「8割の民意を蔑ろにするのであれば、無傷では済むまい」
週刊新潮(4月2日号)は、愛子天皇誕生を望んでいる8割の国民を無視して、皇室典範を改正しようとしている高市早苗首相に対して、こう凄んでいる。
高市首相は3月16日の参議院予算委員会で立憲民主党の蓮舫議員から、「自民党の公約や維新との連立政権合意に掲げた皇室典範改正において、女性天皇は認められるのか」と問われ、「皇室典範は、皇位は皇族に属する男系男子がこれを継承すると定めております。
また、愛子内親王を念頭に置いた「女性天皇を容認する法改正」の可能性についても、「悠仁親王殿下までの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。それ以降の継承の在り方を具体的に議論するには、まだ機が熟していない」と、愛子天皇を望む多くの世論を“無視”したのである。
この発言に週刊誌は素早く、そして激しく反応した。高市早苗氏は「女性天皇容認派」と見られていたからだ。首相就任によって“愛子天皇実現に近づいた”と期待した世論や週刊誌は、彼女を「裏切り者」とみなしている。
毎号、愛子さんや雅子皇后を表紙に掲載している女性誌は、言葉こそ控えめだが、愛子天皇実現まで“撃ちてし止まん”と、一斉に高市首相総攻撃を始めたのである。
■女性週刊誌が一斉に報じた「愛子天皇」待望論
週刊女性(4月7日号)は「愛子さま(24)陛下(66)と雅子さま(62)から引き継ぐ“バトン”『次世代皇族』として歩む“令和の道”」とタイトルを打ち、3月23日の誕生日会見の天皇の言葉、「戦争の記憶と平和の尊さを次の世代へ引き継いでいく役割を愛子にも担ってほしい」を引用して、天皇も愛子さんに引き継いでほしいと強く思っているのではないかという特集を組んだ。
「女性・女系天皇の容認や“愛子天皇”を望む多くの声があるにもかかわらず、それを避けて議論を進めようとすることは、象徴天皇のあり方が国民から受け入れられなくなる危険性をはらんでいます」(小田部雄次静岡福祉大学名誉教授=『女性自身』4月7日号)
「皇位継承にも長子優先が基本とされる欧州では、愛子さまと同世代で次期国王の王女たちが活躍しています。これまで、男系男子にこだわる日本の皇位継承の在り方については、国連から“女性差別撤廃条約に反する”として勧告が出されるなど、国際社会からは批判的に受け止められる向きもありました」(皇室ジャーナリスト=『女性セブン』4月9日号)
■皇室典範改正に前のめりな高市政権
女性自身は次号(4月14日号)でも、この問題を取り上げ、高市首相をはじめとする保守派のやり方を批判している。
「高市首相も政治的な“遺産”になると、皇室典範の改正に前のめりです。3月に入り、自民党内で皇族数確保策を巡る議論をリードしてきた麻生太郎副総裁が小林鷹之政調会長と、森英介(衆議院議員=筆者注)のもとを極秘に訪れ、与党協議の早期開催を求めています。
この動きは、官邸や党幹部が与党側の主張で押し切ると腹を固めたからだとみられています」(政治部記者=『女性自身』)
改正の主な柱は、「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ」案と、「旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える」案の2つだが、これまでは自民党や立憲民主党の間で意見の対立があり、溝はなかなか埋まらなかった。
自民党と連立を組む日本維新の会は、養子縁組案を優先して進めることを主張しているが、女性皇族が結婚した夫やその子どもを皇族とは認めないという方針を示していて、与党内でも一枚岩ではない。
だが、高市首相と麻生一派は、強引に結論を出すと目論んでいるようだ。
“遺産”づくりに皇室典範を改正されたのでは、皇室の中にいる人々はたまったものではないが、さらにこんな策謀が動き始めているというのである。
■愛子様の婿候補と噂になっている人物
2025年4月の与野党協議では、戦後の1947年に皇籍離脱をした旧11宮家のなかで、久邇(くに)家、東久邇家、賀陽(かや)家、竹田家の4家に未婚の男系男子がいると示されたというのである。
「4家に養子の候補となる未婚の男性がいることが国会の議論で明示されたのは初めてでした。さらに、11宮家の皇籍離脱前の皇位継承順位が最も高いとされたのが賀陽恒憲氏だったこともあり、旧宮家の中でも賀陽家が“皇室に近い”として、動向が報じられてきたのです」(宮内庁関係者=『女性自身』)
現在の賀陽家の当主は賀陽正憲氏で、天皇とは学習院初等科からの学友だそうだ。賀陽氏には2人の息子がいて、彼らは愛子さんより少し上だが、早くも愛子さんのお婿さん候補に擬せられているというのだ。
