トリプルスリーアーキテクツは横浜に拠点を置く建築設計事務所です。代表者である宇津木喬行は、高級ブランドの店舗設計や住宅設計を経験し、クライアントの豊かな時間をつくることを目標に本事務所を立ち上げました。

賃貸併用住宅「Isecho NEST」では、今までにない新しい住宅のあり方を提案し、Good Design賞など数々の賞を受賞、BRUTUS「建築を楽しむ教科書」等のメディアに掲載されています。



建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の...の画像はこちら >>


(Good Design賞など数々の賞を受賞した「Isecho NEST」)



建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。




建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


(今回ご紹介する「van hotel」のリビング。ホテルステイのような空間)

また、宇津木のキャンプ好きが高じて、キャンプ場のリノベーションや、キャンプギアメーカーとの協働などを行っていることがユニークな点で、

これからご紹介する「van hotel」も、宇津木がキャンピングカーをレンタルしたときの気付きからスタートしました。

このストーリーでは、設計事務所としては全く新しい領域へチャレンジするサービス

「van hotel」誕生の裏側と、このサービスの特徴をご紹介します。

/トリプルスリーアーキテクツ一級建築士事務所

キャンピングカーを建築家が本気で作ったらどうなるだろう?

宇津木が代表を務めるトリプルスリーアーキテクツでは、建築に限らず内装の設計に携わる際に「気持ちの良さ」が根本的な要素であると考えています。何を「気持ちが良い」と思うかは人それぞれですが、クライアントと一緒になってそれを解読するプロセスを何より大切に設計しています。

宇津木が度々キャンプをするなかで、キャンプが人を惹きつけるのは外で昼夜を過ごす非日常体験のみでなく、自然の中に長く佇む気持ちよさが根本的にあると考えます。だからこそ、なるべく自分にとって居心地の良い場所を選び、そこにテントを張る。キャンプ場は、人それぞれの気持ち良い場所を感じとれる絶好の場所でもあります。



建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


(キッチン・オーニングが拡張し、空間が広がる)



建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


(外に拡張するテラス)

今回ご紹介する「van hotel」は、宇津木がそんな経験をする中で、ユーザーが自分の好きな場所を自由に選び、気軽に泊まることができる上質なホテルを作ろうとしたことがきっかけです。

建築設計の職能を活かして「住宅をリノベーションするように車の内装を設計・デザインして、普段協働している熟練した職人さんの手仕事によってつくりあげることは私たちでもできるのではないか?」という気づきがありました。

移動しながらホテルのような居心地をつくりたい

「van hotel」では、キャンピングカーを上質で居心地の良い「部屋」、まさに「移動するホテル」へと進化させ、今までなかった移動しながら泊まるホテルという新しい旅のスタイルを提供し、ユーザーに「豊かな時間」を味わっていただきたいと考えています。

建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


上質なホテルを持ち運ぶ新しい旅のスタイルを確立したい

「上質な空間を持ち運ぶ」という新しい旅スタイルをつくることによって、日本を隅々まで楽しむ経験を、ユーザーと一緒につくりたいと考えています。

まずは一台からスタートします。たった一台だからこそ、私達や使ってくださる方々で素敵な旅をシェアしあえる豊かなコミュニティをつくっていきたいと思っています。

現在WEBサイトを構築中ですが、そんな情報がシェアできるインタラクティブなものにしていきたいと思っています。

また、この先の目標として、自邸を建築家に頼むように、マイキャンピングカーもこだわりをもって建築家と一緒に作り上げるサービスを見据えています。

建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


(1枚目)1階:通常使用時

(2枚目)1階:就寝時はベットとして利用できる

(3枚目)2階:バンクベッド

キャンピングカーの質の向上

コロナ禍において、人々は集団としての生活の断絶を余儀なくされ、在宅ワークやオンライン化など個々の身の回りの質を向上させていく流れが生まれました。その中で乗用車としての機動性、生活としてのプライベート空間を兼ね備えたキャンピングカーは一層に人々の需要が増えました。

