※本稿は、伊藤滉一郎『子どもが沈まない 親が無理しない 小中高大受験戦略』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
■先生に気に入られない子は中学受験向き
前提として、高校受験ではなく、中学受験をすべきタイプも存在します。まず、競争好きのお子さんは中学受験に向いていると言えます。中学受験塾では、成績順にクラスの序列や座席の配置が決まるところが多く、テストの成績が良ければ教室の前の方の席に、あまり芳しくないと後ろの方に、さらにはクラス落ち……という日々が続くことになります。
こうした環境には向き不向きがあり、競争適性が高いお子さんは刺激的なゲームのような感覚で楽しく塾に通うことができるでしょう。そうしたタイプの子にとって、ライバルと切磋琢磨し、ペン1本で高みを目指すという経験は、本人の成長につながるはずです(※)。
※『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと』東京高校受験主義(東田高志)、Gakken、2024年
また、早熟で認知能力は高い傾向にあるものの、社会適応性の面がやや未発達で、先生に気に入られなさそうな子も中学受験向きだと言えるでしょう。言い換えると、明らかに内申点が取れなさそうな子を公立中学に入れ、高校受験市場に参戦させたら、芳しい結果は得られないだろうということです。
■尖った才能を殺さないために
そのため、学校の勉強は得意だけれど同級生と比較して精神的にやや幼い・協調性が低めといった傾向が小学生のうちから見られるようなら、中学受験の方が進路の可能性が広がるかもしれません。中学受験では(一部面接があるところもありますが)基本はペーパーテスト一発勝負で、勉強さえできれば突破できます。
将来の会社員人生を考えると、内申点を稼ぐ能力はかなり重要な要素になります。
尖った特性を持つ天才肌タイプには、その子に合った道があるのだと考え、中学・高校は学力のみで評価される世界で生きていった方が幸せなのではないでしょうか。
ちなみに、そういった社会性にやや問題ありだけれど勉強はできる「内申弱者」タイプの子におすすめなのは医師や公認会計士などの士業だったりします。
■開成でも東大現役合格は3割
もちろんどんな職業も他者との関わりは必ず発生しますが、これらの士業は組織内での立ち回りよりも個人の腕が評価される傾向にあります。当然高度な知的能力が必要とされますから、希少性も高く、一度資格を取ってしまえば食いっぱぐれる可能性は低くなるでしょう。
「大変なお金と時間をかけて名門中学(高校)に入ったからには、よっぽどのことがない限り東京一工をはじめとする難関大学や医学部には合格できるだろう」という認識をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
それこそ中学受験界で神格化されている男子御三家(開成・麻布・武蔵)に入ろうものなら、生徒のほとんどが東大や医学部を狙えると考える方も多いと思います。しかし、実態はかなり意外なものになっています。
例えば、東大合格者数日本一の開成高校は一学年約400人ですが、大学への「現役進学者数」に限定して見てみると、2025年度入試では東大107人、京大7人、一橋大11人、東京科学大13人、国公立医学部32人となっていて、天下の開成であっても現役で東京一工・国公立医学部に進学するのは学年の3~4割程度であることがわかります。これに浪人生を加えても半数程度です。
■MARCHも厳しい「深海魚」
私立大学に目を向けると、早稲田大に18人、慶應義塾大に25人の進学者が出ていて、MARCHなどの他私大にも10人以上の進学者を送り出しています。
さらに、このクラスの学校であっても、中学受験後に勉強の手を止めてしまった、いわゆる「深海魚」と呼ばれる成績下位の生徒が一定数います。彼らに至っては、地方国立・MARCHクラスの大学も厳しいというのが現実です。
このように、首都圏で最高レベルの中学に受かっても、進学者の中央値は早慶の上位学部程度なのが実態で、早慶といえどもたやすく入学できるわけではなく、侮れないことがわかります。
そのため、最難関中高にあえて進まず、早慶の付属校などで最終学歴を「利確」してしまおうという勢力も一定数いるというわけです。偏差値・入試難度では御三家に劣るものの、最終的には確実に早稲田・慶應卒業の肩書を手にすることができ、さらに大学受験のリソースを部活や課外活動に振り分けることができる大学付属校が人気なのも頷けるでしょう。
■「受験沼」にハマる人が見落としていること
御三家未満の学校の場合、早慶以上の大学に現役で進学できる生徒は半分にも達しません。日能研偏差値60程度の難関校であっても、旧帝大・医学部・早慶への現役進学率は2~3割程度なのが現実で、これにはやや物足りなさを感じる方もいるかと思います。
小学生時代に3年間にわたる対策をして、数千時間の学習時間と数百万円の費用を投じて名門中高に入ったとしても、中央値は早慶に届かないのか……とがっかりされる方(親御さんご自身は旧帝大・早慶などを卒業した高学歴層であることが多い)も多いでしょう。
ただ、そうした中学受験市場、とりわけ最難関中高に挑む・挑ませる親の価値観は全国的に見たらかなり限定的なものであるということは認識しておく必要があるでしょう。そもそも、中学受験をする家庭は全国的に見たら1割にも満たず、さらに国内で大学に進学する人は同世代の半分ちょっとです。
「受験沼」にハマっていると、そういった当たり前の現実ですらにわかには信じがたいと感じてしまいがちですが、定期的に広い視点に立ち返って、目の前の受験に向き合っていただけたらと思います。
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伊藤 滉一郎(いとう・こういちろう)
受験・学歴研究家、じゅそうけん代表
1996年愛知県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、メガバンクに就職。2022年じゅそうけん合同会社を立ち上げ、教育機関向けの広報支援サービスを展開する。高学歴1000人以上への受験に関するインタビューや独自のリサーチで得た情報を、XやYouTube、Webメディアなどで発信している。著書に『中学受験 子どもの人生を本気で考えた受験校選び戦略』(KADOKAWA)、『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)がある。
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(受験・学歴研究家、じゅそうけん代表 伊藤 滉一郎)

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