※本稿は、古宮昇『自分を責めない生き方』(総合法令出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
■自己肯定感を低下させる「三角ドラマ」
互いに傷つけ合い、自己肯定感を低めてしまう人間関係のパターンとして、「三角ドラマ」があります。
健康な人間関係においては、自分の本当の気持ちが分かっていて、それを素直に相手に伝えられます。
相手に何をしてほしいかを率直に伝えられ、希望が食い違ったとしても、相手と話し合って解決することができるでしょう。それに対して、相手ばかりを優先して自分をないがしろにしたり、ときには相手を攻撃して罪悪感を持たせたり、相手を弱者のように扱って貶めたりしてしまう交流パターンが、三角ドラマです。
三角ドラマは、犠牲者、加害者、救済者の三つの役割から成ります。
犠牲者とは、「私は他人のせいで不幸にさせられたかわいそうな人間だ」と信じている人のことで、彼らにひどい扱いをした(と犠牲者が信じている)人間が加害者です。
そして犠牲者は、そんなかわいそうな自分を救ってくれる救済者の役割を誰かにさせようとします。
人によって、犠牲者の役割で三角ドラマを始めてしまう傾向の人と、救済者の役割を引き受ける傾向の人がいます。
好んで加害者になる人はめったにいません。
これら三つの役割について、詳しくみてみましょう。三角ドラマの交流は家庭や職場などでとても多く、きっとあなたも身に覚えがあるでしょう。
■「自分の不幸は他人のせい」と信じる人たち
犠牲者の役割にはまる人は、自分の生き方の責任を引き受けず、自分の不幸は他人のせいだと思っており、自分の気持ちと行動の責任を引き受けません。
そして、人は自分に対して冷たく、自分はそのかわいそうな犠牲者だと信じています。
犠牲者には二通りのタイプがあります。「あわれな犠牲者タイプ」です。自分をあわれみ「自分はなんてかわいそう」と嘆いています。
もう一つは「怒りの犠牲者タイプ」です。強い人間である仮面をかぶり「私になんてことをしてくれた!」「あなたはひどい人だ!」と怒っています。
実際には、両タイプを行ったり来たりする人が多いでしょう。
両タイプとも、自分を不幸にする加害者と、自分を不幸から救ってくれる救済者を探しています。そして、責めと罪悪感を使って人を操ろうとします。
加害者だと見なされた人が罪悪感を抱き犠牲者を救おうとするとき、三角ドラマにはまります。加害者にはなりたくないのが人情です。「良い人」と思われたいという気持ちが強いほど、救済者の役割にはまりやすく、抜けられなくなりがちです。
■「親との関係」を大人になっても繰り返す
子どもは、親の幸せを願う気持ちが強いことに加え、「親の幸せ・不幸せは自分の責任だ」と信じやすいものです。
そのため、親がつらそうだったり苦しそうだったりすると、「私のせいだ。私が助けなきゃいけない」と思います。そうして親子関係において救済者になります。さらにそれを大人になっても日常の人間関係で繰り返します。
そういう人は、「人の不幸は私の責任であり、私はその人を助けなければならない」と信じるのです。
救済者は、他人を助け、必要とされることによって自分の価値を確かめたいと願っています。ですから、その欲求を満たすために犠牲者が必要です。
なお救済者は、最後には犠牲者になります。
救済者になる本当の理由は、自分は価値のない人間だというつらい思いや罪悪感を避けるためですが、「この人のためにしているんだ」と信じており、「あなたのため」といって、自分が本当にしたいことや自分の気持ちを犠牲にするからです。
■「あなたのために」が怒りに変わる瞬間
救済者は、心の底では、「私はこんなにしてあげているのだから、あなたも自己犠牲すべきだ」と思っています。
また、犠牲者が自分の人生や幸せの責任を引き受けるよう成熟し自立しなくてもすむように助けてもいます。
私の知り合いの女子浪人生は、自分の大学受験の勉強を犠牲にして、大学生の恋人に代わって、彼のために大学の宿題のレポートを書いていました。その女子浪人生も、恋人が責任ある大人にならず彼女を必要とし続けるよう、自分のニーズを犠牲にして救済者になっていたのです。
救済者の役割をとることは、結局は自分のためにも相手のためにもなりません。
なぜなら、救済者になるために自分のニーズを犠牲にしますから、そのうち自分が犠牲者に思えてきて腹が立ちますし、犠牲者のことも未熟で依存的なままにし続けるからです。
三角ドラマの交流パターンが止まらないのは、参加者たちが、犠牲者役か救済者役になることによって加害者役を避けようとするからです。
■ここから抜け出すための“唯一の方法”
三角ドラマにはまると、自己肯定感はひどく低下しますし、知らず知らずのうちにお互いを傷つけ合い、とても嫌な感情が残ります。
そして、大人になってそのパターンにはまる人は、子どものころに親との間でそのパターンを学んで育ったことがほとんどでしょう。
つまり「私がしっかりして親を救わなきゃだめだ」とか、「親の言うとおりにしなきゃ愛されない」と信じて育ち、その隠れた信念を今も持ち続けて、「私ががんばって責任を果たしたら、みんなが救われるはずだ」「だから私がしっかりしなきゃ」「いい人にならなきゃひとりぼっちになる」と信じているのです。
このパターンにはまると、自分のことも人のことも認めることができません。
なぜなら、他人のことを、彼・彼女自身の人生の責任を担うことのできない弱い犠牲者だと見なし、自分自身のことも、その人を救えない限り自分には価値がないと信じているからです。
人も自分も傷つけて、嫌な気持ちになる三角ドラマから抜け出すには、自分の本当の気持ちを感じ、それを正直に伝えることが必要です。
ところが三角ドラマにはまっている人たちは、その人間関係がひどく不健康で不幸であるにもかかわらず、誰かがそこから抜け出すことに激しく抵抗します。
三角ドラマにはまったことに気が付き抜け出そうとすれば、犠牲者役の人はあなたを責めます。それでもあなたは、その抵抗に屈することなく、自分の行動と感情の責任を引き受け、人を救済することによって自分の価値を感じようとすることをやめ、自分の人生の主人公として生きていこうと固く決意したとします。すると、三角ドラマにはまり続けている人々は、あなたを責め、あなたを加害者だと見なします。
ですから、三角ドラマから抜け出すには、加害者と見なされて嫌われる覚悟が必要です。
犠牲者にも救済者にもなることを拒み、自分の本当の感情を伝えて、三角ドラマから抜け出すとき、あなたにとって三角ドラマは終わります。それは自分を大切にし、自立を始める重要な一歩になるでしょう。
もし、そうすることがとても恐ろしく感じられるときには、心理カウンセラーなどプロの支えを得ながら取り組むことが賢明です。
----------
古宮 昇(こみや・のぼる)
心理カウンセラー
心理学博士。
----------
(心理カウンセラー 古宮 昇)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
