
今年の天皇杯で旋風を巻き起こした東洋大学。
1回戦で仙台大学を4-2と下すと、2回戦では柏レイソルに2-0、3回戦でもアルビレックス新潟に2-1と、J1勢をアウェイで次々と撃破。
2024年度の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)において、初の全国制覇を達成するなど近年名を上げている東洋大学体育会サッカー部。彼らがこれまでに輩出した「最強の5人」を紹介する。
馬渡和彰
1991年6月23日生まれ
まずは馬渡和彰。プロ入りから12年で9つのJクラブを渡り歩いてきた、Jリーグ史上屈指の“渡り鳥”だ(過去在籍したクラブへの復帰はゼロ!)。
東京都世田谷区出身で、市立船橋高校から東洋大学を経て、2014年にガイナーレ鳥取でプロ入り。大学時代から攻撃センスあふれるサイドバックとして注目されてきた馬渡は、プロ1年目から21試合5ゴールと結果を残す。
2016年にツエーゲン金沢へ加入すると、その後は徳島ヴォルティス、サンフレッチェ広島、川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ(※川崎からの期限付き移籍)、大宮アルディージャ、そして浦和レッズと、なんと7年連続で移籍。
浦和では鳥取時代以来となる2年を過ごし、2022年にはACL優勝も経験した。2024年からはJ3の松本山雅FCでプレーしている。
仙頭啓矢

1994年12月29日生まれ
続いては仙頭啓矢。大阪府枚方市出身で中学時代から注目を集め、京都橘高校では3年時に全国高校サッカー選手権で1学年後輩の小屋松知哉とともに5得点を挙げて得点王に輝いた。
進学した東洋大学でもアタッカーとして活躍。2017年にプロ入りした京都サンガF.C.では、3年目の2019シーズンにJ2で36試合10ゴールを記録している。
2021年に完全移籍したサガン鳥栖で金明輝監督のもとボランチにコンバートされ、若きタレントたちの中でプレーメーカーとして成長。
以降、名古屋グランパス、柏レイソル、そして2024年に加入したFC町田ゼルビアでも指揮官からの信頼が厚い選手として知られる。
坂元達裕

1996年10月22日生まれ
東洋大学が生んだ最強ドリブラーの一人。前橋育英高校の同期には、小泉佳穂(柏レイソル)、岡村大八(FC町田ゼルビア)、鈴木徳真(ガンバ大阪)、渡邊凌磨(浦和レッズ)、吉田舜(湘南ベルマーレ)らがいた。
その中で坂元達裕は東洋大学へ進学し、10番を背負った4年次には大黒柱としてチームを牽引。創部以来初めてのインカレ出場に貢献した。
2019年にモンテディオ山形でプロ入りすると、小泉佳穂を真似して習得したという“必殺の切り返し”を武器に1年目から大活躍。翌2020年に完全移籍したセレッソ大阪時代には日本代表デビューも果たした。
2022年1月にベルギー1部のオーステンデへ移籍し、2023年夏にイングランド2部のコヴェントリー・シティへステップアップ。現在チームを率いるフランク・ランパード監督も坂元のプレーを高く評価している。
稲村隼翔

2002年5月6日生まれ
2024年、アルビレックス新潟の特別指定選手として、彗星のごとくJリーグに現れたレフティDF。
卓越したビルドアップと左足から放たれる正確無比のキックを武器に新潟のキーマンとなり、チームはYBCルヴァンカップでクラブ史上初の決勝進出。PK戦の末に惜しくも名古屋グランパスに敗れたものの、「稲村ここにあり」をアピールするには十分だった。
そして年末、東洋大学のインカレ初優勝に貢献すると、正式にプロとなった2025年もリーグ屈指のセンターバックとして最終ラインに君臨。
182cmという身長もあってか、セルティックのプレシーズンマッチでは左サイドバックとして出場。「ボール扱いが巧みで、パスも確実。左サイドを上下に駆け回り、ボックス内に鋭いクロスを放つことに躊躇しなかった」と地元メディアから高い評価を受けている。
新井悠太

2003年3月24日生まれ
最後は、稲村と同学年、10番を背負い東洋大学をインカレ初制覇へと導いた新井悠太だ。坂元達裕と同じく前橋育英高校から東洋大学へ進学し、関東屈指のドリブラーとしてその名を全国に轟かせた。
3年次の2023年6月に東京ヴェルディ加入が内定すると、特別指定選手としてJリーグでデビューを飾り、J2で8試合2ゴールを記録。この年、パリ五輪世代の日本代表にも選出されている。
期待とともに迎えたプロ1年目は、3試合0ゴールと“J1の壁”に跳ね返されたものの、今季はここまで25試合に出場(うち24試合が先発)。多彩な能力を持つ攻撃のリンクマンとして左ウィングバックやシャドー、さらには1トップでも起用されるなど新境地を見せている。
いま、J1で最も注目すべきアタッカーの一人と言える新井。今後さらなる飛躍が期待される。