病院選びでやってはいけないことは何か。医師の牧田善二さんは「基本的に、一人の医者が持つ得意分野は多くても2つか3つ程度だ。
医者が一人しかいない個人病院でたくさんの専門を掲げている場合は、得意分野がないということになる」という――。
※本稿は、牧田善二『医療に殺されない 病院・医者の正しい選び方』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
■「とりあえず近所の病院に行く」をやめる
ふだんからかかりやすい病気、誰でも経験するような発熱やセキ、頭痛などといった症状は誰にでも経験があると思います。
こういったとき「とりあえず近所の病院に行く」のはやめましょう。
カゼをひいてこじらせてしまったとき、高熱が出たり、セキがひどくなったり、関節が痛くなったり……。しんどくて「もしかしたら肺炎じゃないのか、このままだと死んでしまうのでは……」などと不安になったことはないでしょうか。
こんなとき、どの病院にかかりますか?
ほとんどの方は、おそらく近所にあるクリニックに行くでしょう。
私は、これをおすすめしません。
「インターネットでクリニックなどを調べて、『呼吸器内科』という看板を掲げている病院に行く」ことをおすすめします。
その理由は、セキを伴った発熱の場合は、呼吸器内科を専門にしている医者の専門分野だからです。セキがなく、鼻水やのどの腫れがひどい発熱の場合は、「耳鼻咽喉科」を受診したほうがいいでしょう。
■専門外の医者を受診しても意味がない
私は医者は職人だと思っています。

病院の看板やホームページをチェックしてみてください。内科と書かれていたとしても、そのほかに「循環器内科(血圧や心臓の病気などが専門)」「呼吸器内科(気道や肺など呼吸器が専門)」「消化器内科(胃や大腸など消化器が専門)」など、専門分野がこまかく分かれています。患者さんにわかりやすいように、「糖尿病内科」と掲げる病院もあります。
小さな病院やクリニックで一人の医者が診ている場合は、自分の専門を掲げているので、まずはそれをチェックしましょう。
なかには、複数の専門分野を掲げている病院もあります。それぞれの専門分野の医者が複数いる大きな病院は別ですが、医者が一人しかいない個人病院でたくさんの専門を掲げている場合は、得意分野がないということになりますから、あまりいい病院とは言えません。
基本的に、一人の医者が持つ得意分野は多くても2つか3つ程度です。
医者を選ぶときには、必ず専門分野をチェックしましょう。
参考までに、次にかかるべき専門分野を症状別に紹介しておきました。ただし、これらは目安なので、絶対ここでないといけない、ということではありません。
■紹介された病院にすぐに行かない
熱が出た、下痢をした、血圧・血糖値が高いなど、ふだんからかかりやすい、重篤でない病気や症状であれば、近くにある専門分野の医者に診てもらっていれば、大きな問題はないでしょう。
ただ、それらの症状が悪化して、命に関わったり、歩けないなど生活に大きな支障が出たときには注意が必要です。

それまで通っている医者は、精密検査が必要になったり、手術を受けるために、より大きな病院を紹介しますが、すすめられるがまま、その病院にすぐに行くのはやめたほうがいいと私は思います。
例えば、胃の調子が悪くて近所の消化器内科を受診して、「ガンの疑いがあるので○○病院を紹介します」などと言われたとしましょう。このような場合、紹介先として多いのはその近くにある大学病院などです。
もうひとつのケースは自分が卒業した大学の病院を紹介することです。母校に紹介するのは、紹介される側はもちろん紹介する側にもメリットがあるからです。
大学病院には、経験が未熟な若い医者もいます。彼らは自分の腕を磨くため、難しい検査や手術をする機会を待っています。もしあなたの手術が、未熟な医者でも問題ないと判断されると、勉強中の若い医者が担当する可能性があります。
大学病院を紹介されたときには、どの先生を紹介してくれるのか、医者の名前も確認するようにしましょう。そして、インターネットなどでその先生の経歴を調べて、それなりの経験を積んでいるかどうかをチェックします。
■インターネットを駆使して情報を集める
紹介される医者のキャリア(年齢の目安としては40代以降)や、年間に手術をどの程度行っているかもチェックします。若すぎると技術が未熟な心配がありますし、年間の手術数が少ない医者の場合も経験不足が心配されます。

もちろん、手術数などは載っていないケースもありますが、インターネット検索を駆使して情報を集めることが大切です。
紹介された医者の経歴に不安を感じたときには、別の病院を紹介してもらいましょう。紹介状はどこの病院に対しても書いてもらえます。その先生が紹介しているところしかダメ、ということはありません。
自分の病気や症状の治療について、評判の高い病院や医者を探して、そこを紹介してもらうこともできます。
なかには、「紹介状を書いてもらうようお願いしにくい」「先生の機嫌が悪くなるんじゃないか」などと心配する患者さんもいらっしゃいますが、それで機嫌が悪くなるような医者は、いい医者ではありません。
また、患者さんご自身の命に関わることなのですから、自分の体のことを第一に考えて、医者がどう思うかなど、気にすることはやめましょう。

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牧田 善二(まきた・ぜんじ)

AGE牧田クリニック院長

1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。
世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。

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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)
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