人気YouTuberのHIKAKIN(ヒカキン)さんが手がけた麦茶「ONICHA」が、全国のセブン‐イレブンで販売されると発表された。カップラーメンから実店舗に発展した「みそきん」に次ぐヒット商品になるのではとの声がある一方で、SNS上では批判的な声も少なくない。
なぜ、ONICHAはバッシングを受けるのか。その背景には「高騰しすぎてしまったHIKAKINさんの好感度」があると考える。
■地味、退屈…ヒカキンにあるまじき「競合をけなす姿勢」
ONICHAは2026年4月21日に発売予定のペットボトル麦茶だ。このタイミングで設立された、HIKAKINさんが社長を務める「BEE株式会社」が販売元となり、1本149.94円(税込)で全国販売される。告知動画によると、製造は中堅飲料メーカーのチェリオコーポレーションが担当しているようだ。
商品公式サイトを読むと、既存の麦茶商品に対する課題意識が見て取れる。「地味で主役ではなかった麦茶を、シンプルでかわいいデザインと、遊び心とイケてる飲みものにします」とのメッセージは、まさに現状に対する宣戦布告とも取れる。
また動画では、麦茶全般に対して「地味でワクワクしない」「親に言われてジュースの代わりに飲む退屈な飲み物」とも発言していた。
こうした競合を批判するような姿勢には、反感を覚えるネットユーザーが少なくないようだ。すでにペットボトル麦茶市場には、笑福亭鶴瓶さんがイメージキャラクターを務める「健康ミネラルむぎ茶」(伊藤園)や、クレヨンしんちゃんを実写化したCMを流している「やかんの麦茶 from 爽健美茶」(コカ・コーラ)などがある。
いずれも親しみやすいマーケティング手法を採っており、既製品でも「遊び心」を感じる人がいても不思議ではない。こうした背景もあり、「不必要に競合にケンカを売っているのでは」と指摘するSNSユーザーは一定数存在する。
■世にも珍しい「好感度が高すぎて炎上」
また、新商品の告知方法も反感を浴びた。HIKAKINさんは発表の1週間前、「しばらくSNSの投稿ができないかもしれません。トラブルではないので心配しないでください」とXに投稿。加えて、YouTube配信では、波打つ海面の様子が流された。
何の発表かを伝えず、期待感をあおる。「ティーザー(じらす)」と呼ばれる手法だ。「心配しないで」と言われても、おそらくファンは心配するだろう。そうした心理を“商業化”したのではといった角度からの指摘も存在する。
このように、競合バッシングや消費者心理の観点から、HIKAKINさんに対する批判が高まっている。しかし、ネットメディア編集者として、これまでの論調を定点観測してきた筆者からすると、これは「HIKAKINさんの好感度が高すぎたゆえの結果」であり、ONICHAでなくても、いずれ起きた炎上だったのではと感じるのだ。
■「カネのにおい」がしない点が人気につながっていた
HIKAKINさんは、ここ数年ネットにおいて「聖人」のような扱いをされてきた。そうした印象が定着した要因のひとつに、2020年にヤフーと共同で立ち上げたコロナ医療支援基金がある。
そもそもYouTuberという職業には、あまり良くないイメージが付きまとっていた。再生数を稼ぐため、過激な動画を撮影する人物も多く、「慈善」とは正反対の印象を持たれがちだ。「売名ではないか」とうがった見方もあるが、そこにHIKAKINさんは一石を投じた。派手な恋愛スキャンダルもなく、天狗になったり、浮ついたりしているように見えない点も、プラスに働いた。
言うなれば、HIKAKINさんは「カネのにおい」がしないところが、人気やポジショニングの基盤になっていた。ただ当然ながら、本人はそれなりの資産を持っているだろう。だからこそ、多額の寄付を行えるのだ。
なお所属事務所のUUUM(ウーム)で「ファウンダー/最高顧問」の役職を務めるHIKAKINさんは、同社の上場企業時代に、大株主の1人として有価証券報告書に載っていたこともある。
■ラーメンと比べるとストーリーが薄すぎる「麦茶」
そんな彼に転機が訪れたのは、「みそきんの成功」だったと、筆者は考えている。2023年春にカップ麺として発売されると、全国のセブン店舗から、一斉に在庫が消えた。
そして2025年夏、東京駅の商業施設に期間限定の実店舗をオープン。混雑を避けるための予約制には賛否が出たものの、2026年2月の閉店まで人気を博した。現在は池袋に実店舗を移し、夏には大阪にも展開予定だという。
この、みそきんでの成功が、HIKAKINさんの好感度に影響を与えた可能性はなかったか。つまりは今回、商業的な「二匹目のドジョウ」を狙っているように見えてしまった結果、“カネのにおい”が醸し出されてしまったのではないだろうか。
そう思わせる理由としては、「HIKAKINである意味」が、あまりONICHAから感じられない点が挙げられる。告知動画で本人は、子どもができたことにより、毎日のように口にする飲みものの重要性を感じたと明かしていた。
しかし、この説明は、あくまで「親」としての考えであり、「人気YouTuber・HIKAKIN」である必要性を感じにくい。みそきんが「下積み時代を支えた“ラーメン”への思い」といったストーリーを帯びていたのと比較すると、その濃度は薄れてしまう。
消費者の「なぜHIKAKINが?」の問いに、完全なる答えを出せていない。その結果、「商業的になりすぎたのでは」といった疑念が浮かび、バッシングにつながっているのではないかと考えるのだ。
■「ヒカキン」ブランドでなくとも市場に受け入れられるか
もっとも、HIKAKINさんサイドは、意識的にカラーを薄めようとしているようにも見える。みそきんが「HIKAKIN PREMIUM」と、名前を冠したブランドで展開されていたのに対して、今回は「BEE」に改称された。今回の麦茶が「○○キン」のネーミングにならなかったのも、そうした戦略の一環だと考えれば自然だ。
発案は本人なのか、周辺なのか。どのような目的のもとで行われたのかは不明ながら、おそらくそこには、属人的なブランディングから離れる意図がある。HIKAKINさん自身を全面に押し出さずとも、センスが市場に受け入れられる。その試金石として、ONICHAが位置づけられているのではないか。
これは筆者が深読みしているだけかもしれない。ただ、もしそのようなビジョンのもとで出された新商品なのだとしたら、もっと土壌づくりをしっかりしておくべきだっただろう。
しっかりBEEとして自走するためには、HIKAKINさんゴリ押しスタイルからの移行期間が重要となる。今回のONICHAバッシングに、いかに対応するか。そこに今後のブランド展開はかかっている。
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城戸 譲(きど・ゆずる)
ネットメディア研究家
1988年、東京都杉並区生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、ニュース配信会社ジェイ・キャストへ入社。地域情報サイト「Jタウンネット」編集長、総合ニュースサイト「J-CASTニュース」副編集長、収益担当の部長職などを歴任し、2022年秋に独立。現在は「ネットメディア研究家」「炎上ウォッチャー」として、フリーランスでコラムなどを執筆。政治経済からエンタメ、炎上ネタまで、幅広くネットウォッチしている。
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(ネットメディア研究家 城戸 譲)

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