■百田尚樹「高市首相には失望した」
「消費減税は私の悲願」のほかにも、高市首相はウソをついていた――。
2月26日、YouTubeチャンネルのライブ配信において、日本保守党代表の百田尚樹氏は次のように語った。
「高市首相には失望した」
「もともと高市首相は移民抑制には後ろ向きやと、なんとなくそんな感じはしてました。移民を止める気はないなと。それがいよいよ、露骨というか、むきだしになってきた」
(百田尚樹チャンネル「怒りライブ『高市総理の正体!彼女は移民推進派だった』」より)
百田氏が問題視しているのは、2月26日の参議院本会議での高市首相の答弁である。
参政党の神谷宗幣氏が外国人労働者政策について質すと、高市首相は「特定技能2号の上限は設定していない」と答えた。これが保守派から「高市首相は外国人労働者を青天井で増やすつもりだ」と受け取られたのである。
「特定技能2号」とは、人手不足が深刻な11分野において、外国人の「熟練労働者」にビザを与える制度だ。熟練労働者までいかない労働者を想定した「特定技能1号」と異なり、在留期間に上限がなく、配偶者や子供の滞在も可能になっている。
■外国人問題「強硬派」は大間違い
特定技能2号を取得すれば永住権の取得も見えてくるわけで、それを青天井で増やせるということは、移民労働の全面解禁に等しいという解釈も成り立つ。
一方、高市首相の答弁は、従来の政府の立場を繰り返したもので、高市首相が移民労働拡大を意図しているわけではない、という指摘もある。
ただ外国人問題については強硬派として語られてきた高市首相にとって、従来通りの答弁を繰り返すだけでも、トーンダウンした感は否めず、「支持者への裏切り」という目で見られてもしかたがない。
そもそも昨年秋の自民党総裁選では次のように「公約」していたのだから。
「外国人政策についてはゼロベースで考え直す」
この発言を信じて「高市首相なら外国人労働者に歯止めをかけてくれる」と期待していた層もかなりいたと思われるが、そうした人々が一斉に「高市首相に裏切られた」と反発しているわけだ。
ただ、高市首相のブログを通読した筆者からすると、「いまさら何を」という風にも思ってしまう。
■高市氏が一貫して主張してきたこと
高市氏は2000年8月よりブログを開始し、以来20年以上にわたってみずからの考えや政策を綴ってきたが、一貫して「外国人労働には消極的賛成派」だったからだ。
一例をあげよう。
私も、経済産業省在職中に各国の閣僚との議論を行いましたが、ネックになるのは「人の自由化問題」です。
例えば、フィリピンは、看護士や介護士を日本の労働市場に送り込みたい意向ですし、タイは、タイ式マッサージ師や介護士や料理人の就労許可自由化を求めています。
「日本人の雇用機会を奪う」「医療等、人命に係わる職業分野での技術水準や言葉の壁をクリアできるのか」といった反対意見が寄せられる一方で、「少子高齢化が進む日本は、外国人労働者の受け入れを積極的に進めるべき」とのご意見も多く伺います。
世界的にブロック経済化が進む中で、日本企業がその枠外に取り残されるデメリットを避ける為に、いずれ日本は「人の自由化」も受け入れざるを得なくなるのでしょう。その場合に想定される諸課題への取り組みが急がれるべきだと思います。
(2004年10月29日付高市ブログ「外国人労働者受け入れの課題」より)
■「保守派イメージ」は選挙ウケを狙っただけ?
