※本稿は、藤吉修崇『交通トラブル六法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■渋滞が起きる場所、最多は「谷」
車を運転していて「なんでこんなところで渋滞してるの?」「個人レベルで渋滞を解消する方法はあるの?」「先進技術で渋滞を解消することはできないの?」と思ったことはありませんか。
本稿では、車を運転していると遭遇する謎をご紹介します。
実は渋滞って、事故や工事がなくても「勝手に発生」してしまう不思議な現象なんです。しかも、その原因は意外なところにあることが多いんです。
今回は渋滞の謎に科学的に迫ってみましょう。「えっ、そんな理由で?」と驚くようなメカニズムが隠されています。渋滞の真実を知れば、運転中のイライラも少し和らぐかもしれませんよ!
渋滞は単に「車が多いから起こる」わけではありません。実は明確な科学的メカニズムがあるんです。
渋滞は「流体力学」という物理学で説明できます。車を水の流れに例えると、川幅が狭くなったり障害物があると水流が乱れますよね。道路でも同じことが起こっているんです。
日本で最も多いのが「サグ部渋滞」です。サグ部とは下り坂から上り坂に変わる谷のような地形のことで、東名高速「大和トンネル付近」、名神高速「一宮IC付近」、中央道「小仏トンネル付近」などが代表例です。ドライバーは緩やかな上り坂に気づかず、無意識にスピードが落ちます。たった時速5kmの減速でも、後続車に「ブレーキの波」が伝わり、数km先まで渋滞が発生するんです。
■渋滞を引き起こす原因4つ
渋滞を引き起こす意外な原因を整理してみましょう。
まず車間距離不足です。前車がわずかに減速するだけで急ブレーキが必要となり、この「ブレーキの波」が後方に伝わって渋滞を生みます。さらに頻繁な車線変更も問題で、割り込みのたびに後続車が減速し、全体の流れを乱します。
事故や工事現場をのぞき込む「野次馬運転」も渋滞を悪化させる典型例です。料金所付近はETC普及後も車線合流で必ず流れが悪化しますし、同じ時間帯に車が集中する心理的要因やカーナビによるルート集中も見逃せません。
個人的に気になるのはオービス付近の渋滞です。制限速度を守っていれば問題ないのですが、ドライバーが反射的に急ブレーキを踏んでしまい、結果的に「ブレーキの波」が広がります。
また、トラックが追い越し車線を長く走ることも一因で、リミッターの影響で追い越しに時間がかかり、後方に渋滞ができてしまうのです。
■「車線変更」は控えたほうがいい
渋滞を避ける・悪化させない実践的な方法をご紹介します。
個人でできる渋滞対策として、前車との適切な車間距離を十分に取ることが重要です。速度の変化を最小限に抑える定速走行を心がけ、無駄な車線変更は控えましょう。「急がば回れ」の精神で、合流時はスムーズに行い、無理な割り込みは禁物です。
また、トンネルに入るときに無意識にスピードを緩めてしまう人が多いのですが、これも渋滞の原因になります。トンネル内では一定の速度を保つことで、後続車への影響を最小限に抑えることができます。
時間帯の工夫も効果的です。平日は7時から9時、17時から19時を避け、週末は土曜午前と日曜夕方を避けることで渋滞に巻き込まれる確率を下げられます。長期休暇の初日と最終日は特に注意が必要です。もちろん通行する道にもよりますが。
ルート選択のコツとして、カーナビの渋滞情報を活用し、複数ルートの所要時間を比較することが大切です。
■最新技術の実現は「まだ時間がかかる」
最新技術による渋滞解消の取り組みをご紹介します。
AIによる自動運転技術が普及すれば、車間距離の最適化で道路容量が向上し、人間の感情的な運転がなくなります。車同士の通信で最適なルートを自動選択できるようになれば、渋滞は大幅に改善されるでしょう。
スマートインフラとして、信号機のAI制御で交通流を最適化し、リアルタイム渋滞情報の精度向上、動的な車線規制で流れを改善する取り組みが進んでいます。
テレワークの普及で通勤ラッシュが緩和され、公共交通機関の利便性向上、シェアリングサービスで車の総数減少も期待されています。
ただし、これらの技術導入には法整備や社会の理解が必要で、完全な渋滞解消にはまだ時間がかかりそうです。
■日本初の信号機を、新聞が「青」と呼んだ
車を運転していると、疑問はほかにも浮かびます。次は信号機の謎に迫ります。