女性自身によれば、賀陽氏は信託銀行勤務を経た後、2000年に宮内庁に転職したそうだ。
しかし、先の宮内庁関係者によれば、将来の両陛下の侍従候補と期待されていたが、当時皇太子だった天皇が、「旧友を部下にはできない」と固辞したという。
だが、本当は、職場内での言動が陛下の怒りを買い、雅子さんが賀陽氏の着任を忌避したといわれているというのである。
■報じられた雅子様の苦悩
賀陽氏は、旧華族の親睦団体「霞会館」に頻繁に通っていて、男系男子による皇統の堅持を掲げる保守派の学者との交流も噂されているという。
霞会館への参画を通じて、皇室に再び接近している賀陽氏に、雅子さんも悩まれているのではないかと忖度している。
その賀陽氏の子息と愛子さんが「お見合いした」という報道も一部にあったようだが、
「しかし両陛下は愛子さまに、“将来の結婚相手と幸せに出会い、人々からの祝福を受けてもらいたい”と心から願われています。“政略婚”ともいえる動きには、断固反対されると思います」(先の宮内庁関係者=『女性自身』)
女性自身はこう結ぶ。
「陛下のご旧友を軸に、いっそう広がりかねない保守派の蠢動。雅子さまのご憂慮が深まらないことを祈るばかりだ」
■NHK朝ドラと皇室をつなぐ皇后
女性セブン(4月16・23日号)は、3月30日から始まったNHK朝の連続ドラマ「風、薫る」を紹介し、「明治のナイチンゲール」と呼ばれた看護師・大関和(ちか)さんの功績は、時を超えて令和皇室に伝わっていると書いている。
愛子さんが勤めている日赤は皇室と深くつながっている。名誉総裁を皇后が務めるのが恒例で、功績を残した看護師らを称える「フローレンス・ナイチンゲール記章」の授与式には女性皇族が顔をそろえ、記章を授与するのは皇后の役割。
その源流にあるのは明治天皇の皇后・昭憲皇太后の存在だという。皇后は人に姿を見せないという当時の皇室の慣例から一転、日本各地へ視察に出かけるなど、「前衛的女性皇族」といわれたそうだ。
「国際赤十字には、昭憲皇太后の提唱で作られた「昭憲皇太后基金」があります。(中略)100年以上の歴史を持つ世界最古の国際人道基金とされ、災害救助活動や保健衛生事業に役立てられています」(皇室ジャーナリスト=『女性セブン』)
日清・日露の戦争の最中では、戦傷者のために自ら包帯をつくり、病院を慰問することもあったという。
■愛子様に繋がれた「風、薫る」主人公の思い
昭憲皇太后が当時の帝国大学(今の東大)の病院を訪れたとき、小児患者が入院する部屋に悪臭が満ちていたため、病院側は昭憲皇太后が到着する前に、重症患者を視察の対象から外そうとした。
だが、それに異を唱えて対面を実現させたのが、当時看護実習生総代だった大関和さんだったというのだ。
「もし大関さんが医療現場の“現実”を見せなければ、その後の昭憲皇太后の戦時の対応や、基金の設立はなかったかもしれません」(皇室ジャーナリスト=『女性セブン』)
その大関さんの慈しみの心は140年の時を超えて、愛子さんに受け継がれているというのだ。
「愛子さまは中学1年生の頃、『看護師の愛子』という短編小説を書かれました。《私は看護師の愛子》という一文で始まる物語は、診療所を次々に訪れる傷を負った生き物を、“愛子”が懸命に手当てする内容です。《私は獣医の資格はもっていないながらも、やって来た動物たちに精一杯の看護をし》という部分からは、戦時下という非常事態でも分け隔てなく手を尽くした昭憲皇太后と、日本の看護の歴史を作った大関さんへの“絆と宿命”が感じられます」(皇室ジャーナリスト=『女性セブン』)
やや牽強付会だが、天皇皇后とともに、巨大地震などで被災した地を訪れ、被災者たちに寄り添い、慰める愛子さんの姿は、多くの日本人に感銘を与えているのは間違いない。
高市首相が愛子天皇を認めなくても、愛子さんは既に“国母”になりつつあると女性セブンはいいたいのであろう。
■週刊新潮は「女性天皇の実現は可能」
そして新潮である。
新潮は高市首相の「言行不一致」を詰(なじ)っている。というのも、高市首相は過去に「私は、女性天皇には反対していません」(文藝春秋2022年1月号)と、女性天皇を容認する発言を繰り返してきたからだ。
新潮は幾多の例を挙げながら、女性天皇の実現は可能だと説く。現行の皇室典範は1947年に施行されたが、それより前の旧典範が制定されたのは1889年。明治に入ってからのもので、それ以前に「皇位は皇統に属する男系の男子」という規定はなかった。
旧典範が制定された頃は、「明治維新で国際社会に仲間入りした日本が、独立を維持するため軍事的にも強い近代国家を目指し、男性中心の社会構造」(所功京都産業大学名誉教授)だったからで、今とは全く違っていた。
