いつの時代も親の思い通りにはいかないのが子育てだ。どのように対処するといいのか。
心理学者の内藤誼人さんが世界の大学や教育機関などで調査研究した結果を読み解き、よりスマートな「子育てのコツ」を伝授してくれた――。
※本稿は、内藤誼人『すごい子育て 科学的に証明された子どもの伸ばし方』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。
■出生順位で性格が違う
心理学者は、目の前の人に、家族の中で兄、姉、弟、妹のいずれなのかを教えてもらえれば、おおよそどんな性格なのかわかると言います。人はその出生順位によって、ある程度固定された性格になるものだからです。
誰だって、ちょっとした知識があれば、同じように分析することができます。
アメリカのマサチューセッツ工科大学のフランク・サロウェイは、心理学のいろいろな専門雑誌に発表されている、「兄弟の出生順位とその性格」についての196の研究を調べました。
研究によって、少しずつ結果が違っていたのですが、196のうち、72の研究(全体の37%)で正しいとされていたことをいくつか紹介しましょう。
●第一子(長男・長女)は、自己主張的で、リーダーシップ能力が高い
これはわかりやすいですね。長男、長女は年齢が上なので、下の弟や妹を便利に使いながら、リーダーシップ能力を勝手に磨いていくのでしょう。
また、第一子は、性格的に規律正しく、秩序を重んじ、保守的で、計画的で、伝統的なところがあるのですが、そのために細かいことまで気にしやすく、神経質で、不安を感じやすいというマイナス面も持ってしまいます。
●末っ子は、親しみやすく、人気者で、お気楽者
これも何となくイメージができます。末っ子は、愛想よくしていないと上の兄や姉にいじめられてしまうため、いつでもニコニコしています。

両親も、第一子については期待をかけて厳しい指導をしますが、末っ子になるともう疲れてしまうので、放ったらかして、自由にのびのびと育てます。その結果、末っ子は、お気楽者になりやすい傾向があります。
●一人っ子は、マイペースで、集中力があり、独創的
一人っ子は、一人で過ごす時間が多いため自立心や想像力が育ち、物事を丁寧にこなす傾向があります。
家族の注目を独り占めして育つことから、ときに自己中心的に見られることもあります。ただ、兄弟がいないことから、競争経験が少ないため打たれ弱い傾向があります。
ちなみに、中間子(真ん中の子ども)は、第一子と末っ子の中間あたりの性格になります。ほどほどにリーダーシップがあり、ほどほどに人気者になるわけです。
相手が兄なのか、それとも妹なのかということをわかれば、しっかり者なのか、それともお気楽者なのかというくらいは、すぐに性格を見分けることができます。
みなさんも自分の子どもや周りの子どもを観察してみてください。
●ポイント

生まれた順番によって性格の傾向がある

子どもの性格の傾向を知ることによって接し方がわかる
参考文献:Sulloway, F. J. 1995 Birth order and evolutionary psychology: A meta-analytic overview. Psychological Inquiry, 6, 75-80.
■双子はラッキーだと考える
子どもが授かるのは非常に嬉しいこととはいえ、それが双子となると親は大変です。ただでさえ子育てのことがよくわからないのに、オムツを替えるのも、入浴させるのも、ミルクを与えるのも、赤ちゃんが2人いると、すべての作業が2倍になります。お父さんもお母さんも悪戦苦闘させられることになるでしょう。

とはいえ、大変なのは最初の数年間だけです。
子どもが学校に上がる頃になると、他の親がするような、「うちの子は学校でうまくやれるのだろうか?」という心配はあまりしなくてすむという研究もありますので、その点では安心できます。
双子の子育ては、最初の数年間こそ大変ですが、その後は安心できるようになるので、トータルの労力ではあまり変わらないのです。
イギリスにあるエセックス大学のベロニカ・ラマルシェは、学校にお友だちがいることは、いじめ防止になるという先行研究に基づき、「だとすると、双子というのは学校にお友だちがいるのと同じように機能するはずだから、いじめられたりしないのではないか?」と考えました。
ラマルシェはこの仮説を検証するために、123組の6歳児の双子を調べてみたのですが、まさに仮説通りでした。
双子の子どもは、学校でいじめに遭いにくいことが判明したのです。
双子は、学校で習うことも一緒ですので、自宅ではお互いに助け合うこともできます。
宿題でわからないところがあれば、もう一方の兄弟姉妹に尋ねることができます。お互いに助け合うことができるので、学業で落ちこぼれる可能性も減ります。
参考文献:Lamarche, V., Brendgen, M., Boivin, M., & Vitaro, F. 2006 Do friendships and sibling relationships provide protection against peer victimization in a similar way? Social Development, 15, 373-393.
■人間関係の能力も高くなる
双子というのは、自宅の中にお友だちが暮らしているようなものなので、親が遊んであげなくとも、勝手に二人で遊びます。その分、親の手間がかかりません。
また二人でおしゃべりすることで、コミュニケーション・スキルも高くなるでしょうし、ケンカをしたときの仲直りのしかたなども自然に学ぶ機会も増えて、人間関係の能力も高くなるでしょう。

こういうことを考え合わせると、双子を授かるということは、親としてはラッキーなのかもしれません。最初の数年間は本当にキツイでしょうが、その苦しい期間をどうにか乗り切ってしまえば、その後の苦労はあまりしなくてすむのです。
もちろん、双子になると、同時に教育費もかかることになりますが、双子は少なくとも学校でいじめられたり、落ちこぼれたりという心配はせずにすむわけですから、全体で考えれば明らかにメリットのほうが多いのではないかと思われます。
双子の乳飲み子を抱えて、「もうダメ!」と悲鳴を上げている親御さんもいるでしょう。
相当に苦しいという状況は察しますが、大変なのは今だけだと前向きに考えましょう。自分の親や兄弟などにも手助けをお願いし、どうにかして乗り切ってください。
●ポイント

双子はいじめに遭いにくい

小学校に上るまでは大変だが、メリットのほうが大きい

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)

心理学者

慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。

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(心理学者 内藤 誼人)
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