「青信号」と言いながら、心の中で「あれ? どう見ても緑色じゃない?」と思ったこと、みなさんありませんか? 子供のころから当たり前に「青信号になったら渡る」と教えられてきたけど、冷静に見ると明らかに緑色。でも誰も「緑信号」とは言わないなんて、なんだか不思議ですよね。
実はこの謎、日本独特の面白い歴史が隠されているんです! この身近すぎて気にならなかった「青信号」の秘密に迫ってみましょう。
実は、この「青信号」問題の答えは、日本の交通信号の歴史にあります。1930年3月、東京の日比谷交差点に日本初の自動交通信号機が設置されました。このときの法令では、現在の青信号にあたる色は「緑色信号」と正式に呼ばれていたのです。
しかし、信号機の設置を紹介する当時の新聞記事で「青・黄・赤」と表記されたことをきっかけに、「青信号」という呼び方が世間に広まりました。そして1947年、道路交通法の前身となる「道路交通取締法」が制定された際に、法令上も「青信号」に変更されたのです。
なぜ新聞が「青」と書いたのか。それは古典的な日本語での色彩表現と関係があります。平安時代の日本では「白し」「赤し」「青し」「黒し」の4つの色を表す形容詞しかなく、緑色も「青し」に含まれていました。現代でも「青葉」「青菜」「青りんご」「青のり」など、緑色のものを「青」と表現する習慣が残っているのはその名残です。
■「青信号」と呼ぶのは日本だけ
では、他の国ではどう呼んでいるのでしょうか?
英語では「Green Light(グリーンライト)」、ドイツ語では「Grünes Licht(グリューネスリヒト)」、フランス語では「Feu Vert(フーヴェール)」、中国語では「緑灯(リュウダン)」と呼びます。見事に全部「緑」ですね!
実は「青信号」と呼んでいるのは、世界でも日本だけです。国際的な信号機の色はCIE(国際照明委員会)によって「赤・黄・緑」と決まっています。
ここで面白い事実があります。日本の信号機、よく見ると確かに他国より「青っぽい緑色」じゃありませんか?
現在の道路交通法施行令第2条では「青色の灯火、黄色の灯火、赤色の灯火」と明記されています。この法律ができたとき、既に「青信号」という呼び方が定着していたため、法律でもそのまま「青」と書かれたんです。
そこで日本では1973年に妙案が生まれました。「信号機の青灯火を可能な限り青に近づける」という指針が出されたのです。国際基準の「緑」は守りつつ、法律の「青」とも矛盾しないよう、CIEの緑灯火の基準内で最も青寄りの色度の光源を採用したのです。これが日本の信号機が微妙に「青っぽい緑」になっている理由です。
信号機メーカーは「緑なのに青と呼ばれる」というジレンマを解決するため、絶妙な色調整を続けています。法律と現実、そして国際基準ともバランスを取る、とても日本らしい解決方法と言えるでしょう。
■日本人は微妙な色の違いに敏感
この「青信号」問題は、実は色彩認識の文化的相対性を示す興味深い例なんです。
色の区別や境界は、実は文化や言語によって大きく異なります。
日本人は伝統的に微妙な色の違いに敏感で、季節感と色を結びつける文化があり、「わび・さび」に代表される落ち着いた色や中間色を好む傾向があります。この色彩感覚の豊かさが、現代でもデザインの繊細さ、アニメや漫画での色使い、ファッションでの微妙な色表現などに影響を与えています。
言葉と認識は密接に関係しており、そこから生まれる違いは身近なところにも表れるものです。「常識」は時代や国によって変わるということを、この「青信号」が教えてくれているのです。
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藤吉 修崇(藤吉 修崇)
弁護士法人ATB 代表弁護士
東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒業。大学時代に演劇に没頭し、スコットランドへ留学。その後、舞台演出や空間プロデュースに携わる。30歳を過ぎてから一念発起し、猛勉強の末に司法試験に合格。弁護士法人ATBを設立。YouTubeチャンネル「二番煎じと言われても」は登録者数が20万人を突破。道路交通法の理不尽な状況を法律の観点から解説している。
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(弁護士法人ATB 代表弁護士 藤吉 修崇)

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