※本稿は、林 宏昌『上司はリスクばかりを指摘する 会社を潰す「大課長」問題』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■「大課長」は求められる仕事をしない
20年ほど前のことでしょうか。中途採用の面接で「あなたは、わが社に来たら何ができますか」と問われた求職者が、「部長ならできます」と答えたという話がありました。年功序列の中で日々の業務に取り組み、部長を担っていることがステータスとして捉えられた時代のエピソードです。今の中途採用の面接で同じように回答しても、「それで、何ができるんですか?」ともう一度同じ質問をされてしまいますし、印象としてはネガティブです。
これは本来、自分が会社にもたらすことができる成果をアピールすべき場面です。そこを肩書で語ってしまう時点で、ビジネスパーソンとして何ができるか、何ができるようにならないといけないかが、わからないまま部長になった方だろう……ということが察せられてしまうわけです。部長という肩書ではなく、そのポストで何をしてきたのか、どのような成果を上げたのか、どのようなスキルを持っているのかを具体的に伝える必要があります。
では、そもそも「部長」とは何をする役割なのでしょうか。
本書では、課長よりも上のポストにあるにもかかわらず、課長と同じような仕事をしている人たちのことを「大課長」と呼んでいます。なぜそれが問題なのかを理解するためには、課長と部長、本部長などの役割を知り、それぞれに求められる業務の違いを理解する必要があります。
■管理職とは何か、課長と部長の違いは何か
まず初めに、管理職とは一体何なのかを確認しておきましょう。
これまで多くの日本企業では、高校や大学を出たばかりの新卒者を採用し、会社員としてのスタートを切らせてきました。ここからしばらく、彼らは役職のない「一般社員」という扱いになります。その後は勤続年数を重ねながら「主任」になり、次は「係長」になり、さらに「課長」になり……といった順に昇進するのが、会社員の平均的な出世コースでした。
この序列の中でいうと、一般的に管理職とされるのは、課長から上の役職者たちです。その呼称や詳細な職掌は会社によって異なりますが、本書では「役員・経営層」「部長・本部長(この二者は必要に応じて使い分けます)」と「課長」、そして「係長」以下の社員という、4つのカテゴリに大別して論じていきます。本部長は事業部長と呼ばれたりしますが、本書では複数の部長の上の役職として扱います。中間管理職という意味では、「部長・本部長」も「課長」も同じですが、そこには大きな役割の違いがあります。
■役職者の業務を2つの軸で分類
課長以上の役職者の業務内容は、①マネジメント対象が「ヒト」か「コト」か、②マネジメントの期間が「長期」なのか「短期」なのかという2つの軸によって、大きく4つに分けることができます。この分類を図解したものを、図表1に示します。
図表1からわかるように、「部長・本部長」と「課長」との最大の違いは、業務の時間軸にあります。簡単に言えば、短期的な業務に従事するのが課長であり、中長期的な戦略を考えるのが部長・本部長なのです。
■長期的な視点が必要になるが…
1.コト×短期=業務推進(課長)
チームの目標を決め、進捗(しんちょく)を確認しながら、その達成に向けた業務の具体的なアドバイスやサポートを行う。
2.ヒト×短期=チームビルディング(課長)
チームの人間関係を構築し、心理的安全性の高いチームを作る。メンバーの人となりを知り、各人への声かけやモチベーション維持にも配慮する。
3.コト×長期=戦略策定(部長・本部長)
業務改革や戦略設計により、企業の長期的な価値を高める施策を設計し実施する。短期施策の積み上げではない、抜本的な発想が求められる。
4.ヒト×長期=組織設計(部長・本部長)
今後の事業戦略を踏まえて必要な組織体制を構想し、実現していく。そのための人材育成や、社内では不足するスキルや経験を持った人材の採用の推進が求められる。
マネジメント対象の時間軸が長くなるほど、管理職として求められる視点はより俯瞰(ふかん)的なものになり、組織全体の設計を考えることが必要になっていきます。
この分類でいうと、例えば現場の各論に口を出すのは短期的な視点での「業務推進」であり、部長以上の管理職がするべき仕事ではないということがわかります。しかし、この定義に反して、一貫して短期的なことを気にしている部長・本部長が「大課長」です。
■管理職の仕事が時代とともに変化
ここで、冒頭の「部長ならできます」のエピソードを思い出してください。
15歳から64歳の生産年齢人口比率が、従属人口(14歳以下と65歳以上の人口合計)に対して高い「人口ボーナス期」が続いており、社会構造自体が経済成長を支えていました。既存の事業を繰り返して磨き込んでいれば、新しいことを始めなくても、企業の業績が伸びていく時代でもありました。そのため管理職は部長に昇進してもなお、目の前の業務を管理・監督していれば、それでよかったのです。また、就職というよりも終身雇用制度を踏まえた「就社」という考え方が強かったため、現代のように転職も当たり前ではなく、社員のコンディションに今ほど気を遣う必要がありませんでした。愛社精神に支えられ、社員のエンゲージメントを高める必要性が低かった時代でもあります。
■もはや既存事業だけでは衰退する
しかし、少子高齢化が進む今では、そうはいきません。生産年齢人口比率は1995年をピークに減少し始め、かつては7割近かった数字が、2024年には50%台後半まで下がりました。このように従属人口割合が高い構造を「人口オーナス」といい、社会保障費などの負担が増えることから、経済成長が妨げられるとされています。
また、社会が移り変わるスピードも上がっています。事業変化のサイクルも速くなっており、企業活動の転換が常に求められるようになりました。
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林 宏昌(はやし・ひろまさ)
リデザインワーク代表取締役社長
早稲田大学理工学部情報学科卒業。2005年リクルートに入社し、経営企画室長、広報ブランド推進室長、働き方変革推進室長を歴任。2017年にリデザインワークを創業し、大手企業を中心とした経営戦略・人事戦略・働き方改革のコンサルティングを推進。2025年には2社目となる株式会社スキルキャンバスを創業。情報経営イノベーション専門職大学客員教授。本書が初の著書となる。
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(リデザインワーク代表取締役社長 林 宏昌)

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