成果を出せるチーム、出せないチームは何が違うのか。部下の能力ややる気はあるのに、うまくいくケースといかないケースがあるのはなぜか。
Googleの社員としてマネジメントに携り、それぞれのチームを率いた経験のある元マネジャー3人が解説する――。
※本稿は、中谷公三・諸橋峰雄・水野ジュンイチロ『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
■「チームと一緒に汗をかく」とは?
■「マネジャー」はメンバーをどう支援する?
「やる気はある。でも、どこに向かえばいいのかわからない」――漫画に登場した新卒2年目の佐々木さんは、まさにこの状態でした。彼女はお客さまのためにという善意で動いていたものの、結果としてチームで決めた目標からはそれてしまっていました。
しかし、彼女は決してやる気が足りなかったわけではありません。それは、チームの「北極星」を共有しただけで、「どう走ればいいか」(HOW)まで伝えきれていなかったマネジャー側の問題でもあったのです。
佐々木さんが本来取り組むべき仕事に自ら気づいたのは、上司であるハジメが彼女のがんばりを否定することなく、チームで共有したゴールに立ち返らせながら、優先順位の再考を促したからでした。
これは、単に「指示しっぱなし」「任せっきり」にするのではなく、「一緒に汗をかいて伴走した」からこそ生まれた成果です。
このエピソードのハジメのように、マネジャーとしてタイムリーにうまく軌道修正が図れるかどうかは、チームを成功に導く大事な鍵になります。
メンバーに「これやっておいてくださいね」と軽くタスクをお願いしたつもりが、次に確認したときには何も進んでいない。理由を聞くと、「何から手をつけていいかわからず悩んでました」「ほかの仕事で手一杯で進められませんでした」といった答えが返ってくるようなことはありませんか?
こんなとき、マネジャーとしては「早く言ってよ!」と思わずグチを言いたくなるもの。

しかし、実はこれは、私たちマネジャーが「汗をかいていない」ことによる典型的な結果なのです。
成果を出すには、メンバーが形としての「WHAT」を理解するだけでは実現しません。
経験もスキルも個性も違うメンバーが集まったチームを率いていくのですから、ざっくり決めて「あとはよろしく」というやり方では、ほとんどの場合、期待した成果に結びつくことはありません。メンバーと「HOW」を一緒に考えて、自律性を重んじながらも、その動きに伴走することで初めて「圧倒的な成果」を実現できるのです。
■チームが走るための「HOW」を決める
チームとしての目的(WHY)と到達点(WHAT)を明確にすることが重要です。ここでは、まさにチームが到達点に向けて実際にどう走るのか、結果を出すために必要なもう1つの要素である「HOW」の決め方について深掘りしていきます。
エンパワメント型マネジャーは、「HOW」の部分で、一人ひとりの状況に応じた支援のあり方を考え、現場に飛び込みながらメンバーとともに道を切り拓いていきます。そこには、旧来の「管理するマネジメント」ではなく、「伴走するマネジメント」(伴走力)が求められます。
この段階では、アクションの詳細を決め、メンバーの役割分担もクリアにしていきます。また、進捗の確認やフィードバックによって、柔軟に対応できる仕組みを整えることで、メンバーの自律的なアクションが活かされる環境をつくることにも注力します。
あくまでもマネジャーは伴走しながら、支援に徹することが重要です。
ここでは、「HOW」を考えるうえで、具体的にマネジャーが押さえておくべき3つの支援の軸を紹介します。
それは、
1 仕組み・指針づくり

2 役割の明確化

3 フィードバックと改善
です。これらは、単に進捗管理を助ける道具ではなく、チームに自律性を与え、成長を促すための土台となります。

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中谷 公三(なかたに・こうぞう)

経営・組織変革のプロフェッショナル

世界銀行グループ(IFC)、Accenture、GE、Googleなど国内外の企業で、マネジメントと戦略実行の両面に携わる。リーダーシップ開発とコーチングを専門とするBright Future Partnersを設立し、企業の事業改革や組織開発を支援、次世代リーダーの育成に力を注いでいる。上智大学法学部国際関係法学科を卒業後、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)にて国際関係学修士号を取得。国立台湾師範大学国語教学センターに在籍し、中国語とアジア文化を学んだ。個人として中東地域でのシリア難民支援活動にも関わり、現地での経験を通じて「人が力を発揮できる環境とは何か」を探求し続けている。

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諸橋 峰雄(もろはし・ねお)

マーサージャパン株式会社 シニアプリンシパル 組織変革エクセレンスユニット統括

組織変革、AI・デジタル領域を専門とするプロフェッショナル。人的資本価値を最大化する経営・組織マネジメントのあり方を日々探求しクライアントと向き合っている。コンピュータサイエンス領域での研究者からキャリアをスタート。戦略・企業再生コンサルティング会社を複数経験した後に組織人事領域に転身。組織変革コンサルティング会社の共同創業者兼パートナー、HR TechスタートアップCOOを歴任後、グーグル日本法人の新規営業チームマネジメントに従事。
ビジネス・ブレークスルー大学経営学部客員教授。NPO法人BLUE FOR JAPAN理事。趣味はトライアスロンと華道(草月)。慶應義塾大学博士(工学)。

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水野 ジュンイチロ(みずの・じゅんいちろ)

漫画家

ビジネスの最前線に身を置き、実戦知見を漫画に落とし込む活動を展開。NewsPicksおよびPIVOTにて連載した起業漫画『スタートアップル!』は、両媒体で人気ランキング1位を獲得した。一方で、Googleに新卒入社後、当時最年少で営業部のマネージャーに着任。漫画のストーリー制作手法を営業スキルと融合させた独自のトレーニングプログラムを開発した。同プログラムは延べ300人以上が受講する実績を上げ、組織全体の営業力強化を推進。現在はHubSpot Japanにて営業部長を務める。

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(経営・組織変革のプロフェッショナル 中谷 公三、マーサージャパン株式会社 シニアプリンシパル 組織変革エクセレンスユニット統括 諸橋 峰雄、漫画家 水野 ジュンイチロ)
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