※本稿は、岩田かおり『自分の頭で考えて行動する子が育つ 戦略的パートナーシップ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「優先順位が低いこと」は響かない
「夫に何度言っても、きれいにしてくれなくて」
「何十回言っても忘れているんですよ!」
そんなパートナーへのイライラを聞くことは多いです。なぜ、何度言っても忘れてしまうのかといえば、自分とパートナーとの優先順位が違うからです(物忘れが激しいタイプの可能性ももちろんありますが)。
例えば、私は仕事の対応はなるべく早く済ませたいと思っています。でも、ボタンつけや裾上げなどは、まったくできません。忘れてしまうし、「まあ、いいか」と思って先延ばしにしてしまうのです。
最近では、「自分の中で優先順位がかなり低いのだな」と自覚して、ボタンつけや裾上げはクリーニング店などにお願いすることにしました。ちなみに、300円~600円くらいでできます。「3000円かかる」と言われたら、「自分でやるか……」となりますが数百円であれば支払ってしまったほうがいいと思うようになりました。
ちなみに、夫は記憶力が高く、私のぽろっと言った言葉も覚えていて、「こう言っていたよね?」と数カ月経ってからも持ち出すタイプです。
■「鍵のかけ忘れ」以外は諦めてもいい
しかし、そんな夫も自分にとって優先順位が低いことはうっかり忘れます。
先日、夫がツルムラサキをお湯でグツグツと茹(ゆ)でていたことがありました。私はビタミンが水に溶け出してしまうことが心配で、緑黄色野菜はできるだけ炒めて使ってほしいと伝えています。そして、驚くことに、それを20年間言い続けてきています。
私は食べられる量がそこまで多くないので、栄養素が高い状態で摂取できるようにしたいと思っているんです。これは私にとっては切実な問題ですが、夫にとっての優先度は高くない。
だから、私が「茹でているの?」と聞くと、ハッとした様子にはなるのですが、また忘れてしまうのです。
自分の思う通りにしてほしいと願っていても、自分とパートナーが持つ優先順位が違うので、相手に私と同じ意識を持ってもらうことは難しいものです。逆にいうと、私も夫がこだわりを持つことに対して同じ重要度を抱くことは難しい。
だから、「家の鍵のかけ忘れがないようにチェックする」といった本当に大切なこと以外は、優先順位は違うものだから忘れちゃうよね、と思って諦めます。あとは、漫才の“てんどん”(同じボケを何度も繰り返して笑いをとること)をやっているイメージで、毎度、その繰り返しをおもしろがっています。
■家事育児を「回数」で測ると不満につながる
共働き家庭が増えて、「どちらも仕事をしているのだから夫婦は平等に家事も育児もすべき」といった考え方が広がりました。それはとても大切なことですし、負担感が減るならば、そうしたほうがいいと私も思います。
しかし、平等性を追求するあまり、むしろ苦しくなっているケースもよくみかけます。例えば、「私の方が習いごとに送りに行っている回数が多い」「洗い物は交互にするはずなのに全然やらない」といった不満が出ていくのです。
追求しすぎると、「何回」や「何時間」といったことが気になり、相手を取り締まりたくなってしまい、「精神的な余白」とは、真逆の心理状態になっていきます。私の講座生の中には、「以前の私は、みみっちくカウントしていました」と言う人もいました。「みみっちい」と感じることを続けていると、どんどん自分のことが嫌いなっていきます。
数値ベースではない平等の捉え方は、「その分野は私のほうが得意だからやる」です。
岩田家では、寒かったり暑かったりして身体にこたえる外遊びは、「私は嫌だ」と伝えて、夫にすべて託していました。一方の夫は、外で遊ぶことは全然苦ではないとのこと。
■相手が「どんな家事・育児をしているか」書き出す
しかし、そうしておくと、夫も上機嫌だし、私も上機嫌でいられます。
子どもの送迎なども、通勤しているのか在宅ワーカーかで、まったく時間の取れ方が異なります。だから、得意だから、自分のほうが担いやすいからといった特性や環境で決めていけばよいと思うのです。
