露天風呂付き宿 《 古民家宿 るうふ 「遊之家(ゆうのいえ)」》(千葉県八千代市)
建物にチカラのある古民家 ✖️ 特別な体験が叶うサービス
築100年の古民家を、地域の風土や建物の可能性を見極め、改修・リノベーションした一棟貸しの宿を運営している 《 古民家宿 るうふ 》。山梨・千葉・群馬県を中心に、現在21棟。そのままでは失われていく地方の歴史ある古民家を、宿という 多くのゲストに喜ばれる存在として再生する。滞在するゲストには、一棟貸しの宿でありながら、その土地ならではの様々なサービスを楽しんでいただく。囲炉裏での食事はもとより、お庭での花火や焚き火といった 火を囲んでの温かな時間や、サウナ、1年後の自分への手紙、書道、酒蔵探訪などなど。日本の生活文化を心豊かに体験できるメニューをこれでもかというほど揃えている。派手にではなく普段の遊びのように、ゲストが自由に選べるように。一棟貸しの楽しさ、自由さ、気楽さに、さらに記憶に残るシーンづくりの可能性をおおらかに広げておもてなしする。それが《るうふ》の宿のスタイルとなっている。
「遊の湯」露天風呂に人工温泉を導入
2024年7月に宿の特徴の一つでもある、露天風呂にるうふ初となる人工温泉(ラジウム泉質)を導入いたしました。「ラドン」が含まれる温泉は、古くから「美人の湯」や、「長寿の湯」などと言われることが多く、代謝促進、痛み緩和などの効果が期待され、くつろぎの時間をお過ごしいただけます。
家族でゆったり浸かれる檜の半露天風呂。ラジウム泉質の人工温泉にリニューアル
火を囲む時間は《るうふ》の宿のお楽しみ。宿の庭には焚き火台が設置されている
隣近所や行き交う車を気にしない、ただただ楽しい広い庭での手持ち花火
築130年の古民家が「遊之家」として艶やかに再生するまで
さて、そんな《 古民家宿 るうふ 》の宿、11棟目のオープンとなった千葉県八千代市の「遊之家(ゆうのいえ)」。 "和装体験ができる宿" というひときわ個性の立ったコンセプトを持ち、建物そのものの質の高さ華やかさと相まって国内外からの予約が続く。取り壊されマンションや養護施設になる可能性もあった築130年のお屋敷が、いかに「遊之家」として再生したか。古民家の家主でもあるオーナーの目線とともにご紹介していきます。
2023年夏 開業。八千代市に誕生した幻想的空間
100年超、なお強く美しい日本建築あってこそ
「遊之家」があるのは、千葉県八千代市の下市場。るうふの宿としては稀な、観光地としての突出したフックがないエリアの市街地である。このような立地にあってなお宿の再生開業プロジェクトが実現した背景には、当然のことながらいくつかの確かな強みとなる要素がある。質が良く建物そのものに強度とオーラがある。
八千代市で初の古民家宿。
市街地ならではのアクセスの良さ。
質、意匠、状態の良い ストーリー性のある建物
「遊之家」となった古民家との出合いは、所有者である現オーナーが、経済誌に掲載された「るうふ」の記事に目を留めコンタクトを取ったことが切っ掛けとなった。自社の大工職人も立ち会い現調を行ったその建物は、築130の経年ながら目立つ傾きや歪みがなく安定した骨格、艶のある大黒柱に梁の存在に加え、欄間や床の間、雨戸の戸袋など要所要所に意匠を凝らした職人技術が残り、新築時の職人衆の仕事や家族に愛され維持されてきたオーラが醸し出されていた。「私が幼少の頃、今から60年ほど前に母家を曳家(引家)して基礎を造って戻す大改修工事を行ったことを覚えています。ガラス職人であった祖父が、関東大震災で相当揺れた後も無事であった母家を、曳家をしてでも残すことに拘ったのです。門と母家の造りと形状、母家の大黒柱と欄間については、その価値を永く残すに値するものであることを折りに触れ話していたものです。
門の脇には大谷石の塀に沿って大きな八重桜があり、春先の満開時はそれは見事で通る人が門を入れての写真をよく撮って行かれたものでした」
「当時は、飲料水は丸井戸から。
ごはんは薪によるかまど炊きの台所でしたから、そこで新米の炊けるまでの湯けむりと香り、できたての塩むすびは絵もいわれぬ美味しさで格別でした」
「母家の北側には木小屋、芋床、竹藪、梨畑、野菜畑が続いておりましたが、大きな欅の木が数本あり、夏でも涼しくて風情がありましたが蝉の大合唱はうるさくて参ったのを覚えています(笑)」
家主に愛され大切にされてきた古民家は、すでに住まいとして使われていないものの まだまだ力強く生きている。それは建物単体としてだけではなく、地域の中での存在や風景としても。
修繕をしそのままの姿を残した「遊之家」の表門。
敷地の北にそびえる欅の御神木を囲むように宿の裏庭を整備。
外塀であった大谷石を再利用してデザインしたアプローチと庭園
重厚な大黒柱や梁が、宿となった今も変わらずこの建物を支えている。
建物を残し、八千代市で初めての古民家宿に
