※本稿は、長友妙子『信頼を着る 第一印象で選ばれる女性の「装い戦略」』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■「○○診断」の落とし穴
自分を最も輝かせてくれるような、「自分に似合う服」を知りたい。
しかし、その正解が見つからず、「パーソナルカラー診断」や「骨格診断」を頼りにする人が増えています。実際、ファッション誌やSNSでは診断系のコンテンツが大人気です。この10年ほどの流れを振り返ってみても、この流れは衰える気配がありません。
いずれも一定の理論はあるのでしょうが、私はこれらを、統計に基づいて人を「類型化(パターン化)」するメソッドだと捉えています。
専門家から客観的に「あなたは○○タイプ」と定義され、似合うものをロジカルに提示されると、ハッとして頼りたくなるものです。自分という人間に「ラベル」を貼ってもらい、進むべき方向を決定づけてもらう。その迷いのない「心地よさ」に、人は救われるのかもしれません。
もちろん、こうした診断自体は素晴らしいきっかけになり得ます。ただ、その結果を「絶対的なルール」として受け止めてしまうと、かえって自分自身の可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。
仮に「あなたに合う色はこれ」「骨格に合うのはこの形」と、今まで選ばなかったものを提案されたとしましょう。それを機に、新しい扉を開くのはとてもよいことです。
しかし、真面目な方ほど「正解」を守ろうとするあまり、たとえば「似合う色は紫」と言われたら、紫色の服ばかりを選んでしまう……といったことも起こり得ます。
本来、ファッションはもっと自由で、その日の気分やTPOに合わせてさまざまな色や形を楽しめるもののはず。なのに、「私にはこれしかない」と決めつけてしまうのは、あまりにもったいないことではないでしょうか。
■診断結果を「賢く」活用
また、骨格診断などの「型」も便利な指標ですが、私たち人間の身体や魅力は千差万別です。数種類のパターンだけに当てはめようとするには、一人ひとりの個性はあまりに豊か過ぎるとも言えます。
大切なのは、診断結果に縛られるのではなく、それを「ひとつのヒント」として賢く活用する距離感です。なぜなら、診断が教えてくれるのは、あくまで「今のあなたの外見」に調和するものだからです。そこには、「あなたがどう生きたいか」「未来の自分はどうありたいか」という、一番大切な「意志」までは反映されていません。
物理的に「似合っている」ことと、その人の生き方として「魅力的である」ことは、似て非なるものです。ファッションには、理想の未来をたぐり寄せる力があります。
今の立場、内なる想い、そしてこれから目指す未来。そのすべてを含めた「あなた自身」に根ざした装いこそが、本当の意味での「似合う」であり、揺るぎない信頼をまとうということなのです。
■あなたは「損する服」を着ていないか
ファッションは未来を切り拓く力になる一方で、ひとつ間違えると未来の可能性を損ねかねないものでもあります。無頓着に「損する服」を着ていたばっかりに、知らないうちにチャンスを逃している可能性すらあるのです。
では「損する服」とは、どんな服か?
最も基本的なことからお伝えすると、たとえ仕立てがよくても、「着古した服」では、くたびれた印象になってしまいます。必要不可欠な「清潔感」が失われていることもあるでしょう。
服は本来、着る人を引き立てる「輝き」を持っています。しかし、着古された服にはその力が残っておらず、着る人を「生気のない、疲れた人」に見せかねません。その意味で、私は古着やビンテージの服なども、ビジネスシーンではおすすめしません。
また、その場の空気感とちぐはぐな「TPOに合わない服」も、あなたの価値を下げてしまう「損する服」です。ビジネスシーンで華美過ぎる装いは、相手の集中力を削(そ)いでしまいますし、逆に、華やかなパーティでリクルートスーツのような装いでは、その場を楽しんでいる余裕がないように見えてしまいます。
このように、「どう装うか」はシーンによって正解が変わります。しかし、多くの方は失敗を恐れて「無難」な選択にとどまっているのが現状でしょう。
■服装で信頼を得て、未来を切り拓く
これは裏を返せば、シーンごとの「さじ加減」を知ることで、「無難」や「適切」の枠を超えた、洗練された大人の装いができるようになるということでもあります。
目指すべきは、「信頼をまとい、未来を切り拓く服」を選ぶこと。
たかが服、されど服。装いひとつで未来が大きく拓かれることもあれば、逆に閉ざされることもある――。まずはこの事実を、心に留めていただければと思います。
「ドレス・フォー・サクセス」の最大の鍵は、「エグゼクティブ・プレゼンス」――つまり「信頼や品格、影響力を醸し出す存在感」を持つということです。
未来の成功を見据えて装うからには、服は「今現在の等身大の自分」を体現するものでは不十分と言わねばなりません。1年先、3年先、5年先の自分が理想のステージに立っている姿を、先取りするのです。そうすることで、あなたの背中を未来へと力強く押してくれる、頼もしい味方となります。
フランス革命期の皇帝ナポレオン・ボナパルトは「人はその制服のとおりの人間になる」と言ったそうです。
