※本稿は、尾形哲『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
■牛乳や豆乳ではなく、カロリーゼロの飲料を
〈ルール1〉飲み物は水・お茶・ブラックコーヒー
脂肪肝や脂肪肝炎を進ませてしまういちばんの原因は「甘い飲み物の日常的摂取」です。
だから、まずはその「最大の原因」を取り払わなくてはなりません。そのため、スマート外来では、甘い飲み物は一切禁止。口にする飲み物は、水(水道水、ミネラルウォーター、無糖の炭酸水)、無糖のお茶(緑茶、紅茶、烏龍茶)、ブラックコーヒーに限定することになります。
なお、「糖質ゼロ」はもちろんのこととして、カロリーもゼロの飲料をセレクトするようにしてください。
たとえば、牛乳や豆乳も、日常的に摂取するのは避けたほうがいいでしょう。牛乳や豆乳には「乳糖」が含まれていますし、それなりのカロリー量があります。
料理に利用したりするのは別に構いませんが、飲み物として日常的に飲んでいると体重の増加につながりかねません。
少なくともスマート・メソッドで減量している期間は、飲み物は「糖質ゼロ」のみならず「カロリーゼロ」を徹底しましょう。
ルール1についてのよくある質問は、「ゼロカロリーの人工甘味料が含まれている飲み物は飲んでもいいのですか?」というものです。
ただ、スマート外来では、こうした人工甘味料を使った甘い飲み物もNGとしています。いまのところ「人工甘味料が人体に弊害をもたらす」という確固たるエビデンスはないのですが、「甘く感じる飲み物」はすべてやめておくほうがいい。
たとえ糖質は入っていなくても「甘く感じる」というだけで食欲が増してしまうことにつながります。少なくとも減量にプラスになるような要素はないので、人工甘味料を使った飲料を含めて「甘い飲み物はすべてストップ」としてしまうほうがいいでしょう。
■3種の飲料に切り替えて1カ月で肝機能を改善
そして、こうした点を突き詰めていくと、日常的に摂取していい飲料は「水」「無糖のお茶」「ブラックコーヒー」に絞られてくるわけです。
これまで甘い飲み物を含めさまざまな味の飲料に親しんできた方は、この3つに絞られると、最初、少し淋しく感じるかもしれません。でも、慣れてしまえば、まったくもってノー・プロブレム。飽きることもありません。
いまはミネラルウォーター、無糖炭酸水、無糖のお茶にもいろんなタイプのものが売られています。
お茶はカフェインのあるなしは問いません。コーヒーもこだわり始めると切りがないほど奥深い世界です。
たぶん、ほんの2、3日で「こっちのほうが普通なんだ」と感じられるようになるでしょう。
スマート外来では、「それまで毎日のように甘い飲み物を飲んできた」という脂肪肝・脂肪肝炎の患者さんが、「水・お茶・ブラックコーヒー」の生活に切り替えただけで1カ月で肝機能を正常化することに成功しています。
つまり、それくらい甘い飲み物が肝臓に大きな影響をもたらしていたということです。
肝臓にしてみれば、甘い飲み物は自分を脂肪まみれにしてしまう“毒”のようなもの。しかし、その“毒”を飲むのを中止すれば、それだけで肝臓は生き返ったように元気を回復し、勝手に正常機能を取り戻すようになっていくものなのです。
■1食で摂るごはんの適量はこれ
〈ルール2〉ごはんの量を半分に
ルール2は、ごはんやパン、麺類など、糖質とのつき合い方についてです。スマート外来では、主食の精製糖質(白米、白パン、麺類)をこれまで食べてきた量の半分にすることからスタートするよう指導しています。
たとえば、これまでいつもごはんをお代わりしていた人は、2杯を1杯にする、これまでごはんを山盛り1杯食べてきた人は、そのごはんの量を半分にする。それだけで、減量や脂肪肝改善に大きな効果が現われるはずです。
ただ、ごはんやパンはゼロにしてはいけません。糖質は摂り過ぎは禁物ですが、体や脳を動かすエネルギーとして必要不可欠な栄養素。
では、1食で摂るごはんはいったいどれくらいが適量なのか。スマート外来では、コンビニのおにぎり1個分に相当する「ごはん約100g(糖質約35.6g)」を目安にすることを推奨しています。