このポテンシャルのある古民家も、各地に増え続ける空き家問題で多くの家主が検討する「取り壊してマンションに」を考えたこともある。「私が当主となってからは、ことあるごとにこの土地と建物に、どうするべきか問いかけ語りかけ答えを求める日々でした。
一般的に木造家屋の不動産評価が低い現実があるなかで、取り壊してこの土地にマンションを建てる、サービス付き高齢者住宅を建てる・・・と検討した時間もありましたが、古材はじゅうぶん乾燥して強度がある。スクラップ&ビルドの考え方に対し、やはりゴミを出さない、残すに値する良い物件については修繕リフォームにより価値の改善を図っていくヨーロッパスタイルを支持したい。マンション建設に多額の負債を抱えるリスクより、この古民家の個性を活用してノスタルジックな空間を提供していくのが投資額、この地の人口需給バランスからもベストなのではないかと。
とはいえ、空き家物件として相当傷んでいた部分も多く、それを再生できると判断されたるうふさんの見識と、風水学も取り入れた設計施工で見事にリノベーションを実現した熱意には感謝とともに大変満足しています」
「古民家を再生した宿のオーナーになることは、金額的なメリットはほどほどに、文化的価値を後世に残すという責任を果たすことでの満足度は高い結論となりました。」
「八千代市で初めての古民家宿ですから、地域では良くも悪くも注目度は高いでしょう。だからこそ、出来ることがある。地元の素晴らしい飲食店や経営者たちと連携して、地域の活性に繋がる存在になっていきたいですね。」
都心から電車で50分、成田国際空から40分。
いずれからも1時間かからず、宿の最寄駅である勝田台駅まで直通で来れるというアクセスの良さは、市街地ならでは。
宿のコンセプトとともにインバウンドを見込める強い要素となった。
"和装遊びができる宿” ユニークだが現代のニーズに合う等身大コンセプト
「遊之家」では浴衣や着物のレンタル・着付けのサービスがあり、小物も揃っている
"どのコーナーも絵になる" が叶う本物の空間
旅の上質な時間を提供する日本建築の宿空間は、凛と美しくどこか非日常で絵になるもの。それは、舞台装置のような作りもののそれではなく、建物の素材、骨格、時代、形作っているすべての要素が本物所以の空気を醸すからである。左官職人による塗り壁と石材のエントランス。
庭園で。母家の庭にもとから植えてあったソテツが、宿の庭園のシンボルに。
建物や庭園、表門から御神木に至るまで、130年を経てきた本物が「遊之家」には在る。これらの品格と、立地条件などマーケティングデータとのクロス点を引き上げて生まれたのが "和装(仮装)遊びができる宿” というコンセプト。
今やSNSをはじめとする個人メディアの、どこでもが撮影空間。質の高い古民家には、リノベーションと装いを経て非日常の時間空間を遠慮なく味わってもらえる懐がある。
ならば、江戸時代、ハレの日に装い遊ぶ生活文化があったように(現代の七五三や卒業、成人などの化粧や和装に息づいている)古民家滞在の非日常を存分に遊んで楽しんでいただけるサービスを提供できたらと。
友人の誕生日やイベントでちょっとしたコスプレをするのは日本でも海外でも楽しみのひとつだが、和装となるとちょっとハードルが高い。しかも背景、空間に演出力を求めたら、実現可能な環境は限られてくる。他にゲストのいない一棟貸しの宿でなら、大人も子供も心置きなく楽むことができる。
浴衣を着ていつもとちょっと違うメイクを楽しむ。
本格的な和装の着付けとヘアメイクを楽しむことができる(要申し込み)
どこでも思わず撮りたくなく空間は滞在のワクワクを盛り上げる
そうして古民家は、屋根瓦をすべて葺き替え、外塀を取り壊し庭園を造り、天井に格天井を施し、価値ある欄間を再利用し、浴室は檜の露天風呂・・・と、修繕とリノベーションに1年近くをかけ、艶やかな装いで「遊之家」として生まれ変わった。
「一歩間違えれば悪趣味とも言われかねないレベルぎりぎりまで挑戦して、結果高いレベルでセンス良く艶やかに仕上がった」とは、オーナーの率直なコメント。
空間だけでなく、和装(仮装)体験をはじめ、囲炉裏での食事、花火、焚き火、サウナ、露天風呂・・・と"体験" が叶うため、実際に開業後は、インバウンドの利用とともに、国内外問わず大切な客人を「楽しませたい」「おもてなししたい」ホスト側の客層にも選ばれている。
「仮装遊び "も” 可能な宿ではありますが、普通のご宿泊でも雅な空間と美味しい季節の囲炉裏料理やお風呂を、どうぞゆったりとお楽しみください」(るうふ)
囲炉裏を囲んで旬の味覚を楽しむ食事は古民家宿での楽しみのひとつ
浴室外にはサウナと水風呂、クールダウンチェアも
どうぞ、のんびり過ごしにいらしてください。
宿の概要
遊之家(ゆうのいえ)
■住所:〒276-0026 千葉県八千代市下市場1丁目5−29
京成線勝田台駅より徒歩約10分
■宿泊定員:8名
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