高市首相は外国人労働者の増加にともなう課題として、「日本人の雇用を奪う」「不法滞在の増加」などをあげているが、「外国人労働者の受け入れに反対」とは書いていない。
一方で「外国人参政権」については、2010年4月に「外国人参政権阻止シリーズ」と題して、実に18本もの記事を連続投稿するなど、「外国人参政権断固反対」を明確に主張している。
それに比べると、外国人労働者受け入れについては明確に反対しておらず、受け入れ容認の記述も見られるため、「消極的賛成派」と見て間違いないだろう。
消費税については増税に賛成してみたり、反対してみたり、一貫性のない発言を続けていた高市首相だが(参照:「消費減税は私の悲願」は真っ赤なウソ…公式ブログ記事1000本を検証して判明「増税政治家・高市早苗」の正体)、外国人労働者の受け入れについては「消極的賛成」で一貫している。この点での首相のスタンスはかなり強固なものだと考えられる。
一方、先述の通り昨秋の自民党総裁選では「外国人政策はゼロベース」と語り、あたかも「外国人労働者受け入れ反対派」のように訴えていたわけだが、それは選挙ウケを狙ったパフォーマンスだったと見ることもできよう。
■自民党総裁選での「パフォーマンス」
2025年9月22日に行われた自民党総裁選演説会において、高市首相は「奈良公園のシカを外国人観光客が蹴っている」というネットの噂を持ち出し、自身が外国人受け入れ抑制に取り組むようなイメージを振りまいた。
この時、万葉集から「大伴家持がシカを詠んだ歌」を引用したうえ、朗々と吟じてみせるというパフォーマンスも繰り出していた。
このパフォーマンスには、自身を「伝統を守る保守派」として印象付けようという意図があったのではないか。無学な筆者には高市首相の吟唱について論じる資格はないが、どことなく声が上ずっていてこなれた感じがないところから、直前に付け焼き刃で学んだような雰囲気も感じる。
そもそも高市首相の趣味は「スクーバダイビング」や「ヘビーメタル演奏」だとされていて、カラオケの18番は「B’zやMr.Children」だという(2009年1月27日付高市ブログより)。少なくともネット上では短歌や詩吟、競技カルタをたしなんでいたという情報は見つからなかった。
つまり、明確な証拠はないものの、選挙向けのパフォーマンスとして急遽用意したのでは? と疑うことはできるだろう。
■竹島問題をめぐる「手のひら返し」
高市首相が「保守派を装っていた」ことを疑わせるもう一つの根拠として、韓国への矛盾した姿勢があげられる。
高市首相は長年にわたり竹島問題に取り組み、「竹島は韓国が不法に占拠している」ことを訴えてきた。対北朝鮮でも拉致被害者の問題に取り組み、この点でも「保守強硬派」として知られてきた。
例えば25年9月の自民党総裁選の時点で、次のように発言していた。
本来でしたら竹島の日、堂々と大臣が出ていったらいいじゃないですか。顔色をうかがう必要がない。日本の領土、島根県として私たちみんなが知っていなきゃいけない
(2025年11月8日付産経新聞「高市早苗氏を『右寄り』と呼ばせない 総裁選出に衝撃の中韓と侵され続ける国家主権の回復」より)
一方で、政権の座につくやいなや、竹島問題については如実にトーンダウンしていく。
2026年2月22日に開催された「竹島の日」式典に閣僚を派遣しないことを早々と決定し、保守派からは「裏切り」「手のひら返し」という批判を浴びた。
■実は「ヨン様のファン」だった
そもそも高市首相は、ブログにおいて何度も「韓国好き」をほのめかしてきた。「韓国ドラマ」にハマり、「ヨン様のファン」を公言し、キムチ鍋を食べながら韓国政府を批判する点を、夫の山本拓氏からいじられるシーンも描かれている。
国会議員だった頃の私は、「日本の歴史教科書記述内容や総理の靖国神社参拝について内政干渉をしてくる中国や韓国に対して、政府は厳しい姿勢で臨むべきだ」などと発言しておりましたので、主人は私のことを「韓国嫌い」だと信じ切っていた様です。
ところが、最近、私が韓国ドラマにハマッているのが主人にバレてしまい、呆れられること・・。「政治的主張とドラマの嗜好は別やで」と言い訳するも、冷たい目で見られています。
(中略)
「つまり、ドラマを観ながら韓国の家族主義を勉強し、外交戦略を練っているわけやがな」と主人に言ってみましたが、「最近の君はキムチ鍋にもハマッているようだが、キムチと外交はどう関係が有るんだ?」と鼻で笑われてしまいました
(2005年2月4日付高市ブログ「韓国ドラマと外交戦略?」より)
この夏にご夫婦で韓国旅行を予定していたヨン様好きの女友達(私もヨン様のファンなのですが)から、「怖いから、韓国旅行を取り止めようと思うのだけど、どう思う?」と電話がかかってきました
2008年7月22日付高市ブログ「学習指導要領解説書への『竹島』記載と日韓の温度差」より
こういう矛盾したところはいかにも人間臭く、素顔の高市首相をうかがわせるもので興味深い。ただ、「保守強硬派」として韓国政府に強面で対応するという高市氏のイメージをいささか毀損するものでもある。
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中野 タツヤ(なかの・たつや)
ライター、作家
出版社で書籍・Web編集者として活躍したのち独立。ヒグマ関連記事を多数手掛けた経験をもとに、日本および世界のクマ事件や、社会・行政側の対応について取材している。tatsu_naka1226@ymail.ne.jp
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(ライター、作家 中野 タツヤ)

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