※本稿は、粂田将伸『起業の方程式』(技術評論社)の一部を再編集したものです。
■プレゼンの効果を上げる3ステップ
プレゼンテーションに使えるメソッドに、問いを効果的に投げかける「ガイドクエスチョン」と、サイモン・シネックの「ゴールデンサークル」があります。
プレゼンは、30分の時もあれば、1分の時もあるかもしれません。1分間で人に伝えようとする時に、どれだけ一生懸命説明しようとしても、相手の頭の中に入ってこないものです。1分しか時間がない場合、まず、相手に耳を傾けてもらう必要があります。
コクヨの研修で使われているプレゼンのトレーニング法をまとめた『コクヨの1分間プレゼンテーション』(下地寛也 著/KADOKAWA 刊)では、以下のステップで伝える方法が示されています。
1 疑問を投げかける(15秒)
2 結論を述べる(10秒)
3 理由を説明する(35秒)
これをスタートアップのプレゼンに応用してみましょう。
たとえば、経費精算のソリューションを手がけるスタートアップの場合、以下のような流れになります。
1 疑問を投げかける(15秒)
「経費精算に時間や手間がかかりすぎていませんか? 領収書の整理や承認フローに追われ、毎月1時間をとられている。そんな課題はないでしょうか?」
2 結論を述べる(10秒)
「私たちのソリューションを導入すれば、1分で経費精算が完了。経費精算のコストも1/10に削減し、皆様の本業への集中とコスト削減にお役立ちできます」
3 解決方法を説明する(35秒)
「レシートをスマホで撮影してクラウド上にアップロードするだけで、AIが自動で金額や勘定科目を仕分けします。
「さらに、銀行口座との連携により支払い処理まで一括管理できるため、手作業によるミスや二重入力のリスクも減らせます」
「結果として、経費精算に費やしていた時間を大幅に削減し、本業に時間を割けるようになります」
「もしお役に立てそうでしたら、次回お時間をいただけないでしょうか」
ぜひ、冒頭に疑問を投げかけて、相手に話を聞いてもらえる状況を作りましょう。
1分プレゼンは、30分のプレゼンでも使えます。次のスライドに進む時に疑問を投げかけると、相手に「次を聞きたい」という気持ちを喚起させることができます。
特に、相手の興味関心があることや、疑問に思っていることを問いかける「ガイドクエスチョン」(筆者造語)を心がけましょう。
単調なスライドの説明ではなく、疑問を投げかけて、目の前にいる相手やオーディエンスと対話しようとすることを心がけてみましょう。
■人の心をつかむ説明「ゴールデンサークル理論」
人の心をつかむ説明の方法を理論化したゴールデンサークル理論をサイモン・シネックが提唱しています。
WHY(なぜ)→HOW(どうやって)→WHAT(何が)
この順番で伝えることで共感を得られるという理論です。TEDで2000万回以上も再生されているので、参考にしてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=qp0HIF3SfI4&t=121s
ゴールデンサークルは、内側から順に、以下の3つの円で構成されます。
1 Why(なぜ)→信じている理念や目的
2 How(どうやって)→その理念を実現する方法
3 What(何を)→提供している商品やサービス
通常の営業トークと、ゴールデンサークルをふまえた営業トークを比較してみましょう。
1 通常の営業トーク(What→How→Why)
「このパソコンは高速なプロセッサを搭載し、洗練されたデザインです。操作性も高く、多くのクリエイターが使っています。
2 ゴールデンサークルを使った営業トーク(Why→How→What)
「私たちは、『常識に挑戦し、世界を変える人を応援したい』という想いから始まりました。だからこそ、直感的に使えて、美しく、かつ高性能なデバイスをつくっています。これが、XXXXです。1台いかがですか?」
社長はなぜ、だれよりも売上を作れるのでしょうか?
それは、社長が、なぜこの商品がお役に立てるのか、なぜこの商品を作ったのかというWhyから説明するからです。社員は、WhatやHowから説明しがちです。商品や機能を一生懸命説明します。社員もWhyから説明できる仕組みを作れば社長に近づけます。
■投資家の出資を引き出す3つのポイント
重点的に伝えることやストーリーの組み立て方は、相手の関心に合わせて変化させなくてはいけません。プレゼンでは、特にVC向けか、銀行向けかで、アピールすべきポイントが変わってきます。
VC(ベンチャーキャピタル)向けにアピールすべきポイント
スタートアップへの投資を検討するVC(ベンチャーキャピタル)は、企業の急成長と高いリターンを目指すために出資をおこないます。そのため、以下の3つの観点が特に重視されます。
1 成長性(売上/利益の成長性)
「この市場は大きいのか?」
「プロダクトはその市場で爆発的に伸びる可能性があるのか?」
VCは将来的なIPOやM&Aでの株式譲渡益を重視するため、成長ストーリーが魅力的であるほど投資意欲を掻き立てられます。
2 独自性(差別化/バリュープロポジション)
「なぜ、このスタートアップだけがこの市場において勝てるのか?」
以下に注目が集まります。
●競合優位性(代替品と比較した時の優位性)
●模倣困難なテクノロジーやビジネスモデル
●ネットワーク効果
●創業者の専門性
●特許などの知的財産
●データ資産
競合が真似してきたときに、どうやって参入障壁を築けるか、オペレーション上のノウハウやスピード感でも優位が築けるかなどを検証します。
3 経営チーム
スタートアップ投資で最も重要だといわれるのが「人」です。創業メンバーの熱意、実行力、バックグラウンド、人脈、組織としての協調性など、「このチームなら失敗を乗り越え、リスクを取りながら前進し続けられるだろう」という確信をVCは求めます。
事業がピボット(軌道修正)する可能性があっても、優秀なチームであれば最終的に成功しうるとVCは判断します。
■銀行は最大の関心事に着目して伝える
銀行向けにアピールすべきポイント
一方、銀行は、融資したお金が確実に返ってくるかどうかが最大の関心事です。そのため、以下の3つの観点が特に重視されます。
1 返済可能性
「現在の売上や利益がどの程度あり、将来的にも毎月の返済を滞りなくおこなえるか?」を重視します。
資金繰りの安定性やキャッシュフロー/資金繰りを見て、返済可能性があるかを判断します。
2 事業継続性
極端にリスクの高い事業には融資しにくいため、「競合に負けないだけの戦略やマーケット優位性、あるいは事業が黒字化する見通し」が重視されます。「もし一時的に売上が落ち込んでも、倒産せずに存続できるか?」というリスクヘッジの観点を持っています。
3 担保/保証
担保となる物的資産や保証人など、返済の安全策があるかを確認します。
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粂田 将伸(くめだ・まさのぶ)
デロイトトーマツベンチャーサポート M&Aアドバイザリー リーダー
スタートアップ支援家、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。外資系メンバーシップコンサルティングファームにて、スタートアップの資金調達・M&A支援を統括。スタートアップ支援関連MVPを4回受賞。証券会社では投資銀行本部法人部門賞を受賞し、5万人規模の金融グループでビジョンを体現する5人のうちの1人に選出される。強みは「マーケティング」「ストーリー」「ファイナンス」の3領域を横断しながら①売上を伸ばす打ち手②財務諸表に表れない魅力の言語化③成長資金の確保(資金調達/IPO×M&Aデュアルトラック)を1本の戦略に束ねること。起業家とともに問いを立て直し、起業からIPO/M&Aまで、企業のライフサイクルに応じてハンズオンで伴走し、多数の成功事例を生み出す。
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(デロイトトーマツベンチャーサポート M&Aアドバイザリー リーダー 粂田 将伸)

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