※本稿は、吉原潔『首の痛み・コリ・しびれ自力でできるリセット法』(アスコム)の一部を抜粋・再編集したものです。
■首に悪いどころか“老けて見える”姿勢
街を歩いている人を眺めていて、年配の人に見えたのに、近づいてきたら若い人だった――。そんな体験はありませんか?
その原因は、首が亀のように前に突き出て、背中が丸くなっている下向き姿勢。「カメ首」と言われることもあります。こうした姿勢は加齢とともに増えやすく、「高齢者っぽい姿勢」というと、イメージされるのではないでしょうか。
姿勢の変化は、加齢とともに誰にでも起こります。子どもの頃は、意識しなくても背すじがピンと伸び、耳の位置が肩の付け根より少し後ろに位置しています。
しかし、年を重ねるにつれて、頭が少しずつ前に出てくるようになります。これは加齢によって背骨のカーブが変化し、首や背中の筋肉が弱くなるためです。
では、どうすれば予防できるのでしょうか。
意識してほしいのは、「長時間うつむいた姿勢を続けないこと」、「こまめに背すじを伸ばすこと」です。
また、でご紹介している「背中でお祈り」や、「ひじ回し」、「首をゆっくり回す」も、効果的です。
加齢による変化は、完全には止めることができません。それでも、首を動かす習慣を続けることで、首が前に出た「高齢者っぽい姿勢」を防いだり、改善したりすることも可能です。
■「痛みを起こしにくい体」は作れる
一方、病気が原因で、首が前に倒れてしまうこともあります。
首を支える筋力が著しく低下し、首を起こして前を見ることが困難になる、「首下がり症候群(ドロップヘッド症候群)」という疾患です。高齢者を中心に報告されていますが、比較的稀な疾患です。
日常生活ではこんな不便があります。
・洗面所で、鏡の高さまで視線を上げられない
・歩行中に前方が見えにくい
パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう))など、神経や筋肉の疾患に伴って発症しやすく、さらに加齢に伴う筋力低下も影響していると言われています。
治療の基本は、リハビリや、首や背中を支えるコルセットなどの装具を使った方法です。症状や原因によっては、首の骨を固定する手術が選択肢になることもあります。
そこで、ぜひ手に入れていただきたいのが、「首の痛みを起こしにくい体」です。というのも、セルフケアで痛みがせっかく改善しても、何度も痛みをくり返してしまう方がいます。
そんな方の特徴の1つは、「体全体を支える土台が弱い」こと。
土台は、背骨や骨盤を支え、姿勢を安定させます。一般に「体幹」と呼ばれ、おなかや背中、腰まわりに位置する筋肉群で構成されています。
体幹が弱いと、立つ・歩く・座るといった日常の動作でも姿勢が安定せず、その結果、首や肩に余計な負担がかかってしまいます。逆に体幹がしっかりしていれば、首は自然に正しい位置に保たれ、負担が少なくなるものです。
■「5秒×4回」で土台作り
体幹を鍛える近道は、腹筋群と背筋群を協調させて鍛えることです。「バードドッグ」という体操が役に立ちます。四つん這いになった後、対角の手と足を伸ばすのですが、最初は体が安定しないかもしれません。しかし、くり返すうちにバランスのとり方のコツがつかめるようになるはずです。
腹筋と背筋をバランスよく使うことで、体幹が安定し姿勢が整う点が、この体操の最大のメリットで、猫背や反り腰の改善にも効果を発揮します。さらに医学的な観点では、バードドッグによって「多裂筋」や「腹横筋」という脊柱を支える深層筋(インナーマッスル)が活性化されます。これにより、椎間板にかかる局所的な圧力が分散され、頸椎ヘルニアや腰痛の再発リスクを抑える効果が期待できるのです。
もちろん、大切なのは継続です。正しいフォームを意識しながら、無理のない範囲で続けてみてください。ただし痛みがある場合は、無理に行わないでください。
体幹を強くする「バードドッグ」のやり方
① 四つん這いになる
平らな場所で四つん這いになります。
肩の真下に手首、お尻の真ん中にひざがくるようにします。
背中は、まっすぐに保ちます。
② 手足を伸ばし、5秒静止
①の姿勢から右手を前に、左足を後ろに伸ばします。
床と平行になるように、まっすぐに伸ばすように意識します。
5秒静止して、元の四つん這いに戻ります。
左手と右足でも行います。
①、②を2回行います。
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■スマホ・パソコン・読書で「寝違い体質」に
目覚めた瞬間、ズキッ! 首に鋭い痛み。痛みのため、振り向くことすらできない。
あなたも、こんな「寝違え」の経験があるでしょう。
実は、寝違えやすい方と、あまり寝違えない方がいます。前者は“寝違え体質”と呼べるかもしれませんね。
・スマホを長時間使う
・パソコンを長時間使う
・読書をよくする
こんな方々です。共通するのは、なんでしょうか? ここまで読んでくださったあなたなら、わかりますよね。
前かがみの姿勢で過ごす時間が長い方です。
ずっと前かがみでいると、首の筋肉がこわばり、寝違えを起こしやすい状態ができてしまうのです。つまり、“寝違え体質”は生まれつきではなく、生活習慣という、後天的な要素によって作られることが多いと考えられます。
また、首が回しづらいという方も、寝違え体質といえます。
その結果、首の特定の部位に負荷が集中し、筋肉の過度な緊張や血流障害が生じやすくなるのです。
寝違えを防ぐには、寝具選びも大切です。特に枕と敷布団・マットレスは、首や背骨の位置に直接影響するため慎重に選びましょう。
■“すぎる”枕にご注意を
以下は、避けたほうがよい枕の特徴です。
・高すぎる枕 → 首が前に曲がりすぎて、首の後ろの筋肉に負担がかかります
・低すぎる枕 → 首が反りすぎて、首の前側の筋肉が緊張します
・柔らかすぎる枕 → 頭が沈みすぎて寝返りが打ちにくく、首や肩に力が入りやすくなります
・硬すぎる枕 → 首や後頭部が圧迫され、肩や首の筋肉がこわばります
つまり、“すぎる”枕は、首によくない、ということになります。理想的な寝具は、首の自然なカーブを保ち、背骨のラインがまっすぐに並ぶ高さと、寝返りを妨げない適度な硬さがあるものです。
ただ、体型や首の長さによって“ちょうどいい”枕は異なるため、枕を購入するときは、実際に試してみて違和感のないものを選ぶようにしましょう。なかでも私は、「楽に寝返りができる高さ」を重視しています。
また、枕を選ぶときは、敷布団やマットレスとのバランスも重要です。
敷布団が柔らかすぎると、体が沈み込み背骨のカーブがくずれて、首に負担がかかります。
枕と敷布団は、セットで調整することが基本です。どちらか一方だけを変えても、首への負担は改善されにくいです。
とはいえ、日頃から首の筋肉を柔軟に保ち、コリを作らないことが、結局のところ寝違えを防ぐ最善策なのです。
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吉原 潔(よしはら・きよし)
整形外科専門医
整形外科専門医・フィットネストレーナー。医学博士。アレックス脊椎クリニック名誉院長。日本医科大学卒業後、同大学整形外科入局。帝京大学医学部附属溝口病院整形外科講師、三軒茶屋第一病院整形外科部長、アレックス脊椎クリニック院長を経て、2024年より現職。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。著書に『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』『疲れない、回復できる、速く・長く歩ける 体力低下を食い止める30秒習慣』(ともにアスコム)などがある。
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(整形外科専門医 吉原 潔)

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