
INTERVIEW:Mayu Huang
Mayuさんは日系の旅行代理店で働く台北女子。これまで音楽イベントでの通訳やレーベル活動をこなし、台湾/日本双方のインディーズシーンを知る事情通です。そんな彼女に、現場の様子について聞きました。 ━━今年の<大港開唱 Megaport Festival>は、一部オンライン中継があり、日本からその様子を大変うらやましく眺めていたところです。これまで海外のアーティストを積極的に誘致したラインナップが、今回は国内アーティストのみということで、チケットの販売状況などはいかがでしたか。 チケットの売れ行きは、前年よりもむしろ勢いを増していました。これまでの<大港開唱 Megaport Festival>では、当日券が出ていた記憶があります。しかし今回は、暇つぶしに飢えた新規のお客さんたちがチケットを購入したことで、2日間の通し券が完売。これまでインディーズ音楽を聞いてこなかったと思われるお客さんも多く来場していました。これにより、新規ファンのマナー問題が取り上げられつつあります。ベテランと新規の融合は暫し時間がかかりそうですね。 ━━なるほど。いずれにせよチケットが売れることは、市場にとって喜ばしいことだと思ってしまいます。 加えて、フェスのチケットが「転売ヤー」に狙われ、転売価格は、2日間の通し券が本来2500元(約9600円)のところ、80000元(約30万8000円)で販売されていました。 ━━それはぶっとんだ価格ですね。 転売ヤーに狙われるのは、<大港開唱 Megaport Festival>だけではありません。小さなフェスについても同様との話を聞いています。<大港開唱 Megaport Festival>のチケットの価値が向上したことで、1日券を有名アーティストのライブチケットと交換しようとする動きもありました。周りでは、<大港開唱 Megaport Festival>の1日券と、人気バンド、たとえば告五人 Accusefive、草東沒有派對 No Party For Cao Dongのライブチケットが取引されていた、と聞いています。 ━━物々交換になってる。出演者に変化はありましたか。 <大港開唱 Megaport Festival>は、インディーズアーティストがメインの音楽フェスティバルで、例年は、メジャーシーンからも複数アーティストが出演します。今年は、台湾のメジャーシーンを代表するビビアン・スーや、TPE48(AKB48の台湾支店)らが出演していたのが新鮮でした。一般的に台湾のメジャーアーティストは、中国のメディアに出演する機会が多いです。あくまで私見ですが、今回コロナ情勢下で中国へ渡航がしにくいため、ビビアンスーなどの「大物アーティスト」もインディーズ音楽メインの大港開唱に参加する意欲が高まった結果ではないでしょうか。 ━━会場の環境変化はありましたか。 前回開催時の2019年と比べ、全体の広さが増し、ステージ構成に変化がありました。2019年までは、会場の入り口からメインステージ 南覇天まで、歩いて15分程度だったかと思います。それが今回会場が広くなったことで、歩くと30分ほどかかるまでになりました。そのため多くの人々は、高雄輕軌とよばれるライトレールで会場内を移動しました。


━━防疫体制を教えてください。 マスク着用が義務付けられており、アルバイトスタッフが「マスクをしてください」という看板を掲げている様子が全域でみられるほか、大きく掲示もされていました。


純情夢︱必順鄉村
台湾で注目のネオソウルアーティスト、雷擎(レイチン)が新しくつくったバンド、水源も良かったです。 今どきのチルサウンドに台湾っぽい雰囲気があり、台湾語の曲もあるので、海外のリスナーさんにも受けが良いのではないかと思います。
【取材後記】
今回の取材を通して、2021年の情報にアップデートされました。<大港開唱 Megaport Festival>は、台湾を象徴する音楽フェスティバルであり、その変化を追うことは重要です。 次回は、出演者側に話を聞くことで、「プチ鎖国状態」をぶっこわしていきたいと存じます。TEXT:中村めぐみ
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