の信頼や感情の調整が求められ、最終的にリスクを引き受ける立場の仕事だ。
■人は「信用」にお金を払う生き物
人は結局、誰がお墨付きを与えているのかという信用の部分に、お金を払っている。
「あの先生が言うなら信じるほかない」
「あのシェフがつくったメニューなら、どんなに高額でも食べてみたい」
「あのインフルエンサーがおすすめというなら間違いない」
これらはすべて、「ブランド価値」という言葉に置き換えることができる。
なかでも、何か問題が生じたときに、最後に責任を引き受ける主体が見えているかどうか、という点は大きい。
たとえば、医療機関の現場で使われていたAIが、誤った診断を下したことがきっかけで医療過誤の訴訟に発展したとする。その後、裁判で有罪になったとしても、AIそのものを刑務所に放り込むことはできない。
最終的に、管理者責任を問われるのが人間でなければ、お客も納得しないはずだ。
■「なくても困らない仕事」のほうが生き残る
また、AI時代には、「無駄」な仕事が重宝されることになると思う。
無駄な仕事とは、機能だけ見ればオーバースペックで、日常生活を送るうえで「なくなっても何の支障もない」けど、わざわざお金を払ってでも提供されたい財やサービスを生む仕事のことだ。
いつも以上に気分が良くなる、特別あつかいされる、少し安心できる、ちょっとした面倒が減る――。そういった付加価値を生む仕事である。
たとえば、コスパは悪いが王様気分を味わえるキャバクラや、お姫様体験ができるホストクラブはわかりやすい例だろう。刹那的な楽しいひと時を買う「課金システム」とも言える。
もちろん、キャバクラやホストだけではない。結婚式や葬式のプロデュース、ホテルのコンシェルジュ、スパやエステ、推しのイベント、オーダースーツ、家事代行……。
AIがどれだけ賢くなっても、この「無駄にお金を払う市場」が消滅することはないだろう。
■AI時代は「無駄」に価値が出る
効率化できる仕事は、今後ますますAIに置き換わっていくことになるだろう。コストはかからないし、文句も言われない。そのうえ24時間フル稼働してくれるからだ。
先ほど、今後なくなる仕事の例として挙げた記者・ライター業について少しだけ掘り下げてみよう。
こういった「書く」ことを生業とする仕事が、根こそぎすべてなくなるとは思わない。すでに絶滅危惧職種入りしつつあるのは、発注側のリクエストに忠実に従った原稿を書いてくれる御用ライターだ。
結論と構成が決まっていて、必要なのは整形と要約だけ。そういった明確な「正解」がある文章は、AIがもっとも得意としているので淘汰されるのは必至だ。
では、人間の書くものはどこに残るのか。
ここでも「無駄」に読ませる文章が高い付加価値を生むことになると思う。
「読むのに時間がかかる」は、結論だけ手っ取り早く知りたい人には非効率だ。それでも、読んだ人の中に、書き手や登場人物の感情や体温が感じられる原稿なら、その読書体験そのものが価値になる。読むことで臨場感が味わえる記事、好奇心を刺激する熱量のある創作などは、そうやって十分売り物になるのではないか。
バイライン(署名)が付された原稿も同様だろう。間違ったことが書かれたら責任を問われ、信用は失墜する。逆に、「この記者・ライター・作家が書いたものなら信頼に値する」と受け止められれば読み手は絶えない。これこそ、「ブランド価値」そのものだ。
すでに、ネットで拾い集めた断片情報をAIに食わせただけのコタツ記事は、無価値との認識が拡がっている。最後に残るのは、読む側が「信用の置き場所」として選ぶ文章だけとなるはずだ。
■「人間の仕事」はどんどん削られていく
AIの普及でホワイトカラーの仕事がなくなっていく――。
そんな悲鳴があちこちから聞こえてくる。でも、ブルーカラーの領域においても、実は普通に、AIに仕事が奪われている。
これまで、大規模農場で農作物を大量生産するには、アメリカのような広大な土地を持つ国でないと成り立たないと言われていた。
だだっ広い農地に大型播種機で種をまき、空からプロペラ機で農薬や肥料を降らせ、巨大なコンバインを総動員して収穫する世界だ。
でも、AIを使うことで、ある程度のサイズの土地でも、最適化して機械を動かせばそれなりの収穫量が期待できるところまで生産性は向上した。その結果、就業人口が減っても十分成り立つようになったのだ。
人間がやらなくていい領域が今後ますます拡がっていく。人間の仕事はどんどん削られていく。
AI中心の社会になるということは、結局のところ、コスパ至上主義がまかり通ることにほかならない。「人間をいかに切り捨てられるか」が主題になる社会がもう来ている。
■カネ貸し、娼婦、占い師は生き残る
そして、もっと露骨に「絶対になくならない」と言い切れる仕事もある。
有史以来、もっとも古くからあるカネ貸しや娼婦の仕事だ。おそらく、泥棒や占い師も淘汰されることはないだろう。
泥棒は別だが、職業に貴賤はないと僕は思っている。こういった仕事は科学技術がいくら進化しようが形を変えて残るはずだ。
なぜか。
人間の「欲望」と「不安」を相手にしているからである。
僕はここで善悪の話をしたいわけではない。「必要かどうか」「役に立つかどうか」とは別のレイヤーで、欲望と不安はいつの時代も払拭されることはない。だから、人間の欲望や不安が尽きない以上、市場として存続し続けるという推測だ。
■理屈より先に心に財布を開かせる職業は生き残る
きれい事で言えば「ケア」や「コミュニケーション」。
汚い言い方をすれば「性」と「暴力」と「不安」。
後者の3つは、人類が滅亡しない以上、ビジネスのネタとして買い手は絶えないだろう。
たとえば「不安」。将来が不確かなとき、人はより「安心できる物語」を買う。
「性」も「暴力」も似ている。時の為政者にその存在を隠されても(規制されても)、ゼロにはならない。むしろ表面的には見えないように整備されるだけで、地下に潜ってあらたな闇マーケットを形成する。なくなるのではく、流通経路が変わるだけだ。
AIが進化するほど「まともな正解がある仕事」は淘汰されていき、逆に「欲望と不安の市場」が際立って伸びるだろう。
真面目に答えを追い求めていた人ほど割を食って、「よくわからないけど刺さるもの」のほうが注目を集める。
社会が賢くなるというより、社会の本性がより可視化されるということだ。
----------
ひろゆき(ひろゆき)
2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は155万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)、『なまけもの時間術』(学研プラス)などがある。
----------
(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
