なぜ私は“眉“で世界2位に輝いたのか?
アートメイクというものをご存知でしょうか?
アートメイクとは、皮膚のごく浅い層に専用の針で色素を入れ、眉毛やアイライン、唇のを美しく整える技術です。
眉アートメイク作品①(上:施術直後、下:施術前)
中でも「眉毛」のアートメイクは、
眉毛が少ない方にも“本当に毛が生えているように見せる”ことができる技術です。
そんなアートメイクの世界では、今や世界大会も開催され、
高度なデザイン力や毛並みの繊細さなど、世界基準の技術が競われています。
その大会で、私は日本人として初めて、
**準優勝(第2位)**という評価をいただきました。
“眉毛”だけで世界に挑戦し、世界のプロたちから認められたのです。

眉アートメイク作品②(上:施術前、下:施術直後)
眉毛は、ただ顔の一部ではなく、
その人の“印象”も“自信”も、“人生”までも変えてしまう力を持っている。
私はそれを、毎日の施術と、お客様の声を通じて、確信しています。
このストーリーは、そんな**「眉毛にすべてを懸けた」私の軌跡**です。
Q1:アートメイクアーティストを目指したきっかけは?
私がこの仕事に出会ったのは、SNSでアートメイクという職業を知ったときでした。
もともと私は、小さい頃から手先を使う細かい作業が得意で、美容やメイクも大好き。
さらに、人と話すのも好きで、丁寧なカウンセリングが必要なこの仕事に「これだ」と思いました。
以前は美容看護師として働いていましたが、
「最初から最後まで、お客様の美に携われる仕事がしたい」と思うようになり、アートメイクの道へ進みました。

よくお客様や友人から「どんなときが一番楽しい?」と聞かれます。
もちろん施術中も楽しいですが、それと同じくらい「コツコツと一人で練習している時間」も好きです。
まるで研究者のように、自分の技術と作品に向き合い、日々研鑽している時間こそが、私にとっての原点です。
お客様が「とっても満足です」と言ってくださっても、私は何度も眉毛や顔全体を確認し、納得いくまで細かく修正を重ねます。
最後までこだわり抜くこと。絶対に妥協しないこと。
それが私のスタイルです。
Q2:日本大会で2連覇に繋がった理由は?

初めて日本大会に出場したときには、自分の技術には自信を持っていましたが、
審査されるという経験は初めてで、やはり緊張しました。
大会当日に自分の力を最大限に発揮するのは、簡単なことではありません。
2回目の大会では、前回の優勝者として見られることのプレッシャーが大きく、
「今回も優勝して当然」というような目で見られることも増えました。
お客様の期待に応えたいという気持ちも強く、とてもプレッシャーを感じていました。
ですが、自分の技術を信じ、毎日コツコツと練習し、細部までこだわり抜いた結果、
日本国内で2大会連続で優勝することができました。
Q3:世界大会2位という実績について教えてください

私は、
Browista World Championship(オランダ)
WULOP Championship(トルコ)
に日本代表として参加し、どちらも人工皮膚ではなく、実際に人(モデル)に施術をして技術を競う部門で出場しました。
人工皮膚で競う形式の大会も多い中、より実践的な技術が求められる大会に出場できたことは大きな経験でした。

世界大会決勝当日@オランダ・ロッテルダム
審査項目は非常に細かく、完成度だけではなく、
- 毛並みの繊細さ
- 線の美しさ
- 左右の対称性
- 眉毛のデザインバランス
など、総合的な技術力が厳しく評価されます。
私はその中で繊細な毛並み技術が評価され、
「世界2位」という結果をいただきました。

このような規模の大きい世界大会で、かつ、ライブモデル方式(実際に人に施術を行う)での競技による世界2位という結果は、“日本人として初の快挙“でした。
世界大会受賞の瞬間の動画⇦こちらからご覧いただけます。

名前を呼ばれてステージへ上がった様子
私が評価されたのは、日本人らしい繊細さだけではありません。
むしろ、世界の審査基準を徹底的に研究し、“世界でも通用する眉”を自ら設計し、技術として表現できたこと──
「本当に毛が生えているように見える」ためのリアルさと、再現性の高さでした。

Q4:印象的だったお客様とのエピソードはありますか?
とても印象に残っているのは、全身脱毛症のあるお客様「Aさん」との出会いです。
彼女は病気をきっかけに眉毛も髪の毛もすべて脱毛し、人との関わり自体が精神的辛く、外出すらできない日々を過ごしていました。
アートメイクを受けたい気持ちはあっても、眉毛も髪の毛もない自分を見せることに強いストレスを感じて、なかなか一歩を踏み出せなかったといいます。

眉アートメイク作品③(左:施術前、右:施術直後)
そんな中で、私のインスタグラムでの作品だけでなく、アートメイクに対する思い・姿勢を見て、
「この人ならすべてを任せられる」と思って、勇気を出して予約してくださったそうです。
施術後、鏡を見た彼女は「本当に綺麗、、、。」と感動された後、
「私の眉毛を、自分自身の眉毛かのように本当に丁寧に描いてくれて、何度も確認して、何度も気になるところがないか聞いてくれて、私の眉毛のためにこんなに真剣になってくれる人がいるんだって感動してしまいました。」
と涙を浮かべながら話してくれました。
また、「大会で何度も受賞されているのに、今も毎日練習を続けていると知って、私も何かに挑戦してみたいと思いました。」と言っていただけたことも、とても嬉しかったです。

世界中から精鋭が集まった世界大会での様子
Q5:今後の目標について教えてください
今後も技術を通して、一人でも多くの悩んでいる方に寄り添って、手助けができればと思っています。
また、SNSを通じて私のアートメイクの作品を見て、感動してくださるのは、お客様だけではありません。
これからアートメイクアーティストを目指す方や、すでに経験を積んでいる方からも、
「さゆりさんの作品を見て練習をしています」や、「技術を学びたい」とメッセージをいただくことが増えてきました。
私自身もより一層、研鑽し続けなければと感じています。

現在では海外大会、日本大会で審査員を務める
そして改めて──なぜ私の眉が、世界に評価されたのか?
世界を驚かせたのは、ただ線を美しく揃える技術ではありませんでした。
一本一本に“本当に毛が生えているように見せる”ための、
緻密かつ、「感覚」と「計算」が融合した毛並みのデザイン力。
そして、“日本人らしさ”にとどまらない、世界に届く設計力でした。私はこれからも、自分にしか描けない眉で、誰かの一歩を後押しし続けていきたいと思います。
代表:畑中さゆり
