6月24日(火)に、世界8カ国でのクラウドファンディングのスタートを記念したトークイベント「旅人たちと巡る、世界の“認知症” 」の第一回が開催されました。
初回は欧米編ということで、アメリカ、フランス、ドイツから、それぞれの現場で活躍されている実践者の方にご登壇いただきました。
ライブ配信された本イベントは、多くの方が視聴しました。
※ issue+designは、認知症とともに幸せに生きるヒントを届けるため『認知症世界の歩き方』の実写映画化にチャレンジしています。映画についての詳細はこちら。制作支援のため国内外8か国でクラウドファンディングを実施しています。
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このイベントでは、各国の“旅人たち”(現地の認知症の実践者や研究者たち)とともに、認知症に対する新たな視点や取り組みを深掘りしていきます。認知症を巡る問題に取り組んでいる世界中の仲間たちと一緒に、さまざまな実践と経験をシェアし合い、国境を越えて理解を深めていきます。それぞれの地域で行われている先進的な取り組みや、文化や背景に根ざした“認知症との向き合い方”の多様性を知ることができる貴重な機会です。
イベントの初回となる今回は、欧米編!アメリカ、フランス、ドイツから、それぞれの現場で活躍する実践者の方々をお招きし、彼らが実施しているユニークな取り組みと、それにかける熱い思いを語っていただきました。地域ごとに異なる背景やアプローチを知り、認知症に対する理解を深めて、新しい視点を得るだけでなく、世界中の仲間たちと繋がり、共に未来に向けて踏み出すための第一歩となるでしょう。
イベント概要日時: 2025年6月24日(火)19:00~20:30
会場: オンライン(Zoom & Youtube Live)
<ゲスト>
山下貴司さん(アメリカ)
富樫一紀さん(フランス)
シュペネマン望さん(ドイツ)
<ホスト>
森雅貴(issue+design)
アーカイブ動画のリンク先イベントの様子はYouTubeにてアーカイブ公開中です。
当日の様子イントロダクション
issue+designの森より、これまでの取り組みや認知症をテーマとしたプロジェクト、そしてなぜ映画化に挑戦するのかについてお話ししました。そして、私たちissue+designの活動に共感してくださり、それぞれの国で認知症にまつわる活動を行う3名のゲストをお迎えし、活動内容や認知症という課題がそれぞれの国でどのように取り扱われてるかについて、お話を伺いしました。
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ゲストトーク
各国の印象的な取り組みや課題感などをそれぞれからお聞きしました。
アメリカ・山下さん
まずはじめに山下さんから、研究されている社会学と老年学の視点から、アメリカの認知症に対する取り組みと課題感についてお話しいただきました。
主なアメリカでの取り組みとしては、非営利団体がメモリーウォーク等の啓発活動を展開していること、大学などの研究機関では、VRを活用した認知症理解教育の研究も進んでいるとのことです。
しかし、連邦政府がアルツハイマー研究に多額の資金を投じている反面、医学中心で社会的視点が不足し、家族介護の限界や、有料サービスに頼る財政的な難しさが浮き彫りになっているとお話いただきました。
そのため、地域・社会全体で支える視点への転換が求められていることや、研究と実践が一部の人種・階層に偏ることを減らし、人口の多様性への対応などが課題となっているとのことです。
山下さんは「アメリカは医療依存から脱却し、地域や文化として認知症と向き合う必要がある」と問題提起し、神奈川県大和市の行政・学校・地域住民が一体となった認知症教育など、日本の取り組みから学べることが多いと繰り返し述べていました。
フランス・富樫さん
続いて富樫さんからは、ボランティア活動家としての活動や、活動を通して見えたフランスの認知症に対する取り組みと課題感についてお話いただきました。
フランスに拠点を置くNPO「GANBALO」を2011年の東日本大震災をきっかけに立ち上げ、福島の中学生をフランスに招いて自然体験をするサマーキャンプを毎年開催してきました。
その後、日本文化の発信へと活動の軸を移し、パリで百人一首や着物をテーマにしたイベントの開催や、「Japan Expo」にも出展。