しかし、既存のキャンピングカーはまだ車両としての要素が強く、空間として旅行先のホテルや旅館などと比較すると満足しえないのが課題であると考えます。

van hotelは私たちの建築設計事務所の経験や知識を活かして、キャンピンカーにおける空間の質の向上を目指します。車両としての空間に縛られず、宿泊し暮らす空間として、内装材やディテールにこだわり、今までキャンピングカーに手の出しづらかったミレニアル世代を中心に利用していただけるよう提案し、国内キャンピングカー市場に一層の賑わいと活気を創りたいという想いから創立に至りました。

建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


(自然由来の素材を使用した内装)



建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


(車両の動きに柔軟に対応するラタン材をキーマテリアルとして使用することで、デザイン性を高めるとともに、快適な室内環境を提供します)

生活圏の拡大

近年都市の過密化から、コロナ禍を経て地方移住への価値感も高まりつつあります。

しかし、知らない土地へ定住するという事は自分の慣れ親しんだ生活圏を外れ、新しくその地域への順応の必要性に迫られます。

「van hotel」はホテルよりも地域に近く、キャンピングカーよりも暮らしに接した、その地方での長期滞在を可能にします。暮らしながら旅をし、その過程で自分に合った地域を見つけ、都市からの移住の足掛かりにする。これからの全国に広がる移住の方法の一つとして提案します。



建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


(1階と2階にそれぞれベッドルームがあるので、ゆったり眠りにつけます)

建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


(可動式のカウンターを広げれば大きなテーブルに)

過疎地域の観光インフラへの活用

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による入国制限を経て、徐々にインバウンド需要が戻りつつあります。日本全国への鉄道網や高速道路の整備などが進み、その中で海外からの旅行者も日本の新しい魅力の発見に全国を隅々観光する層も出てきます。

宿泊施設が少ない過疎地域や自転車等での移動も難しい山間部など、「van hotel」と共に周れば全国どこでもホテルのように快適に過ごせる空間になります。



地域としても知ってもらう機会が生まれ、旅行者としても快適に好きな場所に訪問でき、双方に良い連鎖が生まれると考えます。





実現までの険しいみちのり

「van hotel」の誕生までに、数々の困難に直面しました。なにしろ、車両の設計というまったく新しい挑戦だったので、車両の法規や構造を理解するところからスタートです。常に動く、歪むという特性を持つ車両の設計は、それまでの建築設計の経験が必ずしも活かせず、新たな視点が必要となり、思うように設計が進みませんでした。また、今回はいつも建築工事をお願いしている施工者との協働だったため、内装工事も、大工さんとの密接な調整が必要でした。

協力してくれる業者さんとの調整、設計期間や融資の相談など、構想から数えると、車両の完成まで実に3年ほどかかりました。

建築家がキャンピングカーを本気で“リノベーション”。車中泊の概念を忘れる、ホテルステイのような空間ができるまで。


(左:熟練した職人さんの手仕事によって、左官壁を塗っていく

右:キーマテリアルの「ラタン」を使って、扉を試行錯誤しながら作っていく

vanhotel公式instagramより)

また、新規事業ということで運営面の不安や、事業再構築補助金に関する手続きの困難さもありました。しかし、これら全ての苦労も、「van hotel」が生み出す豊かな時間を想像すると頑張れました。

皆さんと一緒にこの「van hotel」を育てていけたらこんなに嬉しいことはありません。ぜひご利用いただければ幸いです。どうぞよろしくお願い致します。



商品情報・プロジェクト情報URLなど

このサービスを体験するためには

公式WEBサイトにて予約を受け付けております。

van hotel 公式 HP:https://www.vanhotel.jp/



vanhotelに関しての情報や設計事務所の日々の様子は、Instagramで発信しています。

ぜひ、フォローいただけたら幸いです。



van hotel 公式 Instagram:https://instagram.com/vanhotel_official

設備

カセットコンロ(2口)、シンク/水栓、冷蔵庫 (容量73L)、Bluetoothスピーカー、シャワー(水のみ)、ポータブルトイレ、アウトドアチェア、アウトドアテーブル、焚火台、傘、食器、歯ブラシ、タオル、パジャマ、クレンジング、基礎化粧品、etc…

定員:4名(快適人数・大人2名)

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