プレジデントオンラインは、全上場企業の「平均年収ランキング(2025年度版)」を作成した。調査対象会社3709社のうち、「サービス業」に分類される企業は128社だった。
1位はヒューリックの2035.7万円だった。平均年収ランキング「不動産業」編をお届けする――。(第6回)
■平均年収1000万円超は16社も
プレジデントオンラインは、不動産業界に属する128社の「社員平均年収ランキング(2025年版)」を作成した。基にしたデータは直近の年次決算期における有価証券報告書(2024年10月期~2025年9月期)。データ抽出では、経済・金融データサービスの株式会社アイ・エヌ情報センターの協力を得た。
調査対象となった企業のうち、トップ10社の従業員平均年収額は1504.4万円だった。また、表にしたランキング128位までの従業員平均年収額は746.0万円。
■1位は中規模オフィスに強いヒューリック
不動産業界の平均年収1位は、東京都中央区に本社を置くヒューリックだった。平均年収は2035.7万円で、前年から127.8万円も増加。ランキングの中で唯一、2000万円台を記録した。年功序列の要素が残りつつも高いインセンティブが特徴だ。
同社は1957年に創業し、2008年に東証一部へ上場。
「他社と同じことはやらない経営」を掲げ、御三家(三菱地所、三井不動産、住友不動産)と比べて規模は劣るが、3社が力を入れない中規模ビルの開発で「銀座の大家」という地位を得た。都内の駅近物件や、中規模オフィスにも強みを持つ。特に東京23区では、保有している物件の7割超が最寄り駅から徒歩5分以内だという。
直近の決算(2025年12月期)によると、事業におけるオフィス比率は45%とほぼ半数を占め、利益の大半を占める。
オフィス仲介などを手掛ける三鬼商事による調査では、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のオフィス空室率は、需給が均衡している目安とされる「5%」をこの2月まで19カ月連続で下回っている。特にヒューリックが得意とする中規模型のオフィスは近年需要が底堅いとされ、今後も安定した業績とともに、年収の増加が見込めそうだ。
■三菱に400万円以上差をつけた三井
2位は地主で、平均年収は前年から197.4万円増加して1915.7万円だった。建物を建てずに土地のみに投資、定期借地権を用いた「JINUSHIビジネス」を手掛ける。
3位には三井不動産が1756.2万円でランクイン。平均年収の増加幅は、調査対象となった128社のうち最大となる467.0万円だった。旧財閥系でしのぎを削るライバルともいえる三菱地所(6位、1347.8万円)とは400万円以上の差を付けた。
しかし、今回の大幅な平均年収増加にはカラクリがある。
2025年3月期の有価証券報告書を参照すると「従業員数、平均年齢、平均勤続年数および平均年間給与の基準を従来の就業人員から正社員へ変更しております」とあり、その影響が大きそうだ。算定対象となる人数は、前年から100人超も減少している。
以下、4位には霞ヶ関キャピタル(前年から5.5万円増加となる1683.2万円)、5位にはランドビジネス(同332.5万円増加で1397.1万円)が続いた。
■他の業界よりも100万円以上年収が高い
今回の調査で、前年から最も平均年収が下がったのは三重交通グループホールディングスだった。減少幅は、対象企業の中で唯一100万円以上減となる144.4万円で平均年収は578.2万円だ。
同社の事業は「不動産セグメント」「運輸セグメント」「流通セグメント」「レジャー・サービスセグメント」で構成される。不動産セグメントでは、2024年度に名古屋周辺で開業が相次ぎ、注文住宅も好調だった。近年、業績は好調に推移しているものの、2025年3月期は三重交通からの出向兼務者が増加したことで平均年収が押し下げられたとみられる。
地価やオフィス、家賃は上昇基調が続いており、その恩恵を受ける形で不動産業界は他業界と比較して全体の平均年収が100万円以上高い「勝ち組業界」となっている。この流れは、今後も続いていきそうだ。

(プレジデントオンライン編集部 図版作成=大橋昭一)
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