出展をきっかけに「認知症」に関心を持ち、フランス語で認知症を意味する言葉が偏見を助長する恐れがあることに気づいたことで、脱偏見へ向け「認知症」という日本語そのものをフランスで普及させる試みを進めているとのことです。
今後は字幕付きの短編映像を用い、より多くのフランス人に認知症の理解を促す予定だとお話いただきました。富樫さんは、言葉と文化の力で、社会的課題への認識を広げようとされていました。
ドイツ・シュペネマンさん
最後に、シュペネマンさんからは、ドイツ全土で320名が参加する完全ボランティアの日本人向け介護支援団体の視点から、ドイツの認知症に対する取り組みと課題感についてお話しいただきました。
ヨーロッパで高齢化が進むドイツにおいて、高齢の在独日本人に向け、日本語での情報発信、訪問支援、相談活動を実施しているとのこと。
活動を通して、日本語を話せる医療・福祉専門家が少なく、日本語での支援体制が非常に限られていることや、高齢化とともにドイツ語能力が低下した方の認知症初期症状が外国語話者として見落とされやすいという問題があることに気づいたと言います。
日本語話者の高齢者が孤立しやすい現状に対し、認知症サポーターの育成や「チームオレンジ」の立ち上げを通じて、地域と連携した早期支援体制を構築したことをお話しいただきました。
今後は映画などの文化的手法で認知症の理解を広め、認知症に対する偏見を減らし、「オープンに語れる社会」にしていきたいと話しました。
シュペネマンさんは、言語の壁が早期発見を妨げる課題や、認知症への偏見を払拭するための実写映画の可能性についても言及され、文化や言語の違いを超えた共生について語られていました。
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クロストークでは各国においての認知症の向き合い方の現状が語られました。
アメリカでは社会課題はメディアの報道で認識が左右される傾向が強く、認知症は十分に報じられず関心が高まりにくいと指摘され、教育や啓発の重要性が強調されました。
フランスでも「demence(認知症)」という言葉への抵抗感が強く、当事者が自らを認知症と認めて語るということが難しい現状があるとのこと。だからこそ、映像を通じた理解促進が有効との意見が出ました。
ドイツも個人主義が根強く「自分のことは自分で決める・支える」文化があり、人に頼ることや迷惑をかけることへの抵抗感が強いとされています。そのため支援を求めるのは認知症が進行し、家族がどうにもできなくなってからで、軽度の段階で当事者が集まったり声を上げる場は稀だと述べられました。
他にも、「認知症世界の歩き方」の各国での可能性が語られました。
山下さんは、文化的多様性が大きいアメリカでは、映画もそれぞれが自分の目で見て自分で解釈するということになるので、日本での解釈がそのまま受け入れられるわけではないという難しさを指摘しました。他にも、年齢による偏見(エイジズム)があると言い、認知症が高齢者の印象になり、それが偏見や差別につながっているため、映像や映画で理解を広げる取り組みの重要性を強調しました。
冨樫さんは、フランスでは日本の歴史や文化に関心が持たれる可能性について述べ、そういった背景を交えた映像が共感を呼びやすいとし、ムーブメントとしての認知症の映画祭の開催が社会的影響を高める手段になるのではと提案しました。
最後に、シュペネマンさんは、ドイツでは日本発の取り組みは「長寿国の知恵」として期待され、映画が理解促進の鍵になるとし、当事者視点を伝える効果にも期待を寄せました。
最後に3名からコメントをいただきました。
山下さんは、自分の専門である教育者と研究者という役割を活かし、文化の違いを超えて助け合う考え方を広めたいと述べました。冨樫さんは「認知症」という言葉を世界共通語にしていこうと呼びかけました。そして、シュペネマンさんは、認知症を人生の一段階として安心して受け止められる社会を目指し、日本の取り組みを広めたいと語り、トークを締めくくりました。
今後の展開・お知らせ本イベントシリーズは、第2回目にイギリス編を6/29に、第3回目にアジア編も7/1に開催しています。
こちらのレポートもぜひお楽しみに。
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