「自分ばっかり家事をしている!」と思っていると、パートナーが何をしているかが見えなくなっていることも多いものです。そんな時には、次の「パートナーがどんな家事・育児をしているか」思いつくだけ書き出してみてください(図表1)。
すると、「『何もしてくれない!』と思っていた時はまったく気づかなかったんですが、実は夫が毎日洗濯機を回していたんです。書き出してみて、ハッとしました」といったことを口にする人もいます。
このワークには、「客観的に分担状況を把握すること」と同時に、自分の思い込みに気づく意味もあります。「これもやっていた」「あれも黙ってこなしていたんだ」といった実情が見えてくると、パートナーへの感謝の気持ちが湧いてきます。
その状態になれば、「数字的な平等を手放してみてもいいかな」とも思えるはずです。
■夫へのイライラは「自分の欲求」への裏返し
平等の捉え方を変えない限り、「私のほうが一生懸命子どもの学校選びをしている」とか、「旅行の段取りを決めるのはいつも私ばかり」とあらゆることに不平等感が募っていきます。
本当は教育情報をリサーチすることも、旅行を企画することも好きだったはずなのに、不平等感があるがゆえに、前向きに取り組む気持ちを失ってしまっている方もいます。そうなってしまっては、もったいないですよね。
お互いの得意・不得意を理解する。そして数値で測る平等性を手放し、得意を活かした采配をしていけるようになりましょう。
夫に対してイライラしていることは、実は自分が求めていることだというのは“あるある”です。
例えば、
・夫が休日に昼まで寝ていることにイライラ→「私だってもっと休みたいのに」
・夫が遅くまで飲み歩いていることにイライラ→「私だって友達と飲みにいきたいのに」
・夫が仕事が忙しいという理由で家事をしないことにイライラ→「私だって仕事に集中したいのに」
という心理的なメカニズムになっているのです。
自分の欲求が満たされていないので、それができている夫に対して頭に来るのです。
■「お返ししたくなる」心理作用を使う
「好意の返報性」という言葉をご存知でしょうか? 人からサポートや行為などを受け取ると、それに対してお返しをしたくなる心理作用のことです。
夫婦間でも「好意の返報性」が働きます。
「好意の返報性」を意識しているわけではないですが、私は休日に夫がウトウトしていると、ブランケットをかけてあげたりクッションを渡したりしています。居心地よく寝られるように、サポートしているのです。
十分に充電されると、「この後、出かけようか?」と自ら言ってくるようにもなります。
夫が休日の日には、「働かせてなんぼ」「動かしてなんぼ」と思っている方もいます。しかし、逆に、「ゆっくり休みなよ」と言うと、大切にされていると感じ、夫も妻を大切にしたくなります。そして、充電されれば自ら動くようにもなっていきます。
こんな話をすると、「夫を働かせるために優しくしているのか」とセコイ人のように見られないか心配ですが、エネルギーが充電されれば、仕事も家事も生産性が高まるのは事実。家族が過ごしやすくなるための方法だとも思うのです。
押し付け合うのではなく夫婦でエネルギーの総量を高めて、安心できる家庭をつくるという上位の目標に向かっていけるといいな、と思っているのです。
■「ありがとう」を積極的に伝える
私は夫に、よく「ありがとう」「さすがだわ」などと言っています。妻の私が言っていたら、子どもたちも自然に、「パパ、ありがとう~」と言うようになりました。
例えば、外食してレストランを出るときも、旅行の帰り道でも、「ありがとう」と言う。長距離ドライブでは夫が「自分が運転したい」と言うのでメイン担当になってもらっていますが、それに対しても「ありがとう」と言います。
「なぜ、夫にばかり『ありがとう』と言わなくてはいけないんですか」「2人で稼いでいるので、私だって払っているのに、夫にばかり感謝を伝えるのはおかしくないですか」とおっしゃる方もいるでしょう。
