Qeticでは『アートブックノススメ』として、毎月編集部がピックアップしたアートブックを紹介しています。
今回は年末年始特別版として、アーティストやクリエイターがオススメする書籍をご紹介! アーティストたちの本棚にはどんな本が並んでいるのか、中でもオススメの一冊とは!? リアルな本棚の写真や、お気に入り書籍の紹介コメントも。
今回は、今年2月にソロ名義で1st EP『Countless』をリリースしたCOBA5000が『五分後の世界』/村上龍をピックアップ!
COBA5000 -『五分後の世界』/村上龍

数年前に乾くるみの『イニシエーション・ラブ』を読んで以来、叙述トリックを用いた作品をはじめ、どんでん返し系やイヤミス系のミステリー小説ばかり読んでいます。なので、本来はフレッシュな気持ちでミステリー小説をオススメするべきなのかもしれませんが、今回ピックアップするのは全くの別物です。せっかくこのような機会をいただいたので、ズバッと自分のバイブルを紹介しようと思います。
村上龍の『五分後の世界』。十数年前に友人から借りて読んだのが初めてで、たぶん3回ぐらい買い直してます。「もし第二次世界大戦で日本が降伏せず地下に潜伏し戦い続けていたら」という設定のSFなんですが、本当にその世界線が実在していてもおかしくないと思えるほどリアルです。その世界特有の国際情勢や日本人の威厳、生活、会話、ドラッグから音楽まで、精細な筆致によって描かれていて、とにかく序盤から一気に引き込まれます。そして、物語がひとつの大きなうねりとなって展開していく。そのパワーたるやとんでもないです。冒頭も途中も最後も完璧。
自分は20代でこの本に出会って“音楽的に”かなり影響を受けたので、もしかするとこれを読んで世の中の見え方がちょっと変わる人もいるかもしれません。特にラッパーやビートメーカーの方は読んで損はないと思います。続編の『ヒュウガ・ウイルス』もまた違った緊張感があって面白いですし、もっと重ためなら『愛と幻想のファシズム』や『半島を出よ』もオススメです。

今年はEPとシングルをリリースしたんですが、サポートしてくれた人がいろいろいて、感謝の多い一年になりました。今は活動のスケールが小さいうえに自分の頭の中だけで成立しちゃってる事柄が多いんですが、そこに「生」な感触と広がりを与えてくれた人たちには特に感謝してます。手や知恵を貸してもらえるタイミングも、不思議と全部が噛み合ってて。一人では絶対にできないので、本当にありがたいことです。
来年は、なるべく早く次のEPをリリースしたいと思ってます。あと、NaBTokと一緒にやっているMAXIRIESのYouTubeチャンネルでも引き続き何かクリエイティブなものを発信していく予定です。2022年の目標は、とにかくキーポン!って感じです。皆様も、良いお年をお迎えください!
『五分後の世界』/村上龍PROFILE
COBA5000

2003年頃まで、ZAGSYSTEMのMC兼ビートメーカーとして都内を中心に活動。B-BOY PARK 2003 MC BATTLE本戦、UMB2005 GRAND CHAMPIONSHIP、UMB2007 GRAND CHAMPIONSHIPに出場するなど、MCバトル黎明期に数々の戦歴を残す。2006年には自身の所属するWAQWADOMで1st Albumをリリースし、アンダーグラウンドシーンで大きな話題を呼んだ。その後、ソロでの活動を続け、2011年に地元千葉のクルーKOGAI UNITで1st Albumをドロップ。2012年にはプロデュースチームMAXIRIESで1st Albumをリリースした。
RELEASE INFORMATION
Digital Jungle

Into Da Swamp

Countless

Tracklist
1.Write Back
2.招かれざる客
3.Empire
4.smaholic
5.マズルフラッシュ
6.Everyday We Get
7.52 Bars
Lyrics by COBA5000
All Produced by NaBTok
Mixing & Mastering by NaBTok
Artwork by COBA5000
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