面接に受かるために必要な要素は何か。転職ライター・安斎響市さんは「面接とは聞かれた質問に答える場でも印象の良さを見る場でもない。
そこでは、採用を決める決定的な要素が問われている」という――。(第2回)
※本稿は、安斎響市『すごい転職の極意』(ソーテック社)の一部を再編集したものです。
■面接においてほとんどの人が勘違いしていること
転職活動における準備とは、どのような視点で進めるべきなのか?
この点を、多くの人が間違えています。ただ準備をたくさんすればいいというものではなく、面接の準備には「正しいやり方」があります。そして、「正しいやり方」での準備ができていないために、面接の回答の方向性を間違えて不合格にされてしまいます。
ものすごく有能でスキルがある人でも、面接で正しい振る舞いができていなければ、あっさりと「不合格」になります。一方で、多少能力的に劣っていて経験値も足りない人でも、面接での自己PRが抜群にうまければ「合格」となります。
もちろん、「喋りがうまくてコミュ力があれば内定が出る」というような、単純な話ではけっしてありません。
重要なのは、一つひとつの質問に対する答えの中に、企業にとって「自分を採用すべき理由」をひたすら散りばめておくことです。
ほとんどの人が勘違いしているのですが、面接とは、聞かれた質問に答える場ではありません。面接官の質問に対して、すべてスムーズに答えることができたとしても、内定が出るかどうかとはあまり関係がないのです。
■コミュ力はそこまで重要ではない
面接官が真に求めているのは、「質問にスラスラと答えられるコミュニケーション能力」ではなく、「その人の採用可否を判断するための具体的な情報」です。

笑顔で元気よく、口ごもったり噛んだりせずに、流暢に質問に答えることができたとしても、「その人を採用すべきだと言える根拠」が足りなければ、面接の結果は不合格です。
多くの人は、「質問に上手に答えなきゃ」と頑張ります。そして、面接後に「よし、ちゃんと答えられたぞ」と満足します。
一方で、面接官側は、
「うーーーん、全体的な印象は悪くないんだけど、決定打に欠けるなぁ」

「別にこの人じゃなくてもいいんだよなぁ。もう一人面接して比較しようかな」
と冷静に評価を下しています。
どちらかと言えば、「好印象ではあるが採用を決める決定的な要素がない人」よりも、「多少の減点があったとしても採用を決定づける強力な要素がある人」の方が、面接の最終的な評価は高くなります。
なぜかというと、面接官は面接終了後、社内会議で人事部や上司に対して「なぜその人を採用したいのか(面接を通過させるのか)」という報告をしないといけないからです。
■面接官に「社内の説得材料」を渡せるか
採用を決定づけるだけの具体的な根拠がなければ、社内関係者の反対に遭いますし、いざとなったときに「なんであんなヤツを通したんだ?」と責任問題にもなりかねません。
面接の場での表面的な印象が良かったか、悪かったかというのは、報告を受ける側の人事部長や上層部には正確には伝わりません。面接官自身も、細かい言動や態度などは徐々に忘れていきます。日々たくさんの人の面接をしていると、自然とそうなります。
一方で、採用は面接官一人で決めるものではないため、必ず「社内決裁」のプロセスが必要となり、「なぜこの人を採用するのか」という説明責任は確実に求められます。

面接官個人の好き嫌いなども影響しないわけではないのですが、それ以上に、社内関係者を説得できるだけの「採用決定」根拠が面接官の手元になければ、その後の「社内決裁」が通らず、結果として「不採用」判定となります。
この一連の流れは、面接を受ける側の求職者からはまったく見えていないので、採用活動の経験がないと、なかなかピンと来ないかもしれません。
■「落とす理由」がなくても落ちる
肝心なのが、「不合格にする場合は、面接官は社内でそこまで大きな責任を問われない」ということです。たいていの会社では、採用を決定するときには相応の説明を求めますが、不採用判定であれば詳細な報告までは求めません。
たとえば、大きな買い物をするとき、「買いたい」場合は何かしら、決定的な理由が必要ですが、「買わない」のであれば、誰もしつこく理由を問い詰めたりはしませんよね。
つまり、「落とす理由」が特に見つからなかったとしても、「採用を決めるべき理由」を固めることができなければ、その時点で面接は不合格になる可能性が高いということです。
ほとんどの人は、面接で失敗しないように、失敗しないようにと「落ちないための努力」をします。しかし、それだけでは不十分で、本来もっと意識しないといけないのは、「採用を決めるべき理由」を面接官にできるだけたくさん提供することです。
この発想の転換ができないと、面接の攻略は不可能です。
■退職理由を聞かれても「本音」を語らない
具体的に、どのように準備を進めていくべきか、例を挙げてみましょう。中途採用の面接で聞かれる質問は、ほとんどはパターン化されています。
①退職理由・志望理由

