※本稿は、星歩『世界基準の仕事術』(大和出版)の一部を再編集したものです。
■業界や職種を問わず通用する普遍的スキル
初めてのマッキンゼー・パリオフィスでのプロジェクトに配属されたときのことです。前職で学んだこと、働き方とはまったく違うやり方で、仕事は進んでいました。
「VGにこの資料を送って」
「ENSに連絡して、専門家と電話会議を設定してください」
「PSSで挙げる議題はありますか」
最初はまず何のことを言っているのかさえわからなかったのですが、徐々にマッキンゼー流の働き方やスライドの作成方法、コミュニケーションの仕方、チームワークの在り方、問題解決のアプローチ、フィードバックの仕方を叩き込まれました。
そこで学んだことは、業界や職種を問わずどこでも通用する普遍的なスキルです。そして同時に、「マッキンゼー・パリオフィスで働く日本人」という立場だからこそ見えた気づきもありました。
■日々の会議から見える徹底した「構造化」
マッキンゼー・パリオフィスで働いて見えてきたことは、何もかもすべて「Structured」、つまりは徹底的な「構造化」によって効率と成果の最大化を追求していたことです。
通常、プロジェクト開始時に、目的やスコープ、成果物、役割分担、進捗管理の方法などを明確に整理します。数週間から数か月ほどの短期間で成果を出すために、最初から「何を・誰が・いつまでに・どのレベルでやるのか」が、具体的に定義されているのです。
日々の代表的な会議もすべて目的別に設計されています。
Check-in(チェックイン)& Check-out(チェックアウト):日々の進捗共有と情報共有
毎日、チェックイン・チェックアウトと呼ばれる、始業時と終業時の1日2回、チーム間ミーティングを実施し、チェックインではその日の仕事内容、クライアントとの会議予定を確認し、チェックアウトではその日の進捗を共有します。
Problem Solving Session(別名PSS):問題解決に焦点を絞った議論
PSSと呼ばれる問題解決に焦点を絞った会議を定期的に開催し、チームをガイドするパートナーとともに問題解決に向けた議論を行います。ここで成果物の内容等、具体的なコンテンツに絞った議論をし、プロジェクト進行において重要な役割を担います。
■期待値を共有する際に必要な5項目
Team Kickoff(チームキックオフ)& Team Meeting(チームミーティング):チームのオンボーディング、チーム内での期待値管理などを目的にしたミーティング
チームのコラボレーションを非常に重視しており、プロジェクトが始まる際は、チームキックオフが必ずあり、チームによるプロジェクトの進め方を定義し、チームルールや各コンサルタントの役割と責任を明確にします。
プロジェクトが始まると、チームにもよりますが、約2週間ごとにチームミーティングがあり、そこで各コンサルタントが、うまくいっていることとそうではないことを順に共有し、チーム内の問題が発覚した場合、その場で解決策を提示します。
ここで特に重要なのが、各コンサルタントの期待値管理。このプロジェクトから何を得たいと思っているのか、貢献できることは何か、制約事項はあるかなど、すべてを最初にチーム内で共有します。
期待値を共有する際には、「何を、どのレベルで、いつまでに、誰が、どの条件で達成するか」、そこまで落とし込むこと。そうすることで、チーム内での誤解や衝突をなるべく避けることができます。
期待値管理は単発ではなく、プロジェクトの進行に応じて継続的に行うことが重要です。たとえば、チームミーティングの場で定期的に「期待値の再確認」を行い、目標や貢献内容に齟齬がないかをチェックすることで、プロジェクト後半になっての不満や混乱を未然に防ぐことができます。
このように、進捗共有のための時間、問題解決のための時間、チーム運営のための時間が明確に分けられ、「この場で何を話すのか」「何を話さないのか」がはっきり決まっています。
これにより、各会議が脱線することなく、本来の目的に集中できるようになるのです。
■日本の職場で使うと「評価されやすくなる」
こうした働き方に触れて、私が感じたのは、「業務の構造化」は、決して外資系コンサルティング業界だけの特別なものではなく、むしろ、日本の職場こそ、この考え方を取り入れることで、働き方をより良い方向に変えられるのではないかと思っています。
たとえば日本の職場では、
・目的があいまいなまま会議が始まる
・誰が何を決めるのかわからない
・議論と進捗共有が混在し、時間だけが過ぎていく
・「とりあえず集まる」こと自体が目的化してしまう
といった場面を、多くの人が経験しているのではないでしょうか。
もし、会議のたびに「この場の目的は何か」「この会議は決める場なのか、共有する場なのか」を最初に明確にするだけでも、無駄なやりとりは減ります。
プロジェクト開始時に、目的・役割・手順・成果物・期待値を言語化して共有する。そして、プロジェクトの進行に応じて継続的に期待値管理を行うだけでも、「聞いていない」「そんなつもりではなかった」といったすれ違いは、少なくなります。
業務を構造化する1つのメリットは、「評価されやすくなること」でもあります。
やるべきこと、成果物、期限が整理されていれば、自分が何をどこまでやったのかが明確になる。
結果として、努力や成果が正しく可視化され、上司や周囲にも伝わりやすくなります。
これは、日本の職場で多くの人が感じている「頑張っているのに評価されない」という不満を、根本から減らすことにもつながります。
■仕事のスピードだけでなく、思考の質も変化
さらに、業務が構造化されると、仕事のスピードだけでなく、思考の質も変わります。
今、自分は「何のために」「どの作業をしているのか」がわかるようになると、ただ言われたことをこなす受動的な働き方から、自分で考えて動く能動的な働き方へと、少しずつシフトしていきます。
私がマッキンゼー・パリオフィスで学んだ「業務の構造化」は、特別な環境にいる人のための方法ではなく、むしろ日本で働きながらでも、今日から意識1つで取り入れられる、実践的な方法です。
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星 歩(ほし・あゆみ)
OECD職員
神奈川県横浜市生まれ。2014年、慶應義塾大学経済学部に入学。大学在学中、文部科学省が展開する「トビタテ!留学JAPAN」の給付生としてカリフォルニア大学サンタバーバラ校に1年間留学。卒業後、新卒3人枠の1人として、外資系コンサルティング会社キャップジェミニに就職。2021年、フランスに校地を置く経営大学院のINSEADに入学。MBA取得後、日本人として初めて、マッキンゼーのパリオフィスにシニアコンサルタントとして入社。2024年、フランスのパリに本部を置く国際機関、OECD(経済協力開発機構)に転職。現在に至る。本書が初の著。
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(OECD職員 星 歩)

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