不定期にいま気になるレコードショップへお邪魔し、店主へ直接はなしを聞きにいく新企画「Get To Know」がスタート。第一回目は大阪のFLAKE RECORDSへ。

「FLAKEのDAWAさん」と言えば、人によっては膨大なツイートやミュージシャンとの交流(もしくは親交)など、いわずとしれたキーマン的存在だろう。LOSTAGEやPredawn、CHAIやドミコ、TENDOUJIのFLAKE独自盤、海外からはPETAL、AIMING FOR ENRIKE、SONDRE LERCHE、SUPERCRUSHなどの日本盤のリリースや来日ライブの招聘も行う。そんな多忙なDAWAさんこと和田貴博の本拠地(!?)FLAKE RECORDS。海外のサイトBuzzfeedの「アナタが死ぬ前までに訪れるべき魅力的な世界のレコード店 27選」にもピックアップされた、大阪・堀江から今日も音楽を発信するこの店の特徴をDAWA本人の発言から探ってみた。

Interview:DAWA(FLAKE RECORDS)

Get To Know Vol.1 FLAKE RECORDS

ーーまずFLAKE RECORDSを始めたきっかけを教えて頂いてもいいですか?もともとバンドをやっていて、その流れでCDショップでバイトを始めるんです。僕、結構早めにインターネットにハマって、自分のホームページ作って勝手に行ったライブやCDのレビューを書いたりしていたんですよ。あとは日本のメロコア、エアジャムの周りの人たちのバンドのHPに行ってチャットしてたら、同じような趣味の仲間が増えて行って、その中に他のレコード屋の店長がいたんです。そしたらそのレコード屋が事業を拡大するからこっちに来ないかーーまぁヘットハンティングでそのレコード屋に入るんですよ。そこで今やってることとほぼ同じ様なことーーバイヤーとして海外のレコードを仕入れる、レーベルを立ち上げて日本盤のCDを出す、イベントを企画する、とか。でも、そのレコード屋は潰れて。その前のレコード屋でCDリリースを手伝ってた友達のバンドがいたんですね。そいつが、このまま辞めるのもったいないしせっかく人脈も出来たしノウハウもあるし、手伝うから一緒にやろうよみたいな感じで、準備を始めるんです。その準備期間は2年くらい、色んな所からお金を借りてきて。

ーーそういう経緯だったんですね。ところで今の主力ジャンルはどんな感じですか?コレクター気質というか、手にしておきたい傾向があるので、結局アメリカのインディーロックが安定してずっと売れてるんですよ。世間とは全然違う。いわゆる<FUJI ROCK FESTIVAL>や<SUMMER SONIC>のヘッドライナーとります、みたいなネームバリューのある人は逆にうちでは売れないですね、今の時代はどこでも買えるようになったから。ーーニッチな、本当にコアな人が多いんですねですね。今売れてるのはUSインディーロック。一時期はUKはギターロック新人がアークティック(・モンキーズ)以降ぶわーって出てきてて、皆7インチを出してたんですけど、今はそのカルチャーがなくなって、7インチが出ないんです、イギリスでは。ーーFLAKE RECORDSの特色、他とは違う強みみたいなところってありますか?強みは結局、僕個人のパワーがあるというか、僕の店みたいな部分が強いんで、その動きをちゃんと反映できればなというのと、同時にできてるからかなっていうのはあったりします。週5~6回はライブを観に行ってるし、皆と飲みにも行くし。そこそこキャリアもあって長年やってきてるんで、ベテランの憧れられてるようなバンドの人たちとも友達だし、出てきたばっかの19や20歳くらいの子も頼ってくれるしみたいなのが、いいように見えてるような気はします。他のレコード屋の人は「誰がやってるか分からない」こともあると思うので。僕はもうFLAKE RECORDSとイコールになってるんで。
フットワークもそうですし、それが反映できてるからちょっとなんとかなってんのか、とか。

Get To Know Vol.1 FLAKE RECORDS
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ーーバンドとちゃんとコミュニケーションを取るというか、信頼関係を築いてくっていう?でも、僕面倒くさがりやし、愛想も良くないから初対面は苦手やし。だから仲良くなる人も限られてて、仲良くなったからってその隣の人とは仲良くなれないことが多いというか、友達の友達は知らない人なんで。アーティストも、面倒臭いアーティストの方が仲良くなってるような気がします。あんまり心開かない子達、みたいな。ーーレーベル設立のきっかけはどういった流れで? 元々レコード屋のバイヤーなので、「いいな」と思ったのを10枚仕入れて10枚売ろうっていうのの延長で、いいなと思って、じゃ日本呼びたいなとか、もっと売りたいなの延長でCDを出してるだけなので。それもしてとの交渉が纏まればですけどね。ーーいいな、って思うポイントってどういうところですか。そこは感覚なんですよね、僕。凄いブレるんで、時期によっても時代によっても違うから。でも別にそれがいいなと思ってて。頑固になりたくないというか。