私が「ありがとう」を伝えるのは、夫が自分のお金を払っているかどうかではなく、楽しい時間が過ごせたことへの感謝です。夫にとっては、感謝を伝えることで、明日からまた仕事を頑張るエネルギー源になっているのではないかと思います。
雑な言い方をすると、「ありがとう」が言える機会があれば、どんどん言うということです。それでうまくいけば何でもいいじゃないですか。感謝してお金が減るわけでもないので、ケチケチしなくてもいいんじゃないかな、と思います。
夫婦のコミュニケーションの何がゴールかといえば、「どちらが多く支払ったか」や「どちらが家事をたくさんしているか」を明らかにすることではありませんよね? 夫婦のコミュニケーションのゴールは、心が通い、ご満悦になって、明日への気力が湧いてくること。その上位目標さえ見据えられれば、パートナーに「家族に役に立っていること」を実感してもらう場を作ることへの抵抗感もなくなっていくのではないでしょうか。
■夫婦円満につながる「会話の中身」
誰もが男性性と女性性を持っています。男性だから男性性だけがあるわけではなく、それぞれの特性を多め・少なめというグラデーションで持っています。
男性性の特徴は競争的だったり、戦って達成感を得ようとしたりすることです。一方で、女性性には調和や包み込むこと、柔軟さなどの特性があります。
私は女性ですが、内面的には男性性と女性性両方持っているなと感じています。男性性が強いか女性性が強いかで、それぞれの特性はあると考えています。夫婦において大事なことは、このバランスが取れていることです。
以上のように、性差とはグラデーションがある話ですが、私が出会ってきたかなりの割合の夫婦に当てはまる「今日からできる簡単なアドバイス」をそれぞれまとめました。
【女性へのアドバイス】
(1)感謝を言葉で伝える。
(2)具体的に「こうしてほしい」と簡潔にまとめてから伝える。
(3)「あなたのおかげで幸せ」と言う。
多くの場合、男性には言葉で伝えることが重要です。感謝や「こうしてほしい」という指示は口に出して伝えましょう。男性にとって「察して」は非常に難しいのです。また、「女性を幸せにできている」「家族に自分が必要だ」と思えていることが、男性の仕事や家事に対する頑張りにつながります。だからこそ、「あなたのおかげで幸せ」は男性にとってお守りになる言葉なのです。
【男性へのアドバイス】
(1)「どうすれば幸せ?」と素直に聞く。
(2)話を最後まで聞く。迂闊にアドバイスしない。
(3)相手が助かる行動で示す(家事・プレゼント・スキンシップなど)。
女性がイライラしていたり苦しそうにしていたりしたら、まずは「どうすれば幸せ?」と率直に聞いてみましょう。その際に、自分の意見を挟むことや、アドバイスはNGです。まずは寄り添って、傾聴してください。女性の思いを受け止めたら、小さくてもいいので行動に移しましょう。希望をすべて叶えることができなかったとしても、目に見える形で変化させることで女性の信頼感は増します。
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岩田 かおり(いわた・かおり)
家庭教育コンサルタント
ママプロジェクトJapan代表取締役。幼児教室勤務、そろばん教室の運営を経て、「子どもを勉強好きに育てたい!」という想いから、独自の教育法を開発。「子どもを学び体質に育てる」と「親を幸せ体質にする」ことを目指し、親がガミガミ言わずに勉強好きで知的な子どもを育てる作戦『戦略的ほったらかし教育』を全国へ展開中。また、3児の母親で、『戦略的ほったらかし教育』を実践した子どもたちは、中学生で起業、経団連の奨学生としてインドへ高校留学、学費全額奨学金で海外大学進学、塾なしで慶應義塾大学合格など、3人とも自分で自分の道を切り開いてきた。著書『自分から学べる子になる戦略ほったらかし教育』(ディスカヴァー)は、現在6万部突破のベストセラーに。
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(家庭教育コンサルタント 岩田 かおり)

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