※本稿は、原哲也『子どものことばが育つコツ120』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■「ママがやってるのを、よーく見てね」
ことばの獲得には、大人が発することばが何を意味するのかを、視線や表情、状況などを手がかりにして読みとる能力が大切です。その土台をつくるのが「模倣」です。
「動作模倣(動きをまねすること)」と「ことばの獲得」には強い関連があります。
こんな実験があります。35人の自閉症スペクトラム障害の2歳児を追跡調査したところ、運動模倣(全身運動のまね)の力がある子どもは、4歳になったときの「言語能力」が高かったといいます。
「動作模倣」の経験は、ことばの獲得にとって大事なのです。ですから子どもに、大人の動きをどんどんまねしてもらいましょう。
この点、「お手伝い」は、子どもに「動作模倣」の経験を積ませるよいチャンスです。
お手伝いをしてもらうと時間がかかるし、ゴミを散らかしたり、周りのものを倒したり、かえって面倒かもしれません。「触らないで!」「やらなくていいよ」「じゃましないで」などと言いたくなるのもわかります。
しかし、ここは動作模倣の絶好の機会だと思って、「ママがやってるのを、よーく見てね」と玄関掃きに注目させ、やり方をじっくり観察してもらいましょう。
つたないながらもお手伝いをしてくれたら、「ありがとう」と言うといいですね。
■子どもが「行きたい&やりたい」時がチャンス
「あれ買って~」「もう歩くのイヤ~」……子どもと一緒の買い物、大変ですよね。
さっと買い物をすませたいのはわかります。しかし何であれ、子どもが「行きたい!」「やりたい!」と言うときは、ことばを覚える絶好の機会です。
買い物で「必要なもの」を一緒に確認して書きだすと、「しょうゆ」「ティッシュ」「シャンプー」などの生活必需品に関することばを覚えられます。
スーパーに行けば、長野県産トウモロコシや、山形県産だだちゃ豆が並び、精肉コーナーではカナダ産豚ロース肉が売られ、「熱帯フルーツフェア」のスターフルーツの五角形の断面に、子どもの目は釘づけになるでしょう。
県名、国名、肉の部位、気候、形……。能動性が全開状態の子どもは、そこで出会う、興味のあるものに関することばをぐんぐん吸収します。ぜひ、目にするさまざまなものについて話してあげてください。
ただ、いろいろ話しかけて、子どもがうるさがるなら逆効果です。あくまでも、「子どもが興味のあること」を話すことが大事です。
買い物に限りません。
■感謝される喜びと誇りを感じる
ママが「卵を割る」様子を、子どもがじっと観察しています。「お手伝いしたい!」と言うと、ママは卵をきれいに割るやり方を教えてくれました。
子どもはママの注意をしっかり守って「コンコン」「パカッ」。きれいに卵を割ることができました。「ありがとう!」ママはにっこりしました。
このやりとりの中で、子どもは母親とのつながり、愛情を感じ、「ありがとう」と感謝される喜びと誇りを感じます。「お手伝いをして喜んでもらった」という経験を積むと、子どもの中に「自分はできる人間だ」という自尊心が育ちます。
そして、家族に感謝してもらうこの「喜び」をもっと感じたいと、お手伝いできることを探して、能動的に考え、動くようになります。
子どもは、「ぼくは上手に卵を割れるから、卵を割るお手伝いができる」と思い、台所のママを観察して、卵を使う料理を知ろうとするかもしれません。「今夜はコロッケよ」と聞いたら「ぼくが卵を割るよ」と言うようになるかもしれません。
思考は、常に「ことば」を使ってなされます。ことばを使って能動的に思考することをくり返すことで、ことばの力がつき、思考力も鍛えられていくのです。
■「灰汁」「乱切り」「炒める」「沸騰」
前述のように、「お手伝い」の場面では、子どもは親とのつながりや愛情を感じ、そして能動的になります。安心し、リラックスして、しかも能動的であるこの状況で耳にしたことばを、子どもは自然に身につけます。
同じことをくり返す家事では、何度も同じことばを聞くことになりますし、聞き逃しても、すぐに同じことばを聞く機会があります。
加えて、目の前で動作を見ながらことばを聞きます。その意味でもお手伝いの中で聞くことばは、覚えやすいのです。
また、お手伝いの場面では、実にいろいろなことばが使われます。カレーなら「1個」「2本」「豚こま200g」「水700cc」など、数や単位の言い方が出てきます。「灰汁をとる」「乱切り」「炒める」「沸騰したら」などのことばも聞くかもしれません。
今夜もきっとお母さんがカレーをつくるのをお手伝いしながら、この子はたくさんの表現を聞くでしょう。
だからこそ、「お手伝い」を断るのはもったいない。急いでいるときは困るかもしれませんが、そこはぐっとこらえて。時間や気持ちに余裕のある休日だけでもかまいません。ことばを育てるためにも、ぜひ「お手伝い」をしてもらってください。
■10時になった「ので」寝る
論理的思考力とは、事実から因果関係を整理して、物事を筋道を立てて考える力のことです。
人の気持ちを推し量ったり、先に起きることを予測したりする上でも、「論理的思考力」は必要です。何かを学んだり、何かをしたりする上でも欠かせません。
論理的に思考するとき、必要になるのが「接続詞」や「接続助詞」です。
「寝坊した。だから、遅刻した」の中の「だから」など「因果関係を示す接続詞」のほかにもさまざまな「接続詞」や「接続助詞」を使いこなすことが、論理的思考力に関わっています。
「接続助詞」には、①順接(例:10時になった「ので」寝る、カレーができた「から」お皿を持ってきてね)、②逆接(例:頑張った「のに」負けちゃった)、③並列(例:山「もあれば」、谷「もある」)、④条件(例:「もし」雨が降「れば」、運動会は中止です)、⑤原因・理由(例:雪が降った「から」、お出かけはやめよう)……などがあります。
これら「接続助詞」を子どもが使いこなせるようになるには、前項の場合と同じく、それを使った表現を聞き、その表現の意味することを理解する経験を、数多く重ねることが必要です。
接続助詞を使った表現を、さまざまな場面で意識して使って話をしましょう。
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原 哲也(はら・てつや)
言語聴覚士、社会福祉士
1966年生まれ、千葉県出身。明治学院大学社会学部社会福祉学科卒業後、カナダに渡り、ブリティッシュ・コロンビア州の障害者グループホームに勤務。帰国後、25歳で東京都文京区の障害者施設職員に。27歳で国立身体障害者リハビリテーションセンター学院に進学、東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科などで研修。29歳から小児・障害児リハビリテーション専門職として、長野県の病院や市町村で発達相談や障害児の巡回相談業務に携わる。年間400件、のべ6000件の相談に対応する。2015年、一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPANを創設。2016年、児童発達支援事業所「WAKUWAKUすたじお」を長野県諏訪市に開所。「子どものことばのプロ」として、おもに幼児期から児童期の子どもの療育、家族の相談対応などを行っている。著書に『発達障害のある子と家族が幸せになる方法 コミュニケーションが変わると子どもが育つ』(学苑社)、『発達障害の子の療育が全部わかる本』(講談社)がある。
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(言語聴覚士、社会福祉士 原 哲也)

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