でも逆にそれが頑固に感じられるかもしれないですけど。ブレちゃいます、むっちゃくちゃ。今「いい」と思うのが「いいな」と思うんで。ーーそれがお店の色になってるっていう事なんですね。なってればいいですけどね。でも本当にうちのように新譜を売ってる個人店がないので。もっとニッチにーー例えばエモとかパンク寄りのお店とかはあるけど、ちょっとオーバグランドの日本のバンドも置いてたりするっていう店があんまりなくて。

Get To Know Vol.1 FLAKE RECORDS
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ーーFLAKEに行けば自分の好きなものが見つかりそうな感じがすごいありますよね。どうなんでしょう(笑)。偏ってるんで。例えば日本のインディーバンド扱ってますっていっても、何となく色があって。今だと「あのへんが仲良いからあのへんが多い」とかになってきますよね。

TENDOUJIとか。300人動員でなんとか頑張ってる人たち、みたいな。もうホールとかZeppとかには行ってない人たちが一番「売りやすい」、っていうと語弊があるかもしれないですけど、売れるところです。ーーところでストリーミングにはないアナログの魅力ってどんなところだと思いますか?アナログ、っていうかフィジカルは「買った時」が究極で、その後聴くかどうかは付属の話のような気がしてて、「持っている」ということに満足感がある。「レコードは音がいい」ってそういう話があるじゃないですか、でもあれはもうハード次第というか。良い音響、良い機械、良いスピーカー、良いレコード針で聴かないと音の良さなんて分からなくて。簡易の一万円くらいのやつで聴いて音が良い訳がないんですよ。だから音の良さでレコードがいいというのは全く思ってなくて、音の悪いレコードもむっちゃあるし。とりあえずもう「買った」時にすごい満足をするというか。それがレコードの魅力と言えば魅力ですよね。でもそれはCDもカセットも一緒だと思うんですけど、それを上回るのは「ジャケットが大きい」っていうところ。ーープレゼントとかにもいいですよね。
いいと思う、ポストカードとかと同じ様な感覚で、しかも音も聴ける訳だし。レコードのジャケットはボロボロになってもいい気がしてて。CDとかケースがボロボロだと嫌になるけど、レコードのジャケットがちょっと破れてたりっていうのも何かすごい良くて。それを誰かにあげるっていうのもすごい好きなことで。今の若い子が昔お父さんの聴いてたビートルズを聴いてる、あぁいいなぁと思う。それはデータじゃできないし。死んだ親父からMP3が何年後かに送られてきたとか、そんなん面白くないから。そういう意味ではレコードって「物」として丁度いい存在感で、CDとかカセットよりはやっぱりいいのかなぁと思ったりはします。ーー逆にSpotifyなどのサブスクリプション・サービスは知らないことまで掘り下げれるっていう感じがしますねバイヤーとして仕入れるのにサンプル聴くのにも使えるし。仕入れってメールで文字情報だけが来るわけですよ。で、ちょっとだけ売り文句があって。で「これどんなんやろ」って思ってSpotify検索すると大概あるんですよ、先行曲とか。
それ聴いて「何枚仕入れよかな」とかにも使えるし。今はうまく回ってますね、そこは。図書館みたいなものじゃないですか。自分の聴いてた古い曲もすぐ探して聴けるし。一般的には新しい音楽の方が強くて一杯あるし。僕、全部自分でコメントを書いてるので仕事にはすごい役に立ってる。ーー「図書館」って例えはしっくりきました。すごく分かります。僕らレンタルレコード屋とかレンタルCD屋とかもう行きまくってたんで、サブスクはレコード屋がここ(手の中)にあるようなもんなんで、すごい便利。ーー最後の質問なんですが、和田さんにとって音楽ってどんな存在ですか?どんな……どうなんでしょう。一番の趣味というか、趣味を超えてるんで、多分ずっと、死ぬまでずっと一緒にあるものだと思う。自分が動かされているものの全ては「音楽」のような気がするので。何をするにあたっても。でも結婚して子供出来たら全部捨てるんじゃないかなとか思ったりもしてる。今すごい自由なのでこのままできてるけど、例えば子供出来たりしたら、そうならないと分からないなとは思ってて。全部を捨ててどこかに行きたいって衝動はずっとあるんですよ、駆け落ちしたいなとか(笑)。それくらいの事が起きて欲しいなっていう願望があって。だから、わかんないですけどね。でもとりあえず今は一番好きなものですね。

Get To Know Vol.1 FLAKE RECORDS

飄々とした表情を浮かべながら本気なのかどうか、妄想?逃避願望?もちらっとこぼしたDAWAさん。SNSでよく見かけるDAWAさんはどこか架空の世界に存在するキャラクターのようだが、FLAKE RECORDSの扉を開けばそこにいる。今回インタビューしてわかったのは、DAWAさんの人間味こそがFLAKE RECORDSの最大の魅力だということだ。彼のヒューマンパワーとセンスでセレクトされたここでしか出会えないレコードやCDが必ずあるはず。ぜひFLAKE RECORDSに足を踏み入れてみては?

Text by mao oyaPhoto by Kazma Kobayashi

FLAKE RECORDS

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FLAKE RECORDS

〒550-0015 大阪市西区南堀江1-11-9 SONO四ツ橋ビル201http://www.flakerecords.com/

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