大きな病気になったとき、いい病院はどうやって探せばいいか。医師の牧田善二さんは「自分の命やその後のQOLに大きく関わる治療は、近くの病院に限定してはいけない」という――。

※本稿は、牧田善二『医療に殺されない 病院・医者の正しい選び方』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
■自分の症状・病気に合った病院の見つけ方
手術を受けるような大きな病気になったときや、痛みが取れないなど大きくQOL(生活の質)を損なう症状・病気になったとき、信頼できるかかりつけ医がいる場合は、その医者に相談すれば、いい医者を紹介してもらうことができるでしょう。
しかし、まだ信頼できるかかりつけ医が見つかっていない場合は、最初に受診した医者から得た情報を元にして、自分でいい医者を探すことになります。
信頼しきれていない医者の言われるがままに行動してはいけません。
紹介された病院の情報を得ることに加え、別の病院についても自分で情報収集し、ベストと思える病院・医者の紹介状を書いてもらうことが大切です。
難しい手術が必要な場合は、ゴッドハンドと呼ばれているようなすばらしい医者を探すことでしょう。
ガンをきれいに取り除き、術後の回復も早い手術をする腕のいい外科医や、心筋梗塞を予防するカテーテル治療のスペシャリスト、痛みをきれいに取り除いてくれる優秀な医者などを探すということです。
知名度が高いゴッドハンドでなくても、腕のいい、すばらしい医者は、必ず全国にいます。このようないい医者を見つけ出すため、しっかりと時間をかけて情報収集を行いましょう。
■複数のキーワードを組み合わせて検索する
まず、自分の病気や治療法について、最初に受診した医者からの説明をメモを取りながらしっかりと記録します。そして、紹介してくれる病院や医者の情報を詳しく聞き出します。
そのタイミングで、そのまま紹介状を書いてもらうのではなく、一度持ち帰ります。
説明された情報を元に、詳しい情報を集めて自分の意見をまとめるためです。
具体的には、インターネットなどを駆使して、情報収集を行います。
インターネット検索をするときは、例えば「胃ガン 専門医」「○○病院 肺ガン 手術数」など、複数のキーワードを組み合わせて検索することが基本です。
地域については、広範囲を対象にしましょう。自分の命やその後のQOLに大きく関わる治療ですから、近くの病院に限定してはいけません。飛行機に乗って治療を受けてもいいくらいの気持ちで、広い範囲で探しましょう。
・年間の手術数は何件か(術後のデータなどもあればチェックする)

・ダヴィンチ手術を行っているか、その件数は何件か

・呼吸器外科の医者は何人か

・腫瘍内科医はいるか
などを記録していきます。
■手術数・ダヴィンチ・学閥で見極める
年間の手術数は、その病気に精通しているかどうかのひとつの指針になります。
ただし、若手に経験を積ませることを目的に、手術数を多くし、不要な手術を行う病院も存在していますので、口コミなども合わせた総合的な判断が必要です。
ダヴィンチ手術を行っているということは、最新の医療機器が充実している証でもあります。その手術の件数が多ければ、ダヴィンチの操作(手術)に熟練した医者がいる目安になるでしょう。
その科にいる医者の数が多ければ、その病気に対する知見も多く集まります。
腫瘍内科医がいるかどうかもチェックしましょう。在籍しているところは抗ガン剤の最新情報を持っている可能性が高くなります。
放射線治療を担う放射線科医の情報も集めます。腫瘍内科医や放射線科医の情報を集めるのは、外科だけですと手術一択になってしまう可能性があるからです。
一方で、学閥が強く残っている病院では、いい医療ができにくいと考えられます。出身大学が同じ医者中心では高度な医療は難しいからです。
他の大学出身の、力のある中堅や若手の医者を受け入れる環境が大切なのです。
■ランキング本の信頼の厚いアメリカ
学閥が残っているかどうかは、教授陣の出身大学をチェックしましょう。教授の多くが同じ大学出身ならば、学閥が残っていることの目安になるからです。
アメリカではランキング本の信頼度はとても厚く、近年ではインターネットでも一部が開示されているため、多くの患者さんが参考にしています。
残念ながら、日本には、そういった多くの人から信頼されている人気の病院ランキング本がありません。ただし、手術数などのデータをまとめている本や雑誌はあります。

このような本や雑誌のデータを参考にするのもひとつの手でしょう。
口コミ情報も検索してみましょう。
5年前、10年前のような古い口コミのコメントではなく、1年前や数年前といった比較的に新しいコメントを中心に見ることをおすすめします。
以前はよくても最近の評判がよくないことや、反対に以前は評判が悪くても最近は改善されたというケースもあるからです。
■経営優先の病院に騙されない
また、コメントには偏りが生じることがありますので、それにも注意しながら、病院の口コミサイトを参考にしましょう。
こうした情報収集を候補となる病院ごとに行い、いい病院を見つけます。

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牧田 善二(まきた・ぜんじ)

AGE牧田クリニック院長

1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。

著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。

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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)
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