②過去の仕事の実績

③応募ポジションの仕事内容に対する経験値
この3つのタイプの質問は、どこの会社でもほぼ100%聞かれます。
また、面接時間の6~7割はこれらの質問に当てられます。
つまり、面接の大部分は予測可能で、事前に対策ができます。だからこそ、「準備」が肝なのです。面接で聞かれる質問内容はだいたいわかっているのだから、「こう来たら、こう返す」「この質問にはこう答える」という対策を抜かりなくやっておくべきです。
ちょっとだけ、対策方法を説明しておきましょう。たとえば、「①退職理由・志望理由」の答え方です。だいたい、面接の一番はじめに聞かれることが多いです。
具体的には、
「現職の会社を退職しようと考えた理由は何ですか?」

「なぜ、当社のこのポジションに興味を持ったのですか?」
といった質問です。
このとき、「上司のパワハラがひどくて……」「もう転勤を繰り返すのは嫌なので……」など、本音をすべて言うのはNGです。
■面接官も早く内定を出したい
面接官は、別に本音や本心を包み隠さず聞きたいわけではなくて、「あなたの採用を決めるべき理由」を判断材料として集めたいだけだからです。
面接官だって、中途採用の仕事は非常に大変なので、できるだけ早く終わらせたいものです。なるべく早く内定を出して、人材を確保したいという心理があります。

だからこそ、
「この人なら採用してもいいだろうか?」

「採用すべきポイントはあるだろうか?」
と必死で判断材料を探しています。
たとえば、「今回の退職を考えたのは、現在の職場で担当できる業務よりも、より大きなプロジェクトに挑戦したいと考えたからです。御社の仕事であれば、売上規模や巻き込む人員規模の大きなプロジェクトにも、将来的に挑戦していけると考えております」など、企業が求める人材像に合わせて回答ができるといいでしょう。
このような答え方であれば、
「なるほど、なるべく大きなプロジェクトを担当したいのか。まだ若いのに、意欲があっていいじゃないか」

「来期は、最初は小規模なプロジェクトから担当させてみて、筋が良さそうだったら大規模案件にも『副担当』として付けてみるか……」
と、入社後の仕事ぶりのイメージが付きやすいです。
これなら、「あなたを採用すべき理由」の材料集めとして、一応成立しています。
■面接は自分を売る「営業」
退職理由・志望理由を質問したときに、現在の上司のパワハラや、全国転勤のストレスなど、本音で個人的な話を持ち出されるのとは印象が全然違いますよね。
面接は、自分という「商材」を相手に売り込むための「営業」の場なので、何でもかんでも正直に話すのではなく、
「この人を採用したら、こういう担当を任せられそうだな」

「この経験があるなら、何とか業務を回せそうだな」
と評価されるような答えを返すのが鉄則です。
同様に、「②過去の仕事の実績」「③応募ポジションの仕事内容に対する経験値」について回答を準備する際にも、正直に何でもかんでも本音で答えるのではなく、
「この言い方で、果たして採用すべき根拠は強まるだろうか?」

「この場面で何と答えれば、面接官は『採用したい』と思うだろうか?」
という風に、想像しながら考えてください。
事前に、そのポジションに求められる能力や、仕事の具体的な内容などをしっかり調べ、どんな聞き方をされても、「求める人材像」に合うように答える練習をしておけば大丈夫です。
「こう聞かれたら、こう答える」という想定問答集を作っておき、できるだけ説得力を持って自信ありげに話せるように練習しておいてください。

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安斎 響市(あんざい・きょういち)

転職ライター

1987年生まれ。
日系大手メーカー、外資系大手ITなどを経て独立。「転職とキャリア」をテーマにnote、Xなどで情報発信する。著書に、『note副業の教科書』『40代からの転職と副業』『すごい面接の技術』『すごい転職の極意』『1%の気くばり』『転職の最終兵器』など。転職活動対策について書いたnote記事は、note公式の「読者人気の高い有料記事50選」「ベストセラー記事」等にも選出されている。

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(転職ライター 安斎 響市)
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