さらに、1954年、岸信介元首相が自由党憲法調査会長当時に取りまとめた「日本国憲法改正案要綱」には「皇室典範を改正し、女子の天皇を認める」と明記していた。中曽根康弘元首相も議員時代、同様の主張を繰り返していた。小泉純一郎元首相に至っては首相時代、女系・女性天皇も容認する典範改正に着手していたのである。
高市首相がウルトラ保守を自認するなら、自民党の戦後史も勉強すべきだと新潮は叱りつける。
■「男系男子による継承は限界」
高市首相は、「国論を二分する政策を推し進めるのが私の政権だ」というようなことをよくいう。
憲法改正、防衛装備移転三原則の緩和、スパイ防止法制定など、強引に進めれば国を二つに割ってしまうほどの重要な問題を、与党が過半数を占めるからといって、やっていいはずはない。
しかも、愛子天皇を7割から8割の国民が望んでいることは、各メディアの世論調査を見ても明らかである。
国論を二分する問題を、自分勝手に推し進めようとしている高市首相は、なぜ、国論がほぼ一致している愛子天皇を退けて顧みないのか。その理由を国民に分かりやすく説明する義務が、高市首相にはあるはずだ。
平成の天皇陛下(上皇)の生前退位に、有識者の立場で関わった御厨貴東京大名誉教授は、朝日新聞(デジタル版26年4月5日 11時30分)で、明治期に明文化された「男系男子による皇位継承」という大原則をこれからも続けていくことは困難だと語っている。
《「この制度下で、男系男子による継承を続けていくのはおのずから限界があると思います。
――仕組みそのものが、安定的な皇位継承を難しくしているということでしょうか。
「はい、構造的な欠陥があるなかで、皇統をつないできたのが現代の皇室です。さまざまなプレッシャーや、批判にさらされつつも、生身の人間の努力でカバーしてきたことを考えると、対応を急がなくてはなりません」》
■愛子天皇を待望しているが…
高市首相は、明治維新の基本方針「五箇条の御誓文」の第一条に「万機公論に決すべし(天下の重要事項は、一部の権力者だけで決めるのではなく、広く会議を開き、みんなの意見に基づいて決定すべきだ)」と記されていることを知らないのだろうか。
だが、私はここで立ち止まり、考えてみる。たしかに私も愛子天皇を待望している一人である。
ここで紹介した以外にも、多くの愛子天皇を支持する意見は巷に溢れている。しかし、天皇皇后や愛子さん本人が、将来をどう考えているのかは全く聞こえてこない。それは、次世代の天皇になることを義務付けられた悠仁さんも同じである。
皇室の人間には、政治的な発言はおろか、基本的人権も恋愛、言論の自由もなく、女性差別がいまだに残っている世界だから、当然だというのだろうか。
唯一、愛子さんが成人会見で結婚について聞かれ、
「結婚は私にとってはまだ先のことのように感じられ、今まで意識したことはございません。理想のお相手については、特別これといったものはございませんが、一緒にいてお互いが笑顔になれるような関係が理想的ではないかと考えております」という答えた言葉だけしか、われわれは知らない。
つつましく微笑ましい結婚観ではないか。
■青春と将来を奪ってしまう
このようなささやかな結婚さえ許されない立場にありながら、日赤に勤務し、公務をこなす多忙な日々を送っている愛子さんの青春と将来を、高市首相をはじめとする政治家たちは、一度でも真剣に考えたことがあるのだろうか。
天皇は生まれも育ちも皇室の中だから、愛子さんを皇室の外へ出すことなど考えていないかもしれない。だが、雅子皇后にはキャリアウーマンとして青春を謳歌した時代があった。皇太子妃となって皇室に入ってからはいじめに遭い、適応障害にもなり、陰鬱な時期が長くあったため、娘には皇室の外へ出て、自由に羽ばたいてもらいたいと考えているのかもしれない。
これまで皇室の女性が皇籍を離脱する手段は、民間人と結婚する道しかなかった。
だが、今回、皇室典範が改正されれば、結婚後も皇室に縛られることになる。
われわれ国民も、天皇になることが愛子さんの幸せなのか、天皇になれなくてもこのまま皇室に縛られ、一生公務をこなすことが彼女の幸せな人生なのか、考える時期に来ていると思う。
御厨東大名誉教授は先の朝日新聞の記事において、「僕は天皇、皇后両陛下は、皇室の今後について、国民にゆだねようとされていると感じました。父親である上皇さまが生前退位という問題を国民の意思に委ねたように」と語っている。
高市政権が数を頼んで押し切っていい問題ではない。皇室の今後の在り方や、愛子天皇実現の可否を、国民投票を実施して、国民の総意を問うべきだと、私は思う。
----------
元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。
----------
(ジャーナリスト 元木 昌彦)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
