カゴメ株式会社(社長:寺田直行、本社:愛知県名古屋市)は、トマトジュースを継続して飲むことで、紫外線を浴びることにより暗くなった肌の色調の回復が早まる可能性があることを、ヒト試験により明らかにしました。
【紫外線を浴びることで生じる肌への影響】
肌は、紫外線を浴びると炎症による赤みを帯び、これは紅斑(こうはん)と呼ばれています。
■本研究の目的
トマトは、リコピンなど強い抗酸化作用をもつ成分を多く含みます。そのため、紫外線を浴びることにより皮膚で発生する活性酸素を消去することで、肌の赤みやその後の色素沈着などの皮膚のダメージを予防・軽減する効果を示すことが期待されています。実際に、海外の研究機関による試験においては、トマトペーストの摂取が、紫外線によって生じる肌の赤みを抑制することが報告されていました。
そこで本研究では、トマトジュース(160 g当たりにリコピンを12 mg含む)と、高リコピントマトジュース(160 g当たりにリコピンを24 mg以上含む)を使用し、肌質の異なる日本人でも同様の効果が見られるかを、肌の赤みと明度とを指標に検証しました。
■結果
今回の試験では、海外の先行研究から期待された、紫外線を浴びることで生じる肌の赤みをトマトジュースの摂取が抑制する効果は認められませんでした。一方で、紫外線照射後に低下した明度の改善が確認されたことから、トマトジュースの継続飲用(12週間)は、紫外線により暗くなった肌の色調の回復を早める可能性があると考えられました。本効果の有効成分については、今後検討して参ります。
[画像1: http://prtimes.jp/i/10752/55/resize/d10752-55-532134-1.jpg ]
<まとめ>
◆トマトジュースの飲用により、日焼けにより暗くなった肌の色調の回復が促進される可能性があることをヒト試験により明らかにしました。
◆本研究成果は第30回日本カロテノイド研究談話会(2016年6月25日~26日)にて発表しました。
【研究の詳細とその分析】
■方法
25歳以上50歳未満の健康な日本人の男女75名に12 mgのリコピンを含むトマトジュース、24 mg以上のリコピンを含む高リコピントマトジュース、そして対照として2 mg以下のリコピンを含むトマト漿液飲料のいずれかを1日160 g(一缶)、12週間摂取していただき、上腕の内側に紫外線を照射した後の肌の赤みと明度(L値)とメラニン量(メラニン・インデックス)を経時的に測定することで肌の色調を評価しました。
■結果
1.紫外線照射後の肌の赤みに与える影響
トマトジュースを飲んだ方と対照群であるトマト漿(しょう)液(えき)飲料を飲んだ方を比較して、肌の赤みに有意な差は確認できませんでした。
2.紫外線照射後の肌の色調の低下に与える影響
トマトジュース(トマトジュース、高リコピントマトジュース)を飲んだ方は、対照群であるトマト漿液飲料を飲んだ方に比べて紫外線を浴びることにより暗くなった肌の色調の回復が促進されることがわかりました。
[画像2: http://prtimes.jp/i/10752/55/resize/d10752-55-759306-2.jpg ]
また、L値はメラニン量(メラニン・インデックス)と逆相関を示すことが知られています。本試験においても紫外線照射28日後のL値とメラニン量には、有意に高い逆相関が見られ、L値の変化はメラニンの生成と関与していることが示唆されました。このことを踏まえると、本試験において見られたトマトジュースの飲用によるL値の回復は、肌のメラニン量の減少によるものであると推察できます。
[画像3: http://prtimes.jp/i/10752/55/resize/d10752-55-473928-3.jpg ]
■トマトジュースの飲用による肌の色調の回復を改善するメカニズム
本試験において、紫外線により低下したL値の回復が改善したメカニズムとして、1.メラニンの生成が抑制されたことと、2.ターンオーバーが促進されたことが考えられます。
1.メラニンの生成抑制
紫外線を浴びるとメラニンが肌の内部で生成され、表皮に移行することで肌の色が決まります。本試験では、トマトジュースに含まれる成分により、メラニンの生成が抑制された可能性が考えられます。
2.ターンオーバー(新陳代謝)の促進
メラニンは肌のターンオーバーに伴い肌表面に押し出され、排出されると言われています。本試験では、ターンオーバーが促進されたことでメラニンの滞留が減少したことが考えられます。
[画像4: http://prtimes.jp/i/10752/55/resize/d10752-55-769435-4.jpg ]
■まとめ
トマトジュースの継続飲用(12週間)は、紫外線により暗くなった肌の色調の回復を早める可能性があることを確認しました。
■今後の展望
今後は、今回の試験では解明に至らなかった、肌の色調の回復を促進する有効成分やその作用メカニズムについて検証して参ります。
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