ドクシルが描く未来 ~誰もが「最適な医療」を受けられる世界を...の画像はこちら >>


(左から)㈱ゲッカワークス 管理業務担当 高倉 賢さん、取締役副社長 田畑 貴也さん、代表取締役社長 大橋 茂樹さん、営業企画統括 桑名 正明さん



誰もが「最適な医療」を受けられる世界を創るーーこの理念を掲げ、2022年7月にアルフレッサホールディングス㈱の社内ベンチャーとして誕生し、同社取締役常務執行役員の大橋茂樹さんが代表取締役社長を務める㈱ゲッカワークス。医師同士がより広く知り合い、連携を深めることが患者様に最適な医療の提供につながり、かつ医療の地域間格差という課題を解消するその手段になると考え、医師専用コミュニケーションサービス「ドクシル」※1を開発・運用し、医師が必要な情報を見つけ、人的ネットワークを拡げる支援をしています。

2025年7月に設立3周年を迎えた㈱ゲッカワークスでドクシルの全体統括と開発をリードする取締役副社長 田畑貴也さんと、営業統括とアルフレッサグループとの連携を担う営業企画統括 桑名正明さんに、「オープンコミュニティ」という新機能を搭載してバージョンアップしたドクシルについて、詳しく話を伺いました。

ドクシルが描く未来 ~誰もが「最適な医療」を受けられる世界を創るゲッカワークスの挑戦~


※1 ご参考:ドクシル | 診療/業務効率化/人脈づくりに役立つ医師専用コミュニケーションサービス

誕生は、医師の「切実な声」から

21年間、アルフレッサ㈱でMS※2やその管理者を経験し、全国の医療機関を訪問してきた田畑さんは、医師たちが抱える「患者の疾患に合った専門医を紹介したいのに、専門分野の詳細がわからない」、「医療機関が協力して地域全体で医療体制を構築したいが、連携がうまくいかない」という切実な声を何度も耳にしました。「このままでは地域医療の連携は進まない。何とかデジタルの力で解決できないか…」そんな思いが田畑さんに芽生えたことがきっかけで、社内ベンチャーを立ち上げることを決意し、医師同士をつなぐドクシルが誕生したのです。

ドクシルが描く未来 ~誰もが「最適な医療」を受けられる世界を創るゲッカワークスの挑戦~


地域医療の連携に向けて、医師同士をつなぐドクシルに携わってきた田畑さん



ドクシルは、医師や医療機関の検索機能、名刺交換機能、メッセージ機能、全国へのお知らせ機能、誰もが構築できるコミュニティ機能等を備えています。例えば、感染症の流行時にタイムリーな情報を医師同士で共有し、患者様へのより効果的な治療の提供を支援することや、紹介先や逆紹介先を探す際、登録している医師の「得意分野」等を検索できる機能で、最適な連携先の医師を見つけ、つなげることができます。こうした「つなげる」機能が患者様の治療をスムーズに進め、医療現場の連携を円滑にし、医師の業務効率化にも貢献しています。

※2 MS(Marketing Specialist): マーケティング・スペシャリスト。医薬品の卸業における専門知識を持った営業員

災害時の診療体制支援に向けて

今年、3年目を迎えたドクシルは、ユーザーである主に医師の声をもとに、これまで数多くのアップデートを繰り返し、進化してきました。

地震や津波、豪雨などの災害発生時に、通常よりも多くの医療対象者が発生した際、ドクシルがどのように貢献できるかを模索するため、2025年6月、診療所の医師約250名を対象に災害に対する準備状況、課題を含む災害時における診療体制の実態に関するアンケートを行い、その調査結果を公表しました。

アンケートでは、災害時の診療体制について、備蓄や非常用電源などハード面の準備は進んでいる一方で、院内連絡網の整備、スタッフ向けの災害対応マニュアル、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)策定など、ソフト面の充実が望まれていることが明らかになりました。また、防災・災害対応に関する情報の仕入れ先が「特にない」との回答が約3割あり、必要な情報へのアクセスについて貢献できる余地が見つかりました。

ドクシルが描く未来 ~誰もが「最適な医療」を受けられる世界を創るゲッカワークスの挑戦~


ドクシルが描く未来 ~誰もが「最適な医療」を受けられる世界を創るゲッカワークスの挑戦~
ドクシルが描く未来 ~誰もが「最適な医療」を受けられる世界を創るゲッカワークスの挑戦~


災害時における診療体制について開業医へのアンケート結果(一部抜粋)

<アンケート調査結果はこちら>

災害時における診療体制について開業医へのアンケート結果を公表 | ㈱ゲッカワークスのプレスリリース

災害に対する準備は、「緊急ではないが重要」な活動

「『災害時に対する準備は、やらなければならないことと認識はされている』。加えて、『災害に関する情報共有の手段の確保が必要とされている』ことが見えてきました」とアンケートの実施と取りまとめを行った桑名さんは分析します。プログラマーとしてキャリアをスタートし、その後ヘルスケア業界で15年以上の経験を積み、MR※3として医師とのコミュニケーションも行ってきた桑名さんは、医師の過酷な働き方を現場で目の当たりにしており、「日頃の過密スケジュールの中で、災害時に備えた準備を同時に行うことは難しいのではないか」と言います。


田畑さんはこの調査結果を踏まえ、「災害に備える準備は、緊急ではないかもしれませんが、災害時の情報共有とともに、非常に重要なことですので、ここにドクシルを是非活用いただきたい」と述べています。