お茶碗1杯分のごはんがだいたい150g(糖質約53.4g)なので、100gのごはんの量はお茶碗3分の2くらいとなります。ですから、「コンビニおにぎり1個分まで」「お茶碗3分の2まで」としっかり頭に入れておいて、ごはんの量を減らしていくといいでしょう。
ちなみにこの1食分の目安は、食パンなら6枚切り約1.5枚、フランスパンなら2、3切れ、おもちなら約1.5個となります。自分がどれくらいの量の主食を摂っているかをつかむことはとても大切なので、慣れるまではキッチンスケールで重さを測ったうえで実践するようにしていくといいでしょう。
また、1日の活動量や運動量が少ない人は、ごはんの量をもうちょっと減らして約70g(糖質約25g)にしてもOKです。これは、だいたいお茶碗半分のごはん量。
こうした場合、お茶碗のサイズを小ぶりなものにするなどの工夫をすれば、視覚的に少ないと感じることもなく、無理せず続けられると思います。
■「ごはん中心」から「おかず中心」へ
それと、これを機会に食事の考え方そのものを「ごはん中心」から「おかず中心」へと切り替えることをおすすめします。
これまで、日本の食習慣では「ごはんを食べること」が最優先にされてきました。
なかには、「まだおかずが残っているから、ごはんをお代わりしよう」といった行動をとる人もいるかもしれません。
でも、こういう「ごはん中心の考え方」が、糖質の過剰摂取を招く原因のひとつになっているのです。昔は農作業や肉体労働で日中に汗を流して活動をする人が多く、そういう場合はごはんを多く食べて、糖質エネルギーをしっかり摂っていてもよかったのです。
でも、現代では、日中の活動量が減り、食生活も豊かになり、放っておいてもエネルギー過剰になる人が増えました。
つまり、昔と同じような「ごはん中心の食事」をしていると、それだけで糖質過剰になるようになってきたのです。
だから、これからは食の考えを「ごはん中心」から「おかず中心」に変え、おかずを「メイン」、ごはんを「サブ」にしていくべき。手作りのお弁当を例に挙げれば、これまでは「ごはん7割、おかず3割」だったのを逆転させて、「おかず7割、ごはん3割」にしていくような感じでしょうか。
■糖質を目の敵にして締め出す必要はない
なお、こういう頭の切り替えを行なって、ごはんやパンで摂る糖質量を抑えていけば、他はそんなに細かく気にしなくてもいいでしょう。
糖質制限をしている人の中には、ジャガイモやニンジン、カボチャの摂取を気にしたり、ポテトサラダやポテトフライ、コーンバターを食べないようにしていたりする人も多いようですが、そういうふうに“糖質を目の敵にして”食生活から締め出す必要はないと思います。
もちろん、ケーキやお菓子、ジャンクフードなどの摂り過ぎもいけないのですが、私はそれらに関してもあまり締めつけすぎないほうがいいと考えています。
また、日々の料理に使用する砂糖の量を減らそうとする人もいますが、それもさほど気を使わなくても構いません。
どうしても料理での砂糖の使用量が気になる人は、砂糖の代わりに羅漢果やステビア、エリスリトールなどの甘味料を使って甘味を出すなどの工夫をするといいかもしれません。
あと、ひとつつけ加えておくと、そもそも糖質は、減らせば減らすほどいいというわけではありません。だから、あまり「減らすこと」に前のめりになりすぎないよう注意すべきです。
むしろ逆に、「適正な量」「少なめの量」の糖質はちゃんと摂るように心がけておくべきでしょう。
■寿司屋ならシャリを食べ、ラーメンは麺をすする
甘い飲み物をやめたうえで、主食のごはんやパンを半分にしていれば、「糖質量を適正化する」という目的は、もうすでに十分達成されているはずであり、私は、それ以上の糖質カットはさほど気にしなくていいと考えています。
それに、私は「糖質制限」という言葉があまり好きではありません。もちろん、スマート・メソッドでも糖質摂取を控えめにする指導を行なってはいるのですが、それは糖質という栄養を「制限」して我慢させているのではなく、あくまで「日々たくさん摂り過ぎている状態」を「正常な状態」に戻しているだけだと考えています。
大事なのは「量の適正化」であって、決して「糖質を摂るな」とすすめているわけではないのです。
