※本稿は、牧田善二『医療に殺されない 病院・医者の正しい選び方』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
■学閥をやめて、手術が上手な先生を教授に
本稿では、私がすばらしいと思う2つの病院を紹介します。
ひとつめは「順天堂大学医学部附属順天堂医院」で、ここは特に外科がすばらしいです。
順天堂医院は外科系の教授が医学部長になったとき、「これからは学閥をやめて、手術が上手な先生を教授にする」という方針に切り替えました。
学閥が残っている大学の医学部では自分の出身大学の優秀な人が教授になります。もし、自分の卒業大学の卒業者に教授にふさわしい人材がいない場合は、ほかの大学から選びます。
その場合、自分の出身大学よりも格上の大学を卒業している人を選ぶということが一般的でした。この格というのは、先ほども言ったように、受験のときに参考にされる医学部ランキングで判断されます。
そのため、ランキング上位の大学出身の人は教授になれますが、下位の大学出身だと選ばれることはほとんどありません。
■私大医学部で1、2を争う授業料の安さ
学閥をやめた順天堂医院では、外科でも重要な肺ガンを担当する呼吸器外科の教授には、国立がん研究センター中央病院で手術をたくさん経験した日本一の名医が就きました。
消化器外科(低侵襲外科)の教授は、民間病院ではありますが、最近では国立がん研究センターと変わらないくらい評判がいい、ガン専門のがん研有明病院出身です。
こうしたすばらしい先生が教授となり、難しい状態の患者さんをどんどん救い、メディアで取り上げられるなどして評判を呼んだため、順天堂医院を受診する患者さんはうなぎのぼりになっています。1日の外来患者数は3000~4000人ということですから、それこそ門前市(もんぜんいち)を成す勢いです。
病院の利益が上がったので、順天堂大学では医学部の学費を下げることができました。現在、私立大学の医学部のなかでは1、2を争う授業料の安い大学となっています。その結果、親の収入に関係なく、優秀な学生が順天堂大学を選ぶケースが増え、医学部生のレベルも上がったのです。
また、病院の利益が上がれば、高額な最新の医療機器も導入することが可能です。
学閥をやめるのは、このようなさまざまな面で大きなメリットがあります。
■新約聖書の福音書にちなんだ病院名
もうひとつ、私がすばらしいと思っているのが「聖路加国際病院」です。
この病院はちょっと病院を調べたことがある人なら、みんな知っていると言ってもいいくらい、関東では有名な民間の病院です。長寿で有名な日野原重明先生がいた病院としても、よく知られています。
実は、この病院はアメリカの宣教師(医者でもある)が設立した病院です。英語では「St. Luke's International Hospital」となり、「聖路加」の正式な読みは「せいるか」であることはあまり知られていません。
ちなみに、病院名は、新約聖書の福音書のひとつである『ルカによる福音書』の著者である聖人ルカ(西洋では医者や画家の守護聖人とされる)にちなんだものです。
このような由来からも推察できるように、聖路加国際病院はアメリカのような医療を目指す病院です。具体的に言えば、「患者さんを優しく包み込むような、患者さん本位の医療を行おうとする病院」だと言えます。
日本の一般的な病院、特に大学病院や国公立の病院は、受付もそっけないし、医者も「イヤなら来なくていいですよ」という態度が多いのですが、聖路加国際病院はまったく違います。
それは、聖路加国際病院の理念である、設立者であるルドルフ・トイスラーの言葉「キリスト教の愛の心が 人の悩みを救うために働けば 苦しみは消えて その人は生まれ変わったようになる この偉大な愛の力を だれもがすぐわかるように計画されてできた生きた有機体がこの病院である」によく現れています。
■救命救急医療は日本一
さらに言えば、ここも学閥にとらわれていません。
一般的に大学病院の教授は、そこの医学部を卒業した医者が多数を占めます。聖路加国際病院は付属の医学部がなかったので(看護大学は併設。2014年に聖路加国際大学に改称)、優秀な医者が全国から集められています。
特に乳ガンの治療では日本一と言われていて、治療の前に綿密な検査を行い、ガンがあるかどうか、ガンだったとしたらどこにあるのか、どこまで広がっているのかをチェックしてから治療を行います。先ほど乳がんのケースで紹介した放射線科のドクターは聖路加国際病院の先生です。
また、心筋梗塞など重篤な循環器疾患の治療でも、聖路加国際病院はとても高く評価されています。
心筋梗塞は救命救急体制が非常に大事なのですが、聖路加国際病院の救命救急医療は日本一だと私は思っています。
聖路加病院は24時間、夜間はもちろん日中も、常に救急患者を受け入れています。
昔、地下鉄サリン事件が起こったときも、近隣の病院が原因不明の患者さんが搬送されるのを拒否したなかで、すべての患者さんを受け入れました。多数の患者さんが搬送されたため、当然、ベッドは足りなくなり、病院内に設置されていたチャペルを解放したり、廊下で治療にあたったりしたそうです。
これによって救われた患者さんがたくさんいました。このとき、現場のまとめ役として奮闘された先生は、現在、病院長として活躍されています。
■2つの病院に共通する条件
いかがでしょうか。どちらもすばらしい病院ですね。この2つの病院に共通するのは、学閥にとらわれず、優秀な医者が全国から集まっている点です。
例えばですが、大学病院を受診しようと思ったときには、すべての教授の出身大学を調べてみてはいかがでしょう。もし、そこの大学出身の教授ばかりであれば、その病院は学閥にとらわれた病院ですから、私はおすすめしません。
最後に付け加えてお伝えしたいことは、最近の大きな病院は医療サービスの改善の努力を行っているため、神の手を持つ医者に診てもらえる可能性があるということです。ガンの場合、1カ月や2カ月で一気に病状が進行することは、ほとんどありません。ゴッドハンドの順番を待つという選択もいいのではないでしょうか。
----------
牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。
----------
(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