※3 MR(Medical Representative):医師や薬剤師に医薬品の情報の提供、収集、伝達を行う製薬企業の医薬情報担当者

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長年、ヘルスケア業界で医師の現場を見てきた経験から調査結果を分析する桑名さん

オープンコミュニティで「災害に対する準備」の場を提供

こうした課題を踏まえ、ドクシルに新たに実装されたのが「オープンコミュニティ」機能です。疾患など目的ごとにテーマを設定し、いくつかコミュニティを準備していますが、まずは「災害医療と防災推進フォーラム」をメインコミュニティの一つとして設定し、災害医療の課題や対策、準備について自由に意見交換ができる場を提供します。ドクシルに実装されている従来のプライベートコミュニティは招待されてはじめて参加できる仕組みですが、オープンコミュニティはドクシル会員であれば誰でも参加できます。「そのほかには、医師専用、MS専用のコミュニティや、認知症をテーマとした『認知症連携プラットフォーム』を立ち上げています。今後も、医師が直面する課題が存在するテーマを取り上げて拡充していきます。多方面からの英知を集めるため、製薬企業をはじめ、テーマに沿った企業・団体もオープンコミュニティに参加していただけます。このような方々の実践知に基づいた最適解を得て役立てていただけるよう、ドクシルで人々をつなぎたい」と田畑さんは言います。

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ドクシルの「オープンコミュニティ機能」を説明する(左から)田畑さんと桑名さん



災害時の医療現場をイメージすることの重要性

「災害時の医療現場では、普段慢性疾患を診ている内科の先生であっても、外科的な治療が必要な患者様に対応しなければならない状況もあります。しかし、その内科の先生は、ご専門の慢性疾患の診療を継続されることが本来の姿だと思うのです。災害時に派遣されるDMAT※4は、復旧作業や環境整備、基幹病院とのベッド調整や情報収集といった司令塔の役割を担われ、現場の医師が専門分野の診療に専念できるように支援されます。しかし、この役割分担が十分に理解されていないこともあると聞きます。災害発生前に役割分担を知っておいていただくことで精神的な準備ができ、有事における機能的な行動につながります。ドクシルのオープンコミュニティで、医師が自身の地域や診療所の災害時の状況をイメージしていただき、何が不足しているかを考えるきっかけとなるコンテンツを作成し、提供していく予定です。
「災害医療と防災推進フォーラム」の開設後、普段MRやMSにとって面談機会が少ない救急救命に関わる医師の方々数十名が参加されるなど、反響が大きく、驚いている」と田畑さんは語ります。

※4 DMAT(Disaster Medical Assistance Team): 医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職および事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チーム。

ドクシル進化の根底にある理念

桑名さんは、「過去、MRとして医師とのコミュニケーションを重ねてきた中で、生活習慣病が心血管疾患や重篤な合併症を引き起こすことを深く学び、その悪化を抑制することの重要性を強く実感しました」と語ります。この経験から「幅広く人々の健康を支えたい」という強い信念を持つようになり、「すべての人に、いきいきとした生活を創造しお届けする」というアルフレッサグループの理念に深く共感・共鳴しました。これが㈱ゲッカワークスへの入社を決意した動機であり、現在もドクシル推進の原動力となっています。また、高血圧治療アプリ開発のキャリアから、「デジタル技術を導入するだけでは人は動きません。医療現場に精通したMSの知見や、ドクシルのユーザーである医師の行動等、リアルな状況を理解した上で、デジタルとリアルの両輪を融合させることが不可欠です」と桑名さんは力説します。アルフレッサグループ理念をベースに㈱ゲッカワークスが目指す「誰もが『最適な医療』を受けられる世界を創る」ため、ドクシルは日々進化を続けていきます。

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デジタルとリアルの両輪を融合させることが不可欠と述べる桑名さん



私たち医薬品卸が持続可能な地域医療に貢献できること

田畑さんは、医薬品卸の役割を「患者様のために医療機関が適切な医療を提供できる環境をつくること」とわかりやすく定義します。「患者様を診察して治療できるのは医療機関で働く方々であり、私たち医薬品卸は患者様と直接関わることはありません。しかし、医療機関で働く方々がいつでもきちんと治療できる環境を私たちは下支えしていると自負しています。私たち医薬品卸の仕事のキーワードは『つなぐ』です。当社グループのMSは多くの医師と直接お会いし、お話しできる機会があります。
この医師と面談できるという強みを持ち『つなぐ』活動に取り組める業種は私たち医薬品卸だけです。リアルのMS活動とそれを補完するデジタルのドクシルを融合することで、潜在的な地域医療の課題にアプローチして解決に取り組み、持続可能な地域医療の実現に貢献していきます」と田畑さんは力強く未来を見据えます。

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持続可能な地域医療の実現に向けて、ドクシルで貢献していきたいと語る田畑さん



noteで、田畑さんがドクシルに込めた想いや機能を詳しく紹介していますので、こちらもご覧ください。

ドクシルについて|「ドクシル」プロダクトオーナー田畑貴也@(株)ゲッカワークス|note

ドクシルが描く未来 ~誰もが「最適な医療」を受けられる世界を創るゲッカワークスの挑戦~


(左から)㈱ゲッカワークス 取締役副社長 田畑 貴也さん、管理業務担当 高倉 賢さん、代表取締役社長 大橋 茂樹さん、営業企画統括 桑名 正明さん

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