着ている服が意識や行動に影響し、その服が体現する人物像へと近づけていく。こうした作用は、心理学で「エンクローズド・コグニション(着衣認知)」と呼ばれます。
■服にふさわしい自分になる
わかりやすいのが、警察官やキャビンアテンダント(CA)の例でしょう。彼らは制服に袖を通した瞬間、プロとしての「スイッチ」が入ると言います。
警察官なら規律や使命感が、CAなら洗練された立ち居振る舞いやホスピタリティが、服によって引き出されるのです。日常でも、リモートワークで部屋着から仕事着に着替えた途端、仕事モードに切り替わるという経験があるはずです。これらもすべて、服が持つ力が作用していると言えるでしょう。
ただ、日本人には「分(ぶん)相応」という言葉に代表されるような、慎(つつ)ましさを美徳とする文化があります。そのため、素敵な服を見ても「まだ自分には早い」「ふさわしい自分になってから」と、自らにブレーキをかけてしまう方が少なくありません。
その謙虚さは素晴らしいものですが、先ほどの「エンクローズド・コグニション」の視点から言えば、実は順序が逆なのです。
エグゼクティブのような上質な服を着るのは、「エグゼクティブになってから」でなくていい。むしろ、まだエグゼクティブでない段階で、すでにエグゼクティブのように装うことで、「この服にふさわしい自分になろう」という意識が働き、実際、そのように行動するようになる。
この効果を活かすほうが、はるかに成功への近道になるというわけです。
■信頼を得にくい「残念な服」の条件
また、すでに述べたように、人の第一印象は、最初の「見た目」で決まります。
まず見た目で信頼を得ることがチャンスにつながり、未来が拓かれる。
この理論に基づけば、装いが周囲に与える印象の変化もまた、理想の未来へ進むための強力な「推進力」となるはずです。
装いで自分自身の意識を高め、同時に、周囲からの評価も変えていく――。エグゼクティブ・プレゼンスが持つ、この「内」と「外」からの「二重の作用」こそが、あなたを成功へと力強く押し上げてくれるのです。
ここではエグゼクティブ・プレゼンスとは言い難い服の代表例を4つ、挙げておきます。成功を引き寄せるためにも、次のような服は明日から「NG」としてください。
■今後は避けたい服装「4つの特徴」
安っぽい素材
まだ経済的な余裕がないからと、質感の乏しい服ばかりを選んでいては、残念ながら「豊かな未来」を引き寄せることはできません。大人の装いに求められるのは、「量」よりも「質」。間に合わせの服を10着買い揃えるよりも、その予算でワンランク上の「本物」を1着手に入れる。その潔い選択が、あなたを成功へと近づけます。
生活感がある
装いにおいて大切なのは、「プライベート(ウチ)」と「パブリック(ソト)」の境界線を引くことです。これは大人の装いに欠かせないマナーです。エグゼクティブ・プレゼンスをまとうプロとして誰かと会うならば、そこは日常の延長線上であってはいけません。相手への敬意を表すためにも、「ハレ(特別)の場」という意識で装うこと。
ビジネスシーンにおいて、家でのくつろぎや疲れを感じさせる「生活感」は、あなたの輝きを曇らせてしまうかもしれません。
過度な露出
身体のラインを強調し過ぎる装いや、過度な露出も気をつけたいところです。胸元や脚を不用意に見せるファッションは、品位を欠くだけでなく、ビジネスパートナーと「対等な関係」を築く妨げにもなりかねません。相手に緊張感や戸惑いを与えてしまっては、どれほど優秀であっても信頼を得ることは難しくなってしまうでしょう。
アクセサリーが多過ぎる
エグゼクティブ・プレゼンスに不可欠な「上質さ」とは、決して「派手に着飾ること」ではありません。アクセサリーを数多く重ねたり、あるいは本物のジュエリーであっても、その輝きに頼り過ぎては、装い全体から「品格」を奪ってしまいます。
ココ・シャネルは、「家を出る前に鏡を見て、アクセサリーをひとつ外しなさい」という名言を残しています。
「上質なものを、少しだけ」。最後にひとつ引き算をするくらいの潔さこそが、エグゼクティブにふさわしい、洗練された余韻を残すのです。
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長友 妙子(ながとも・たえこ)
ファッションコンサルタント/エグゼクティブスタイリスト
1983年、スタイリストデビュー。「流行通信」でディレクション&スタイリングを担当。竹内まりや本人からCDジャケットのスタイリングをオファーされたことを機に、芸能界からの依頼が殺到。その後、『CLASSY.』(光文社)、『Precious』(小学館)、『家庭画報』(世界文化社)などの有名女性ファッション誌で表紙や巻頭特集を担当。テレビ・CM・広告・イベントでも第一線のスタイリストとして活躍。2021年に共著『繊細な人の仕事がうまくいくファッションのルール』(光文社)出版。2022年より「長友スタイル~ビジネスが成功する着こなし~」講座をスタート。
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(ファッションコンサルタント/エグゼクティブスタイリスト 長友 妙子)

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