ですから、せっかくお寿司屋さんに行ったのにシャリを食べないなんていうことはしなくていいし、ラーメン屋さんに行って麺を残すなんていうこともしなくていい。
普段の食事で適正な糖質量をキープすることができていれば、たまの外食時などにごはんやパン、麺類を摂り過ぎるようなことがあってもまったく構いません。
ぜひみなさんも、そこの部分をはき違えないように注意しながら、うまく主食の糖質とつき合っていくようにしてください。
■野菜の食物繊維をたくさん摂って便秘を防ぐ
〈ルール3〉野菜はいままでの2倍食べる
スマート・メソッドでごはんやパンを半分に減らしたら、必ず野菜の摂取量をこれまでの倍に増やしてください。「ごはんを2分の1にする」のと「野菜を2倍にする」のとは、セットで考えるといいでしょう。
理由はふたつあります。ひとつは、野菜を多く食べると食物繊維が胃腸の中で長く留まって満腹感が継続するようになるから。これにより、ごはんを半分に減らしても苦痛ではなくなるのです。
もうひとつは、野菜の食物繊維をたくさん摂ることで便秘を防ぐことができるから。食物繊維はごはんやパンにも含まれているので、これらを半分に減らすと、食物繊維を摂らないとてきめんに便秘になってしまいます。
便秘は腸内に腐敗毒素を生じさせて、解毒の役目を果たしている肝臓に大きな負担をかけることにもなります。だから、野菜をこれまでの量の2倍食べて食物繊維を増やし、便秘を防いでいく必要があるのです。
それに、脂肪肝や肥満を抱える患者さんには、もともと食物繊維が不足している傾向があります。スマート外来を受診した患者さんの野菜摂取量を調べてみたら、日本人の推奨摂取量の約半分でした。おそらくみなさんの中にも、野菜不足に心当たりがある方が少なくないでしょう。
では、「2倍」といっても具体的にどれくらい食べればいいのか。
これについては「1日に少なくとも350g以上」の野菜を食べることをおすすめしています。図表2の例に示したように、1回の食事で食べる野菜を1皿70gと換算して、1日に5、6皿食べるのが目標となります。
■「野菜の力でやせる、肝臓をよくする」
例にもあるように、野菜は必ずしも生で摂る必要はありません。サラダだけでなく、具だくさんのみそ汁や野菜スープ、野菜炒めなどを毎日摂るようにしていれば、わりと「1日350g」はすんなりとクリアできるもの。
緑黄色野菜と淡色野菜をバランスよく組み合わせていけば、食物繊維以外にもビタミンやミネラルなどの栄養素を効率よく摂取できることでしょう。これを継続していけば、腸内環境が改善して、減量も脂肪肝治療もスムーズに進んでいくはずです。
ぜひ、「野菜の力でやせる」「野菜の力で肝臓をよくする」というつもりで日々モリモリ食べるようにしてください。
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尾形 哲(おがた・さとし)
肝臓外科医
長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。1995年神戸大学医学部医学科卒業、2003年医学部大学院博士課程修了。パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。さらに東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。2017年スタートの「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。著書に『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす7日間実践レシピ』『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』『専門医が教える肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(いずれもKADOKAWA)などがある。
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(肝臓外科医 尾形 哲)

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